スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 1月28日〜2月2日に行われたITTFワールドツアー・ドイツオープンで、男子ダブルスを除く5種目中4種目で優勝した中国。
 本来なら大会後、帰国して世界選手権団体戦・釜山大会に向けた集合訓練に入る予定だったが、現在中国では新型コロナウイルスの感染症が猛威を振るっており、首都・北京でも住民の移動制限などの措置が取られている。そのため、国家男女チームの主力選手29名は帰国せず、カタール・ドーハに移動。3月3〜8日に行われるITTFワールドツアー・カタールオープンまで、同大会の会場となるアスパイアドームで集合訓練を行っている。

 今回のドーハでの集合訓練が決まった経緯について、ITTFのスティーブ・デイントンCEOは以下のようにコメントしている(youtubeの『オフィシャルITTFチャンネル』より)。

 「現在、中国がコロナウイルスの感染拡大で難しい状況にあることは、誰もが認めるところだ。そして先週、中国オリンピック委員会は各競技のナショナルチームに対し、一時的に国外に練習拠点を置くなどの解決策を模索するよう、通達を出した。そのニュースを聞いて我々は中国卓球協会の劉国梁会長とともに、解決策を見出すために話し合いの場を持った。

 非常に短い期間ではあったが、我々は世界中の多くの人々と、問題解決のために全力を尽くした。そして来月上旬に行われるカタールオープンを前に、ITTFのカリル・アル-モハンナディ副会長と話し合った際、『1日以内に解決策を見つけることができるだろう』と言われた。その素晴らしいニュースを我々は中国卓球協会に伝え、中国側も非常に喜んでくれた。多くの条件をチェックしたが、中国チームにとっても滞在に適した場所だろうと感じている。加盟協会が困難な状況にある時、ITTFはいつでも手を差し伸べる用意ができている」


 監督やコーチ、トレーナーも含めると40名ほどの中国選手団だが、カタール卓球協会はドイツオープンの閉幕からわずか1日で、15台の卓球台を並べたトレーニングホールとホテルなどの住環境を用意した。国家チームはカタールオープンの閉幕後、韓国に飛び、韓国チームと合同合宿を行って世界選手権に備えるという。結果的に、中国には2カ月以上帰国できないことになる。

 「中国でのコロナウイルスの感染症発生のニュースを聞いて、私が心配したのは中国チームが国際大会に出場できないことだ。今年のカタールオープンは25回目の節目となる大会。私にとって、中国のいないカタールオープンや世界選手権など考えられない。私は友人である劉国梁氏に連絡し、必要とあらばいつでもカタールに来てもらって良いと伝えた」。
 カタール卓球協会会長でもあるITTFのカリル・アル-モハンナディ副会長は、そう語っている(『オフィシャルITTFチャンネル』より)。

 これまでも昨年6月のジャパンオープンや、11月のチームワールドカップの前に日本で1週間程度の合宿を行ったことがある国家チーム。しかし、これほど長期の集合訓練を海外で行うのは異例だ。中国卓球協会の劉国梁会長は、こんなコメントを発表している。
 「我々はずっと国内の(感染症の)状況を気にかけている。こんな時に我々にできることは、さらに練習への努力を重ねることだけだ。そして大会のフロアに中国国旗を掲げ、国歌を響かせて、国民の我々に対する期待に応えたい」。


 2月28日〜3月1日に海南省で行われる予定だったアジアカップは延期となり、2〜3月に中国卓球協会が開催予定だった大会もすべて延期となった中国。今回のドーハでの集合訓練は、いわば世界選手権団体戦に出場するための大掛かりな「隔離」措置だ。このまま事態が好転しなければ、釜山大会が厳戒態勢の中で行われる大会になることは間違いない。4月のジャパンオープン、5月の香港オープンや中国オープンにも影響を与えるのは必至の情勢だ。
  •  中国卓球協会の劉国梁会長(右)とITTFのカリル・アル-モハンナディ副会長