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中国リポート

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 8月21日、海南省陵水で行われていた『備戦東京』2020中国卓球チーム・オリンピックエキシビションマッチが閉幕。少々遅くなってしまいましたが、21日に決勝が行われた男子団体の詳報をお伝えします。

 男子団体優勝は、東京五輪への出場が確定的だった中国男子のトップ3、馬龍・樊振東・許シンで構成された男子一団。改めて健在をアピールしたのは馬龍だ。首を傷めて男子シングルスを欠場し、男子団体1回戦からの出場となったが、初戦から貫禄のプレー。決勝の男子二団戦では、3番で北京市チームの後輩・王楚欽のチキータからの両ハンド強打を見事にさばいた。攻撃力なら中国男子でもトップクラスの王楚欽。少しでも浮いたボールは一発で持っていかれてしまうが、その強打のプレッシャーを微塵も感じさせない安定したレシーブはさすが。回り込んで放つパワードライブの威力と精度も失われていない。

 2018年の後半から左ひざの故障が悪化し、19年世界選手権個人戦で3連覇を達成した後、夏には手術を受けた馬龍。その左ひざには手術の痕がくっきりと残っている。すでに31歳という年齢で、五輪の1年延期はモチベーションに与える影響も相当大きいはずだが、「体はここ2年くらいで最も良い状態。年齢についてはあまり考えすぎないようにしている。競技スポーツで注目されるのは、年齢よりも能力と結果だからね」とコメント。競技人生のフィナーレを迎えるまでは、まだ後進に道を譲るつもりはないようだ。

 男子一団の残るふたり、許シンと樊振東については「実力どおり」というプレーか。許シンは混合ダブルスから3種目を戦うと、さすがに疲労の色が隠せなかった。中国としては対外的な強さで言えば、五輪の男子シングルスには馬龍と許シンを選びたいところだが、全身に故障を抱える許シンの3種目起用はかなりリスクがある。一方、樊振東は昨年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルで優勝した時は、バックサイドは得意のバックドライブを生かすことに徹し、フォアを突かれても前陣での飛びつきで対応。「競技人生のピークが近い」と感じるほど強かったが、『備戦東京』ではフォアハンドの迫力不足を感じた。

 その他のチームで活躍が目立ったのは、準々決勝で方博・于子洋・薛飛の男子五団を破った男子九団の活躍。世界ジュニア代表の経験がある右シェークドライブ型の于何一に、同じく右シェークドライブ型の賽林威と左シェークドライブ型の曹巍という顔ぶれ。男子五団戦のラストで、方博にゲームオール8−10から逆転勝ちした賽林威は、国家チームでは珍しい陝西(せんせい)省出身のプレーヤー。両ハンドの柔軟なボールさばきが身上で、今回の活躍は大きな自信になるだろう。一方、最終ゲーム10−8のマッチポイントを決められなかった方博は元気がない。28歳という年齢で東京五輪への道も閉ざされ、ベストなプレーをしろと言うのは酷だろうが……。男子団体1回戦の結果は下記のとおり。

●男子団体1回戦
〈男子一団 3−0 男子十四団〉
○許シン/樊振東 6、3、7 陳垣宇/林詩棟
○馬龍 5、9、−13、7 曽ベイ勲
○樊振東 5、4、8 林詩棟

〈男子六団 3−1 男子十団〉
○孫聞/張煜東 −9、−8、6、9、7 劉夜泊/全開源
○周愷 5、4、6 梁国棟
 張煜東 12、5、−7、−8、−9 全開源○
○周愷 8、−9、5、−5、9 劉夜泊

〈男子十一団 3−2 男子七団〉
○厳昇/袁励岑 3、8、−6、−10、6 向鵬/徐海東
 楊碩 −5、−10、7、−7 鄭培峰○
○袁励岑 7、10、−6、5 徐海東
 厳昇 −12、−4、−9 鄭培峰○
○楊碩 6、10、−6、−9、8 向鵬

〈男子四団 3−0 男子十五団〉
○周雨/趙子豪 9、10、11 熊夢陽/陶育暢
○馬特 9、−10、9、5 孫佳逸
○趙子豪 7、−14、9、6 陶育暢

〈男子五団 3−1 男子十二団〉
○方博/于子洋 8、6、−4、3 曹彦涛/高楊
 薛飛 −10、−10、−5 牛冠凱○
○于子洋 11、−11、7、7 高楊
○方博 6、6、−4、9 牛冠凱

〈男子九団 3−1 男子八団〉
○于何一/曹巍 4、9、−9、10 趙釗彦/徐瑛彬
○賽林威 −7、−9、5、9、6 任浩
 曹巍 10、−8、−12、−7 徐瑛彬○
○于何一 6、−5、7、1 任浩

〈男子三団 3−0 男子十三団〉
○閻安/周啓豪 4、4、−8、8 宋卓衡/謝聡凡
○劉丁碩 7、6、5 梁儼苧
○周啓豪 6、5、12 謝聡凡

〈男子二団 3−0 男子十六団〉
○梁靖崑/王楚欽 1、12、15 張超/崔慶磊
○林高遠 2、8、3 侯英超
○梁靖崑 3、10、7 張超

●男子団体準々決勝
〈男子一団 3−0 男子六団〉

○馬龍/許シン 7、4、4 孫聞/張煜東
○樊振東 −8、12、5、12 周愷
○馬龍 4、4、−12、9 孫聞

〈男子四団 3−0 男子十一団〉
○周雨/趙子豪 −6、7、−6、4、5 厳昇/袁励岑
○馬特 −6、5、8、5 楊碩
○趙子豪 4、1、−7、8 袁励岑

〈男子九団 3−2 男子五団〉
○于何一/曹巍 9、10、5 方博/于子洋
○賽林威 −13、−7、9、3、3 薛飛
 曹巍 −8、7、−5、−5 于子洋○
 于何一 −8、−7、−13 薛飛○
○賽林威 6、−8、−9、5、11 方博

〈男子二団 3−0 男子三団〉
○梁靖崑/林高遠 6、−5、9、5 閻安/周啓豪
○王楚欽 −8、5、6、9 劉丁碩
○林高遠 −8、6、−5、9、3 周啓豪

●準決勝
〈男子一団 3−0 男子四団〉

○馬龍/許シン −8、5、4、7 周雨/趙子豪
○樊振東 5、−10、5、10 徐晨皓
○馬龍 4、5、2 趙子豪

〈男子二団 3−1 男子九団〉
 梁靖崑/林高遠 −5、5、−5、−5 曹巍/于何一○
○王楚欽 9、−14、6、6 賽林威
○梁靖崑 7、6、7 于何一
○王楚欽 4、−6、6、2 曹巍

●3位決定戦
〈男子四団 3−1 男子九団〉

 徐晨皓/趙子豪 −10、−4、−9 曹巍/于何一○
○馬特 10、−10、9、5 賽林威
○趙子豪 8、5、−2、−10、11 曹巍
○徐晨皓 5、11、−9、8 賽林威

●決勝
〈男子一団 3−0 男子二団〉

○馬龍/許シン 7、5、9 梁靖崑/王楚欽
○樊振東 −8、3、8、6 林高遠
○馬龍 12、6、−12、7 王楚欽

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 馬龍はまだまだ強い。総合力ではやはり中国男子No.1

  • 樊振東は決勝で林高遠に勝利

  • 梁靖崑(右)/王楚欽は馬龍/許シンに完敗

  • 実戦さながら、男子一団のベンチに秦志戩監督が入った。少々お疲れの許シン

  • 優勝後、インタビューを受ける男子一団の3人。「やっと終わった…」という感じ?