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平成29年度全日本選手権速報

 今日から平成29年度全日本選手権大会が開幕する。昨日あたりからすでにテレビのスポーツニュースでも「卓球の全日本」の前告知が始まっている。今週は、スポーツニュースでの扱いでも「卓球ウィーク」になるだろう。

 テレビの扱いでも相変わらず「女子への注目」が熱い。ディフェンディングチャンピオンの平野美宇(EA/大原学園・世界ランキング6位)、女王返り咲きを狙う石川佳純(全農・同4位)。その二人を追う伊藤美誠(スターツSC・同5位)と早田ひな(日本生命・同11位)。石川と早田は早々とベスト8決定で対戦するものの、皇后杯は間違いなくこの4人を中心に争われる。しかも、この4人が2020年の東京五輪の代表権争いの第1集団であることに異論を挟む人はいないだろう。
 世界ランキング11位までの4人での「世界レベル」での激闘は目が離せないものになる。

 一方、卓球愛好者の関心はマスコミや一般の人とはひと味違う。つまり、「誰が男子のチャンピオンになるのか」という部分に目が向いている。
 水谷隼(木下グループ・世界ランキング13位)が10度目の優勝で史上最多の優勝記録を更新するのか。
 しかし、関係者の間では「張本が史上最年少優勝記録を作るのか」「日本人世界最高位の丹羽孝希が頂点に立つのか」というトピックスがまことしやかに話されている。

 12月上旬のマレーシア(T2)で水谷選手と話をして、全日本選手権プログラム用にインタビューをしたのだが、そこで彼が口にしたのは「ボールへの不安」。ワールドツアーやロシアリーグで使用するボールと違う「ニッタクボール」への不慣れ。そこが彼の最大の不安要素だった。「前回が100の力だとしたら、今回は慣れないボールなので、自分の力は50」というネガティブな話だった。
 また、国際大会への参加が少ない水谷の存在感が薄いのは仕方ないだろうが、T2の試合を見る限り、力は落ちていない。

 その後、世界選手権最終選考会が行われ、張本智和(EA・同11位)が堂々の優勝と選考会突破で、怪物「張本株」が急上昇し、「全日本選手権も張本が一気に行くのでは」「今の張本なら水谷に勝つかも」という話が出てきた。
 もちろん世界ランキング6位の丹羽孝希(スヴェンソン)の充実ぶりや今シーズン好調の松平健太(木下グループ・同10位)の存在も見逃せない。

マレーシアから水谷が帰国し、10日ほど経った時に彼と会った。「ボールはどう?」と聞くと、「もう大丈夫」とひと言。あの時のネガティブな話は何だったんだろう、と思ったが、チャンピオンは自信ありげに笑っていた。
 ある時は、まるでか弱い少年のように自信なさげにナーバスになったかと思えば、ある時は自信満々に胸を張り、誰も自分に勝てないだろうという雰囲気を出す。これが王者の繊細、かつ図太い神経。予測不可能なメンタルなのだ。
 
 今大会は女子も男子も上位での戦いは世界レベルになる。日本卓球史上、例を見ない、ハイレベルの戦いが繰り広げられることは必至だ。なおかつ、世界中の卓球選手や関係者がこの「全日本卓球」に注目している。 (今野)

  • 10度目の優勝を狙う水谷隼

  • 張本の史上最年少優勝なるか