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平成29年度全日本選手権速報

 男子ダブルス準々決勝、先輩の松平賢二と組んだペアで昨年準優勝の藤村友也/吉村和弘に挑み、接戦を演じた森本耕平。愛知工業大3年時に男子シングルスでベスト8に入るなど、多くの戦績を残してきた森本は今大会を最後に現役を引退する。

 男子ダブルスでの戦いを振り返り、開口一番「楽しかったですね、めちゃくちゃ楽しかったです」と語った森本。「勝ち負けよりも楽しんでやろうというのが目標でしたし、最後に松平さんとダブルスを組めて良かった。あそこまで熱い人と一緒に盛り上がって試合ができて、楽しく終われたので、出し切れて満足です。1ー1の3ゲーム目、8ー6でリードしていたので。ぼくのレシーブでもっと思い切ってやれて9ー6とかにできればよかった。でもそこでやられたので、さすがだなと思いました」(森本)。

 観客席にはたくさんの応援団が陣取り、全日本での戦いを終えた森本に大きな拍手を送った。「観客席では、今日に限らずずっと応援してくださる方がいたので、本当にありがたい限りです。会社の方、もちろん家族もそうですし、愛工大附中や名電でやってきた仲間もわざわざ駆けつけてくれて、来られない方もネットで見て連絡をくれました。本当にたくさんの方に応援してもらえて、とてもうれしかったですし、最後までやり切ることができました」。

 今大会も男子シングルス4回戦で、緒方遼太郎とゲームオールジュースの大激戦を演じたが、全日本での森本はさながら「名勝負製造機」。大学3年時のシングルス6回戦で、カットの塩野真人と繰り広げた熱闘は、未だに記憶に新しい。抜群のフットワークを生かした連続フォアドライブで、勝っても負けても笑顔で握手。そんな清々しい魅力が、彼のプレーにはあった。過去の全日本を振り返り、「今大会のシングルスの緒方くんとの試合と、ダブルスの準々決勝、過去の全日本だと塩野さんとの試合と、大学1年時の4回戦で大矢(英俊)さんに勝った試合。自分で勝ち切った、卓球をやり切った試合だった」と語る。

 今年4月からは母校である愛知工業大の職員となる。「果たしてぼくが人を導く立場になっていいのかと思いますけど、今いらっしゃる先生方から戻ってきてくれと言われて、ぼくなんかで良ければと。後はどうなるかわからないですけど、精一杯やりたいなと思います」(森本)。26歳で引退を決断し、必要とされる場所での第二の人生を選んだ森本。あまりにナイスガイであるがゆえに、現役引退が早まったのかもしれない。全日本を沸かせた広島男児は、笑顔とともにラケットを置いた。
  • 森本は笑顔で全日本を去る

  • 試合後に会場に深々と頭をさげた森本

  • 全日本ラストゲームは松平とのダブルス

  • 笑顔で試合を終えた森本と松平