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全日本卓球選手権大会

●男子シングルス3回戦
西康洋(明治大) 4、−3、−5、10、13 岸川聖也(ファースト)

 世界選手権で7個のメダルを獲り、五輪に2回出場し、2012年ロンドン五輪ではベスト8に入賞した岸川聖也が、「最後の全日本」を終えた。

 岸川は1ゲーム目を失い、2、3ゲーム目を連取したが、西の思い切りの良い攻撃に最後まで後手に回り、1−3で敗戦を喫し、全日本選手権を終えた。「初めての選手だったけど、明治大のレギュラーで結構やるというのは試合前に聞いてました。1ゲーム目取られて、2、3ゲーム目を取ったので3−1で勝たなければいけなかった。最後の全日本というのは意識してなかった。1回戦もギリギリ勝てて、あまり休む間もなく2回戦だったので、いろいろ考える時間もなかった」(岸川)。

 ファーストとして全日本実業団選手権には出場する可能性もあるが、全日本選手権は最後にすることを決めていた。
 昨年、ナショナルチームコーチに就き、ワールドツアーなどにも帯同している岸川。二足のわらじを履くことは本意ではなかった。
 長く日本の中心として活躍してきた岸川は、2015年世界選手権の日本代表を外れた。本人は納得できないものだったかもしれないが、彼自身もジュニア時代にはベテランを押しのけて、日本代表になっており、それはが繰り返された。この日本代表から外れたことで、彼のモチベーションも落ち、その後、全日本選手権での勝つことへの執念も薄れていったようだ。

「 小学校6年から世界の相手と戦ってきた経験と自信があるし、日本人同士で戦うのは好きではない」と岸川は試合後にミックスゾーンで語った。

「今はすっきりしてます。悔いもないです。世界代表を引退する時とか、オリンピック2回出て、3回目に出れないとか、いろんな経験をしてきているので、全日本が最後というのはぼくにとってはそんなに大きなことではないです。でも、全日本は緊張感のある良い大会です。
 これからコーチをやることは決めているので、オリンピックもあるし、ナショナルチームのコーチとして少しでも役に立ちたいし、T.T彩たまのコーチもやります。自分のプレースタイルは打ち合いで勝つというものではなかったので、細かい技術や戦術というものを若い選手に伝えていけたらと思います」と、その表情はさばさばとしたものだったし、涙もなかった。
 日本の男子卓球のプレーを変え、水谷とともに日本を世界のトップクラスに押し上げた選手が「全日本」を去る瞬間だった。