10月9日深夜に発生した、王皓の「泥酔暴行」事件。当初は泥酔した五輪金メダリストのご乱行と報道されていたが、王皓の発言や暴行の有無などについて、「誇大報道だ」「いやすべて真実だ」とさまざまな報道が飛び交い、事件の真相はむしろ霧の中に隠れてしまった感がある。15日付の『人民日報』にも「王皓事件は本当に誇大報道か」という記事が掲載される一方、次第に報道は沈静化しており、王皓に対する処分も一切発表されていない。
10月11日に中国中央テレビ局の取材を受け、「このような事態になったことは、自分にとって良いこととは言えない。一生のうちにはどんな事態も起こりうる。今回の事件は自分にとってひとつの教訓」と発言した王皓。自分にとっての教訓が、酔って暴れないことなのか、マスコミの誇大報道に巻き込まれないことなのか、何とも微妙な発言ではある。
そして10月14日、王皓は自らのブログで「泥酔暴行」の事実を完全否定。「9日夜はクラブのコーチふたりと食事をした。翌日の朝7時には(超級リーグの試合で)飛行機で重慶に行かなければならず、10時過ぎには店を出た。駐車場でガードマンと言い争いになったのは、駐車に関する問題のせいで、暴行もしていなければ、『チャンピオンだから殴っても構わない』というようなことも言っていない。コーチと一緒なのに、どうして泥酔なんてできるだろうか。報道のほとんどは誇大報道だ。言葉が乱暴になったのは僕の失敗だが、今回の報道が早く沈静化することを願っている」(王皓のブログより)。
一方、「マスコミの誇大報道」という指摘に対して、マスコミからも反論の声が上がった。京華時報の任冠軍記者が、自らのブログで「王皓が暴行を否定したことに対する回答」と題して、9日夜の自らの取材状況を克明に再現。事件後、最初に現場に到着した彼は、事件発生から間もないガードマンらの目撃談が、泥酔した王皓の暴行を裏付けていると主張。「彼らが短時間のうちに口裏を合わせたとは考えられない」としている。「王皓、もし君がオリンピックチャンピオンとして、自分の犯した罪を認めず、息のかかったマスコミを利用して黒を白にしようというなら、軽蔑を受けることになる」と舌鋒鋭い。
もっとも、今回の事件ではけが人も物損も出ていない。後味は良くないが、新たな展開がなければ、事件もこのまま消え去っていきそうな気配だ。王皓は10月25日、鳳凰衛視(フェニックステレビ)のインタビュー番組『名人面対面』に出演している。もし注目すべき発言があればまたお伝えしたい。(『名人面対面』は福原愛が出演した中国中央テレビ局の『面対面』とは別番組)
Photo:渦中の人の心境やいかに…