●男子シングルス準決勝
馬龍(中国) 8、−6、9、9、12 梁靖崑(中国)
男子シングルス準決勝、ひとり目のファイナリストに決定したのは馬龍!
5ゲーム目の13−12。2回目のマッチポイントで、梁靖崑のストップレシーブを、ミドルからフォアに曲がっていくような絶妙なコースにストップした馬龍。梁靖崑の台上バックドライブのミスを誘った最後の1本に、「戦術マスター」馬龍の凄みが凝縮されていた。
バック対バックのラリーから、互いに回り込みのチャンスを狙う駆け引きが展開されたこの試合。馬龍は梁靖崑の回り込みのタイミングを見計らうように、伸ばすバックハンドで押し込み、クロスへ鮮やかなカウンターを見舞う。逆に自分からは強いバックハンドで仕掛け、必殺のバックストレートのパワードライブを決める。梁靖崑も馬龍が仕掛けるバックハンドを逆に狙い、丹羽も認めた堅いブロックでミスを誘うが、競り合っても最後の1本が遠かった。
故・荻村伊智朗氏の「卓球は100m競争をしながらチェスをするようなスポーツ」という言葉を借りるなら、馬龍より100m競争が早い選手は他にもいる。しかし、馬龍よりチェスがうまい選手は、恐らく今、世界の卓球界にはいないだろう。
また、敗れたとはいえ梁靖崑のプレーの充実ぶりも光っていた。梁靖崑と馬龍の対戦というと、梁靖崑がまだジュニアだった13年全中国運動会での激しい打撃戦を思い出す。「樊振東のバックハンドに、馬龍のパワーを合わせたような選手」だと感じた。それから雌伏の時を経て、世界の表舞台へ躍り出てきた梁靖崑。孤高の雰囲気を醸し出すプレーヤーだが、これからさらに活躍の場が増えそうだ。