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平成29年度全日本選手権速報

 一昨年(平成27年度)の全日本選手権で、天野優とのペアで女子ダブルスを制した大矢(旧姓:中島)未早希。今日の女子ダブルス準々決勝で敗れ、最後の全日本での戦いが終わった。3月の東京選手権が現役最後の大会となり、引退後はサンリツの社員として卓球部をサポートする。
 彼女がまだ小学生だった頃、横浜文化体育館での練習で、細身の体から鋭い強打を連発していた姿をよく覚えている。小学4年生で全日本の舞台を踏んでから、振り返れば負けた試合のほうがよく覚えているという。そして一番思い出に残っているのは、一昨年と去年の全日本での戦いだ。

 「天野とのペアで一昨年の女子ダブルスで優勝してから、昨年の大会はプレッシャーもあって、全然ふたりの卓球ができなくなった。すごい苦しい時期が一年くらい続きました。でも私がもう引退となった時に、天野が『思い切って、大矢さんの卓球をしてください、私はそれを全力でサポートしますから』と言ってくれた。ふたりでいろいろ悩んだんですけど、最後の最後まで私を信じて、ついてきてくれた天野にすごく感謝しています」。
 右シェークドライブ型の大矢のシャープな両ハンドドライブと、右シェーク異質の天野のミートの強いフォアハンド、そしてバック強打。サンリツが誇るナイスコンビの最後の対戦相手は、伊藤美誠/早田ひなペア。「ダブルス準々決勝はすごく楽しくできました。最後に伊藤さんと早田さんのペアと試合ができたのは、私にとってかけがえのない財産。やらせてもらってすごいうれしかったです」。

 「シングルスは、皆さんたくさん応援に来てくださっていたので、ひと試合でも多く試合をして、プレーを見てもらいたいという気持ちがありました。自分のプレーが最後までできたし、ほんの少しですけど恩返しができたかなと思います。組み合わせを見た時から、永尾さんのところまで絶対行きたいという思いが強かった。その思いだけでこの全日本は思い切ってできたかな、という感じです。永尾も『先輩のところまで頑張ります』と言ってくれた。実現できて、本当に良かったです」(大矢)

 夫である大矢英俊選手とは、チーム単位での行動になるために顔は合わせていないというが、「最後だから自分らしく、勝ち負けに関係なく、良い試合ができたらいいね」と連絡をくれたという。「本当に、最後に自分らしくプレーできたのが、一番うれしかったことです」。そう語る時、涙があふれていた彼女の顔は笑顔に変わっていた。プレー中は集中力高く、険しい表情を崩さないが、普段はいつも笑顔で、多くの人に好かれる大矢。第二の人生に、幸多からんことを。
  • シングルスは後輩・永尾との試合がラストマッチとなった

  • ベンチの近藤監督とがっちり握手する大矢

  • 天野とのダブルス、最後の相手は伊藤/早田