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平成30年度全日本選手権速報

 小学4年生の張本美和(木下グループ)が女子シングルスで2勝したものの、3回戦の朝田茉依(同志社大)に1-3で惜敗した。小学4年生での一般シングルスの2勝は平野美宇以来。朝田は関西学生リーグで圧倒的な勝率を誇る選手で、フォア裏ソフト、バック表ソフトの選手。

 「カットマンは苦手ではないし、得意なタイプです」と言う張本は、2回戦では愛媛銀行のカットマン、池上玲子を3-1で破ったが、カットの質が違う朝田に対しては、ナックルカットを打ちあぐみ、3ゲーム目を奪ったものの、4ゲーム目もジュースで落とし、今年の全日本が終わった。

 試合後に張本は「今の相手は普通のカットと違って、変化があってやりにくかった。前の試合の相手もカットマンだったけど、タイプが違いました。普通は切れたカットが中心で、その中にナックルカットが入るのに、今の相手はほとんどがナックルカットでたまに切れたカットがきて、ナックルに対してスマッシュがオーバーしてしまった。今日負けた2試合(ジュニアと一般)は、両方惜しい試合でした」と試合後に語った。

 池上はフォア裏ソフトとバックツブ高のカットマン。両面とも切るカットが中心だったが、朝田はもともとがナックル中心のカットマン。切れたカットのほうが張本は思い切り強く強打ができるのだが、切れないナックルカットに対して、最後まで打ちあぐんだ。また張本クラスの強打では、朝田は何本でもしのぐことができる。しかも、朝田が使うバックの表ソフトではカットは自然に変化し、ツッツキは意識的に変化をつけることができる。そのカットとツッツキの変化に張本は最後まで苦しんだ。
 
 「普段の練習で頑張ってきたし、たくさん応援していただいたので頑張れました。まだ足りない部分が多いので頑張って練習して、次の大きな大会に向けて頑張りたい。自分は負けたけど、お兄ちゃんには出る種目で全部優勝してもらいたい」と張本美和は兄の智和にエールを送った。

 過去に小学生の時から全日本選手権で活躍してきたのは、福原愛さんを筆頭に、平野美宇、伊藤美誠、そして兄の張本智和だ。しかし、そのほとんどは、台につき、打球点の早いピッチで攻める速攻タイプだった。
 張本美和は小学生ながら強烈なフォアドライブを放つ。しかも、相手のミスを誘うような緩いドライブではなく、思い切り振り切り、打ち抜くようなドライブなのだ。こんな小学生は過去に例を見ない。兄の小学生時代はブロックのうまさやカウンターが光っていたが、妹の美和はまるで兄の小学生時代とは違う、パワー志向の卓球を披瀝した。
 モンスターの妹は、兄以上のモンスターに成長するかもしれない。計らずもこの全日本で、張本美和はその大器の片鱗をすべての人に見せつけた。

●女子シングルス 2回戦
張本美和(木下グループ) -8、9、4、5 池上玲子(愛媛銀行)
●女子シングルス3回戦
朝田茉依(同志社大) 11、8、-9、12 張本美和
  • 朝田に敗れた張本美和

  • 敗れたものの、フォアのドライブが光った張本

  • 関西学生リーグでの実績のある朝田は、しっかりと張本を下した