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平成30年度全日本選手権速報

 小学5年の松島輝空、小学4年の張本美和(ともに木下グループ)らキッズプレーヤーの活躍が目立つ中、昨日の男子ダブルス2回戦に、今大会最年長の51歳・大栗寛(徳島銀行)が出場。39歳の井上慎太郎(徳島銀行)とのベテランペアで全日本に挑んだ。

 対戦相手は親子ほど歳の離れた早稲田大の平野晃生/五十嵐史弥。左右からパワーボールを放つ若手2人に、ペン表らしいテクニックで食い下がるも、「思っていた以上に球威があった。力の差を感じた」とストレートで敗戦。大栗にとって24回目の全日本は初戦で幕を閉じた。
 試合を振り返り「組み合わせを見て、なんで1回戦がなくて2回戦からなんだと思いました。歳を見て優遇されたのかなと(笑)。(平野/五十嵐の)1回戦の試合を見ていたけど、どちらもうちより強いなと。できるなら1回戦からやりたかった。ただでさえ強いのに、相手も1回試合して勢いがついてくる。こちらも同じ状況で戦える1回戦からやりたかったですね」(大栗)と語った。

 大栗にとっては2年ぶりの全日本出場。「予選を抜ければ、最年長だろうとは思っていた」(大栗)というが、51歳でも全日本に対する情熱は衰えない。
 「全日本は若い頃から出ているけど、特別な思いというか、これに出たいという気持ちが自分の卓球人生のモチベーションにつながっている。可能であれば60歳まで、還暦で全日本に出られるように頑張りたい。そして出るのなら、1回でも多く勝ちたいですね」(大栗)

 今年度、大栗が出場した全国大会は全日本ラージボール選手権、全日本マスターズ、そして全日本選手権・一般の部となかなか見ない組み合わせ。全日本ラージでは40歳男子シングルスで3位に入賞しているが、ラージでのプレーからも硬式でのプレーにヒントを得たという。
 「ラージのほうがボールも軽いし、ラケットも軽い。軽いラケットだとバックが振りやすくて、最近ラージでバックハンドを振るようになって、感覚がつかめてきた。それを硬式でも活かせるようにと思って練習しているんですけど、なかなか試合ではできない。でも、ラージで感覚を養っていって、もう1年くらいやれば硬式でももっとバックハンドが触れるようになると思う」(大栗)。

 若い選手の活躍が目立つ卓球界だが、彼らに対しても「若い力に対抗、というのは違う」と口にした。
 「卓球って大人から子どもまで一緒になってできるスポーツなので、卓球を通じてコミュニケーションが取れるのが良いところだと思う。徳島の中でもそうだし、そういう意味ではずっと続けていきたいなと思っています。練習でも試合でも、年齢関係なく、やれば友達もできるし、人との関わりができる。そこはすごく良いスポーツだと思っている。やっぱり楽しいから続けているのもありますよね」(大栗)
 長く卓球を愛し、勝負にかけてきたからこそわかる、卓球のすばらしさがにじみ出た言葉だろう。

 最後に、なかなかベテラン勢の壁を越えられない徳島の若手について聞いてみた。
 「中・高校生の指導のほうもしていかないといけないのかなとも考えますし、僕らを倒して全日本に出ていってくれればなと思うこともある。でもそこは壁となって、『超えてみろ』と立ちはだかりたいという気持ちもあります」(大栗)

 そう言って卓球少年のような笑顔を見せた大栗。卓球に魅了された51歳の全日本への挑戦はまだまだ続く。
  • 90歳コンビで出場の大栗(右)/井上