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速報・現地リポート

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全日本卓球選手権大会

●男子シングルス1回戦 青木(JR東日本高崎) 1、4、7 久保(専修大)
●2回戦 高取(法政大) 4、9、6 青木(JR東日本高崎)

 男子シングルス1回戦、躍動的なフットワークでコート狭しと動き回り、拾いまくって打ちまくるひとりのカットマンがいた。桐生高校時代に関東高校チャンピオン(平成26年度)となり、獨協大を経て現在はJR東日本高崎支社に勤務する青木郁也。一般シングルスは2回戦で敗れたものの、3回目の挑戦で初の1勝を挙げた。

 高校時代は拾いまくり、粘りまくるプレーが印象的だった青木。しかし、今大会ではサービスからもカットからも、積極的なフォアドライブでの「仕掛け」が目立った。「やっぱり守備だけだと勝てないという思いはあるので、3球目でも打てるボールは狙っていってプレッシャーをかけていきたい。そういう心境の変化はあります」と語る。

 その一方で、やはりカットマンとしての「矜持(きょうじ)」、プライドはある。「今は必要だと思って攻撃も取り入れているけど、カットマンとしては粘って粘って1本取れた時はすごくうれしい。同じカット型としては塩野(真人)さんのプレーが憧れでした。やっぱり粘り切った時のほうが喜びは大きいですね」(青木)。粘りまくって1本取った時の彼のガッツポーズは、観る者の胸を熱くさせる。昨年7月の全日本実業団で、写真バンバン撮ってしまいました。

 ちなみに勤務地は群馬県内かと思いきや、埼玉県内にあるJR高崎線の鴻巣駅に勤務し、切符売り場や改札で鉄道マンとしての仕事をこなす。ちなみにJR東日本からは、毎年多くの支社が全日本実業団に出場するが、その中でも前々回大会ベスト16のJR東日本高崎は強豪として名が通っている。
青木のベンチに入った宮澤淳さんも、今大会の男子シングルスに出場した実力者。「彼は高校や大学も強豪校ではなく、勉強も頑張って、自分がチームで一番強い中でも努力してきた。その分、伸びしろはまだあると思います。団体戦では前半に出てしっかり勝ってきてくれるし、彼のプレーは盛り上がりますね」(宮澤)

 卓球人の皆さん、鴻巣駅で笑顔のステキな、真面目なチョッパーを見かけたら、温かい目で見守ってあげてください。ちなみに宮澤さん曰く、青木が会社の卓球部のメンバーを積極的に練習に誘うので、チームの練習量が3倍になったとのこと。今後のJR東日本高崎の活躍も要チェックだ。

★青木郁也の用具のこだわり

カット型の皆さんのために、現在の使用用具とその理由について、青木選手に少し聞いてみた。用具はいろいろ試すよりも、固定して使い込むタイプ。ラケットはニッタクの『レジストⅡ』、ラバーはフォアがバタフライ『テナジー05』の厚、バックがティバー『グラスD.TecS』1.2㎜だ。

「ラケットは前作の『レジスト』が廃番になって、ダーカーの『スプライン』を使っていた時期もありますが、『レジストⅡ』がリリースされてから使い続けています。あまり弾まないことがわかっているので、攻撃の時は思い切り振り抜けるし、相手のボールにも押し負けないですね。

 フォア面の『テナジー05』は、カットと攻撃の両立を考えて『厚』。もう少し攻守のレベルが上がったら特厚も考えたいですが、一度特厚を試した時は弾みすぎて、引き合いでオーバーしたり、あまり得意ではないフォアカットがオーバーしてしまった。

 バック面の『グラスD.TecS』は中学時代にクラブチームのコーチに勧められました。相手の上回転のドライブに対して、当てるだけでカットが切れてくれる。カット型としては楽な部分もあります。当てて切れるから、あとはボールを低く調整すればいいし、安心して使えますね。逆にツッツキは切ろうとしてもあまり切れないので、カットの回転量との落差が出ますね」(青木)
  • 攻撃力も確実に向上しているチョッパー・青木

  • 横に振り抜くバックカットは鋭い切れ味