中国では、受信できるテレビのチャンネル数が日本よりもずっと多い。国営のテレビ局である中国中央電視台(CCTV)には経済・芸術・スポーツなど、アナログ・デジタルあわせて40あまりのチャンネルがあるほか、地方のテレビ局のチャンネルも衛星放送の導入によって中国全土で受信できるようになり、激しい視聴率争いが繰り広げられている。
4月28日~5月5日に行われた世界選手権横浜大会の模様は、中国ではCCTV-5(中国中央電視台のスポーツチャンネル)で生中継された。会場の横浜アリーナには多くの中国応援団が詰めかけ、さながら全中国選手権の様相を呈していたのだが、中国国内での注目度は非常に低かったようだ。CCTV-5での男女シングルス決勝の視聴率は、なんと0.5%にも満たなかったという。
少し古いニュースになってしまうが、これは先日行われた2009中国卓球クラブ超級リーグの開幕式典で、CCTVのスポーツ番組制作部門の主任である江和平氏が明らかにしたもの。世界選手権の中継での最高視聴率も1%前後に留まっている。これまで世界選手権の中継なら最高視聴率は5%、07年ザグレブ大会の国内予選会「直通薩格勒布(直通ザグレブ)」でも3%を記録しており、最高1%というのはショッキングな数字に違いない。「強すぎる中国」であるがゆえに、ファンの卓球離れに歯止めがきかないのか。
…もっとも、先週にはCCTVの関係者による「CCTVのスポーツ放送の中で、最も視聴率が見込めるのは卓球」というコメントが成都商報などで報道された。超級リーグの試合も、男女とも5試合のうち3~4試合は各地方のテレビ局で放送され、CCTVによる生中継も各節に必ず1試合ある。日本に比べれば卓球選手や卓球の試合を目にする機会もずっと多い。根強い卓球人気ではあるが、「今のうちに次の一手を」というのが中国卓球協会の思惑だろう。
6月8~9日、中国では「中国vs世界選抜」が上海で行われる。中国は男女とも世界ランキング1~3位(男子:王皓・馬龍・馬琳/女子:張怡寧・郭躍・李暁霞)を揃えた。一方の世界選抜は男子がサムソノフ(ベラルーシ)、朱世赫(韓国)、松平健太(日本)、女子が馮天薇(シンガポール)、金キョン娥(韓国)、ドデアン(ルーマニア)。男子でボル(ドイツ)の不出場は残念だが、馬琳vs.松平健太の再戦や、毎回好勝負を展開する馮天薇vs.張怡寧などが実現すれば興味深い。CCTVで生中継されるこの一戦が、どれだけ視聴率を稼げるかも注目したい。
Photo上・下:選手入場には格闘技顔負けの演出が成され、大いに盛り上がった男女シングルス決勝だったが…