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2018世界ジュニア選手権大会

 4番の宇田対黎シン陽戦、最終ゲーム11ー10で宇田が放ったチキータは、日本男子を苦戦から救う渾身の一撃だった。男子JNT(ジュニアナショナルチーム)の田㔟邦史監督は、「宇田はよく踏ん張ってくれましたね」と語りながらも、期待を込めてさらなる「戦術眼」の成長について語った。

 「黎シン陽は最後、チキータへのカウンターをミスしてくれましたけど、思い切りヤマを張られていた。あれが世界のトップ選手、たとえば中国の馬龍(16年リオ五輪優勝)や樊振東(18年ワールドカップ優勝)だったら絶対にミスしてくれない。相手がミスしてくれなかったらいい、というわけではない。

 最近の若い選手を見ていると、一本バックに打ったチキータをミスしたら、次はフォアにチキータするとか、次はストップしようとか、技術やコースの変更に単調なところがあって、相手に読まれやすい。黎シン陽の最後のカウンターは、宇田がその前に一本フォアへのチキータをミスしていたので、バックにヤマを張っていたのだと思います。

 たとえばバックへのチキータをミスしたら、次はスピードはなくても回転重視のチキータをもう一度バックに送るとか、そういう選択肢や駆け引きも視野に入れてほしい。たとえば、高く浮いたチャンスボールでも6割くらいの力で、体を入れた逆モーションにして相手の待っていないところに打つ。そういうプレーが中国にはありますから」(田㔟監督)

 確かに世界ジュニアの試合を見ていると、どのコートもナイスラリーの連続。しかし、トップ選手ほど一見してプレーは地味なものだ。要所で相手のプレーを読み切るビッグプレーを見せながら、多くのラリーではブロックやストップなどの地味な技術で得点を重ね、逆モーションで相手の待ちを外す。現在の卓球界では、ジュニアのうちからそういった戦術的な成熟が求められるようになっているのだ。
  • トップ田中にアドバイスを送る田㔟監督