世界選手権横浜大会の終了後、中国では記者会見での中国選手の態度に対して、批判的な記事がいくつか見られた。
もっとも、その多くはドイツの新聞記者が「どうして中国選手は会見中にあんなに落ち着きがなくて、失礼な態度を取るのか?」と発言したことを伝えるもの。中国選手の態度の悪さが指摘された、と客観的に報道するだけで、積極的に批判するような記事は多くはない。しかし、解放日報がウェブサイトで行ったアンケートによれば、「素行が悪ければ、金メダルを幾つとっても意味がない」と回答した人が87.64%に上ったという。
中国リポートではお伝えしていなかったが、今年3月、ITTFのシャララ会長が中国を訪れ、中国卓球協会に一通の手紙を渡していた。その内容は、中国選手のプレー態度やファンサービス、マスコミへの対応には多くの不満が出ており、より一層の向上を求める、というものだった。「よりプロフェッショナルであれ」ということだ。
今大会、確かに中国選手の記者会見での態度は、その多くが一流のスポーツマンにはふさわしくないものだった。中国での報道でも紹介されているが、会見中に携帯をいじったり、選手同士で喋ったり、グッタリしてちゃんと座っていられない選手もいた。しかも、それは今大会に限ったことではなく、なかば常態化しているようだ。コートで見せる素晴らしいプレーとの落差が大きいだけに、余計ガッカリしてしまうことになる。
もっとも、中国はようやくスポーツのプロ化への道を踏み出したばかり。日本でも、真のプロフェッショナルと呼べるスポーツ選手はそう多くはないはずだ。中国卓球協会の蔡振華会長は会見で「たった一度の大会で、中国選手たちの思想や素行が飛躍的に進歩するというのは難しい。しかし、選手たちやコーチに関しては、以前よりも対応が良くなったと感じている」と発言。一方で、試合に負けると足早にコートを去る中国選手に対して、「日本選手が観客に手を振り、或いは笑顔や涙で応え、四方に深々とお辞儀している真摯な態度に比べると、観客に与える印象ではまだまだ差がある」と率直に認めている。
今大会の中国選手で、もっともプロフェッショナルだったのは王励勤だ。試合での気迫あふれるプレー、試合後にサインを求めるファンやマスコミへの丁寧な対応など、非常に誠実な印象を残した。シングルスでは優勝を逃したものの、さすがに世界チャンピオンの貫禄だった。
Photo上:準決勝終了後、殺到したファンからのサイン攻めに応じる王励勤
Photo下:記者会見が三カ国語で行われ、かなり長くなったのは気の毒だったが…