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平成30年度全日本選手権速報

 全日本に出場する社会人プレーヤーはその職種も様々。市役所などの公務員に信金、銀行、卓球メーカーなど多岐にわたる。そんな中で「ぽっぽや(鉄道員)」も全日本に挑んだ。

 現在、JR東日本高崎に勤務する宮澤淳の仕事は「電車の運転士」。国家資格を取得し運転士となり、この1月でちょうど丸1年になるという。群馬の沼田高から駒澤大に進み、その後JR東日本高崎へ就職。現在社会人8年目の30歳。今大会の男子ダブルスでは高校、大学と、自身と同じ道を進んでいる駒澤大1年の髙橋翼とのペアで出場。後輩をしっかりリードし、良いアニキぶりを見せていた。

 全日本は10回目の出場。社会人になってからもダブルスには出場していたが、シングルスの出場は大学以来7、8年ぶりの出場だという。泊まり勤務などもあり、不規則な生活の中での練習となるが、「大会が近づいたら部員で連絡を取り合って、非番の部員同士で集まって練習しています。誰もつかまらない時は、地元の高校にお邪魔させてもらうこともあります」(宮澤)とのこと。
 社会人にとっては宿命の「練習量の減少」については「若い子相手にまともにやりあったら勝てないので、サービス・レシーブの組み立てだとか、僕はフォアに表ソフトを貼っているので、あえて緩いボールを送ったりして崩すことを意識しています。学生の時にはあまり意識していなかった緩急だとか、コース取りは社会人になってすごく注意するようになりました」(宮澤)と頭でカバーしている。

 そして社会人らしく、会社の名前を背負って自分がプレーすることの意義も感じている。
 「会社に卓球部ができたのが僕がきっかけで、『大学で卓球をしていた子が入社した』ということで実業団登録をしてもらった。それから後輩が続けて入社してくれて、去年の全日本実業団ではベスト16まで行けた。群馬で卓球をやっている企業は少なくて、こうやって卓球を続けていくことで、大学まで卓球を続けてきた子が会社に興味を持ってくれるきっかけになれば良いなと思っています。そのために僕自身もなるべく長く頑張りたい」(宮澤)

 ちなみに奥様は青山学院大から日本リーグの豊田自動織機でもプレーした早田知世さん。今年度の全日本ラージボール選手権には夫婦で出場し、知世さんは見事女子シングルスで優勝を果たした。一番気合いを入れていた混合ダブルスはランク決定戦で敗退、宮澤も男子シングルスで敗れる中での知世さんの優勝は「いやいや連れていかれた妻が優勝してしまってすごく悔しかった(笑)」とほほえましいエピソードも。「今度は混合ダブルスとぼくの男子シングルスでも優勝したいです」と夫婦での日本一も目標に、これからも仕事と卓球に奮闘の日々を送る。


●男子シングルス1回戦
斎藤稜馬(福井県スポーツ協会) 11、5、6 宮澤淳(JR東日本高崎)