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中国リポート

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 5月末からスタートした、アジア・オセアニアを舞台にしたITTFワールドツアー。中国オープン(プラチナ)、香港オープン(レギュラー)、ジャパンオープン(プラチナ)、韓国オープン(レギュラー)、オーストラリアオープン(プラチナ)と一気に5大会を消化した。さらに今週末には、T2ダイヤモンドのマレーシア大会という重要な大会が控えている。

 そしてこの5連戦、特に後半戦で驚異的な活躍を見せたのが許シンだ。ジャパンオープン、韓国オープン、オーストラリアオープンと3大会連続優勝。先にマッチポイントを取られたオーストラリアオープン準決勝のフランチスカ(ドイツ)戦をはじめ、敗戦の瀬戸際まで追い詰められた試合もあったが、伝家の宝刀であるフォアのカウンタードライブの切れ味は最後まで健在だった。7月発表の世界ランキングでは、2015年2月以来の1位に返り咲いた。

 いつも辛口の劉国梁会長も、ジャパンオープンの閉幕後に「許シンは中国男子チームにあって、最も周囲を安心させてくれる万金油(万能薬)。東京五輪で金メダル独占を目指す中国にとって、欠くことのできない戦力だ」と賛辞を送っている。東京五輪での中国男子チームのエントリーは、馬龍と樊振東が団体とシングルス、許シンが団体と混合ダブルスの2種目出場が既定路線だが、樊振東の不調が長引くようだと、許シンのシングルス出場の可能性もゼロではない。

 この復活の理由について、許シンは『新浪体育』の取材に対し、意外なコメントを残している。「体力トレーニングはさらに増やしていく必要があるね。少なくとも人の2倍はやらなければ、非常に負荷のかかる試合の中で良い状態をキープすることはできない」(許シン)。彼は体力の衰えをテクニックでカバーするのではなく、体力トレーニングで高い身体能力を維持し、残る競技生活を完全燃焼しようとしている。

 中国チームは以前から、海外のトレーニングコーチやリハビリトレーナーを招聘し、集合訓練などに帯同させているが、2017年からはポーランド人のトレーニングコーチ、バルテク・ビブロウィクツ氏と契約。さらなるパワーアップを目指し、男女チームの「肉体改造」を継続的に行っている。ビブロウィクツ氏は昨シーズンの中国スーパーリーグで、山東魯能女子チームの優勝にもトレーナーとして貢献した。

 もちろん、ストップからの台上パワードライブや4球目カウンターなど、許シンのプレーがより精度を増していることは言うまでもない。「ペンホルダーに一番大切なものは?」と聞かれれば、「脳子(頭の良さ)」と即答する男なのだ。

 筆者の頭に浮かぶ許シンのイメージは、いつも傷だらけだ。4種目のフルエントリーもある全中国運動会では、全力投球の団体戦を終えて個人戦に入ると、サポーターにテーピング、アイシングのオンパレード。17年大会では左肩、脇腹、右ひざと体中に故障を抱え、アイシングとテーピングでミイラ男のようになっていた(言い過ぎました)。集大成となる東京五輪の大舞台を迎えるまで、重大な故障に見舞われることがないよう祈りたい。