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中国リポート

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 8月20日、中国卓球協会は11〜14歳の男女選手で構成された「国家卓球青少年トレーニングチーム(集訓隊)」と、7〜10歳の男女選手で構成された「国家卓球少年トレーニングチーム」を2020年末に発足させることを発表した。この14歳以下の選手による中国ナショナルチームは、男子16名・女子16名、合計32名の選手によって構成され、毎年2回、夏休みと冬休みに集合訓練を実施。選手たちの参加費や必要な器材の経費などは中国卓球協会が負担する。

 それぞれのトレーニングチームの選手選考については、まず9月から中国全土で、省・自治区・直轄市の卓球協会の主催で一次選考会を実施。さらに中国卓球協会の主催で二次選考会が行われ、それぞれのチームの選手を決定する。ちなみに「ペンホルダー」「カット」「粒高攻守」などの「特殊打法」の選手枠もあり、これらのスタイルの選手が選考会を通過しなかった場合、最大2名までチームに加えることができる。プレースタイルの多様性を確保するのが狙いだ。
 14歳以下の年代の国家チームについては、これまでも中国卓球協会の劉国梁会長が結成の重要性について繰り返し述べてきた。昨年12月の中国卓球協会の統括会議では、次のように語っている。
 
 「青少年の選手育成という点については、日本は常に優れた仕事をしており、中国もさらに強化を進める必要がある。青少年と少年のトレーニングチームを作ることで、彼らの学業を妨げない範囲内で集合訓練を行い、子どもたちには国家チームとしての栄誉を感じてもらい、より積極的にこのスポーツに取り組んでもらいたい」(劉国梁会長)。

 U12(12歳以下)のホープスナショナルチームに加え、U7(7歳以下)選手の育成事業にも着手している日本。劉国梁会長は早期の選手強化については、一貫して日本を評価しており、昨年8月には日本卓球協会と協力して中日ジュニア卓球チャレンジ大会を実施。大会は7〜8歳・9〜10歳・11〜12歳の3つのカテゴリーで行われ、将来的には世界規模でのU12大会の開催を視野に入れている。

 これから選手選考が行われる、14歳以下のふたつのナショナルチーム。実際には年2回の集合訓練が強化の決め手になるとは言い難く、強化の中心となるのはあくまでも体育学校や卓球学校など、それぞれの母体での練習。子どもたちの卓球へのモチベーションを高めるための、シンボル的な存在だろう。
 それでも、他国の優れた点に学び、積極的に取り入れる姿勢を示した中国。15年ジャパンオープンで来日した際、インタビューで劉国梁会長(当時:国家チーム総監督)が語った自らの指導哲学を思い出す。「満足しないこと、常に挑戦すること、そして新しいものを求めていくこと」。最強軍団は、まだまだその歩みを止めようとはしない。
  • 中国卓球界の知恵袋、現状に満足することを知らない劉国梁会長

  • オープンな国家チームの結成は、子どもたちの意欲を高めるか(写真はイメージです)