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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

 大会2日目の衝撃は日本だけではなく、世界の卓球関係者に驚きとともに与えている。
 中国に対抗し、ドイツと肩を並べる日本男子がグループリーグのイングランドに敗れたことが前半戦の最大の番狂わせとなった。

 思えば、2年前の世界選手権の準決勝で日本はイングランドに辛勝だった。大島がウォーカーに敗れ、水谷もピチフォードに逆転勝ち。負ける可能性もあった試合だった。
 今回の敗戦でも、結果論として、倉嶋監督のオーダーに言及されることがあるかもしれないが、要は日本の実力はそこまでだったということだ。イングランドの3人は強かったし、日本の3人は非常に悪かったわけではなかった。
 このクラスのチーム力は拮抗している。日本はまだ中国と肩を並べる実力ではない。ただし、我々メディアも一般人も「世界ランキング」という魔術に引っかかってしまうのだ。

 日本の3人は丹羽9位、水谷11位、張本13位。対するイングランドはドリンコールが52位、ピチフォードは65位、ウォーカーが96位。特に1月の新ランキングシステムが採用されてから、彼らのランキングは急降下した。なぜならツアーに出場する回数が少ないからだ。

 卓球発祥の地、イングランドと言っても、彼らへの協会や国からのサポートは少ない。数十人もの代表団が毎ツアーに繰り出す日本とは正反対で、彼らは選んでツアーに参加するしかない。
 昨日の試合を見て、誰がピチフォードが65位の選手と信じるだろう。圧倒的な強さで張本と水谷を凌駕した。昨日見せた強さで言えば、彼は世界ランク一桁の選手だった。

 ドリンコールはポーランドリーグ、ピチフォードはフランスリーグ、ウォーカーはブンデスリーガでそれぞれプロの生活を送っている。彼らへの協会からのサポートは少なく、 3人はハングリーで、選手として自分の生計を立てるのが精一杯なのだ。

 一方、日本も厳しいプロ生活を送ってきた水谷は苦しみながらもエースとしての意地を見せた。張本や丹羽も責められないだろう。追われる者の苦しさもあったろう。しかし、コートに立てばお互いの環境の差やランキングは関係のないものであることもわかった。

 日本男子は久々に厳しい洗礼を受けた。しかし、これが世界選手権だ。女子と違って、男子の層は厚く、これからが本当の戦いになる。前を向くしかない。これからはノックアウト方式と同じ。負けられない戦いが続く。
 日本男子のチャイニーズタイペイ戦は現地時間の午後1時に始まる。  (今野)
  • ミックスゾーンで取材を受ける水谷

  • ピチフォードはサービスも非常に巧みだった