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平成29年度全日本選手権速報

●男子ダブルス1回戦
佐藤/築地(蝶友クラブ) −8、7、13、9 佐藤/吉澤(秋田商業高/秋田高)
●男子ダブルス2回戦
柴田/加藤(フジ) 8、7、8 佐藤/築地

「バタフライ」ブランドでお馴染み、株式会社タマスの社員が所属する卓球クラブといえば「蝶友(ちょうゆう)クラブ」。かつては伊藤繁雄さん、長谷川信彦さんという元世界チャンピオンも蝶友クラブから全日本選手権に出場し、優勝を争った。この伝統あるクラブから、佐藤亮/築地佑太ペアが男子ダブルスに出場。見事に1回戦を突破した。

右シェークドライブ型の佐藤選手は熊本大時代に全日本一般シングルス、右シェークカット型の築地選手も東北大時代に全日本学生に出場しているが、関東や関西の学生リーグ上位で活躍した実績はない。しかし、埼玉県予選では、代表決定戦となる3位決定戦で小島/藤原(駒澤大卒/早稲田大卒・KKSC)に0−2からの大逆転で勝利し、歓喜の代表権獲得(小島/藤原ペアも繰り上げで全日本出場)。
迎えた男子ダブルス1回戦では、勝負所となった3ゲーム目の終盤、タイムアウト後に相手のチキータを思い切って狙い打ち、このゲームを奪うと、4ゲーム目も競り勝って見事な1勝を手にした。2回戦は愛知工業大のOBペアにストレートで敗れたが、硬さが取れ、好プレーも随所に見せた。

実は「蝶友クラブのレギュラーは、週6回は練習している」という噂は常々耳にしていた。「仕事もあれくらい熱心にやってくれたら」なんて、愛情の籠もった冗談も。もちろん、卓球メーカーといえど、タマスはそんなに甘い職場ではない。佐藤選手は生産チームのラバー担当、築地選手は研究開発チームで試作評価などを担当し、日中は仕事をバリバリこなしている。埼玉県所沢市のバタフライテックには練習場があり、夜10時まで使用できる環境だが、残業で練習できない日もある。それでも仕事が終わった後、両選手は全日本に向けて練習に打ち込んできた。

「一般に出るのは初めてなので、出られてすごくうれしかったです。1勝を挙げることもできたので良かった。ありがたいことに会社からのバックアップもあって、結構練習もさせてもらっているので、ちょっとでも蝶友クラブの名前を全国の方に知ってもらえたかな、恩返しができたかなと思います」(築地)
「あまり意識すると緊張すると思ったので、コートに入るまではそのへんのオープン戦だと思うようにしてたんですけど、いざ試合が始まったらガッチガッチになりました(笑)。本当はもうちょっと柔らかいプレーができるんですけど、ガチガチでツッツキも入らなくなっちゃって、ヤバイと」(佐藤)
「ぼくも緊張しましたけど、横の亮さんはもっと緊張していた(笑)。でも最後は決めてくれましたから」(築地)

「来年以降も予選に出続けていれば、ワンチャンスをものにできるかもしれない。できるだけ出続けたいと思います」という佐藤/築地ペア。「好きなことを仕事にできているので、幸せだと思います」と佐藤選手は語った。ふたりの卓球への尽きせぬ愛情が、気まぐれな全日本の勝利の女神を振り向かせたのかもしれない。重い重い1勝、おめでとう!
  • 男子ダブルスで1勝をつかみ取った佐藤(左)/築地ペア