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中国リポート

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 14日間に及ぶ『備戦東京』エキシビションマッチが閉幕し、再び海南省陵水での集合訓練へと戻った国家チーム。大会前に発表された規定により、『備戦東京』男女シングルスでベスト16以上に入った国家男女2軍チームのメンバーは、1軍チームへと昇格した。ベスト16に入ったのは以下の男女4選手。

●男子
全開源 19歳 遼寧省チーム所属 右シェークドライブ型
○女子
斉菲  19歳 天津市チーム所属 右ペンホルダードライブ型
石洵瑶 19歳 江蘇省チーム所属 右シェークドライブ型
陳熠  16歳 浙江省チーム所属 右シェークドライブ型

 男子で1軍チーム入りを果たしたのは全開源。予選グループで劉丁碩(15年世界ジュニア優勝)、決勝トーナメント1回戦で向鵬(19年世界ジュニア優勝)に勝利。2回戦でも許シンから1ゲームを先取した。2016年12月の国家2軍チーム入りからなかなか1軍に上がれなかったが、ようやくつかんだチャンス。スタイルはオーソドックスな右シェークドライブ型なので、もう少し特徴がほしいところ。

 一方、女子では16歳の陳イが1軍チーム入り。決勝トーナメント1回戦で張薔(右ペンドライブ型)をゲームオールで破った。昨年の世界ジュニアで初めてプレーを見たが、非常に脚が長く、アスリートタイプの体型。小さい頃は病気がちで、卓球好きの父親の影響で卓球を始めたという。出身は浙江省杭州市だが、上海にある中国卓球学院で腕を磨いた選手だ。これからパワーがついてくると怖い存在。

 19歳の斉菲は、天津市チーム所属の右ペンドライブ型。16年全中国選手権で陳夢から3−1とリードを奪い、あと一歩まで追い詰めた。中国女子の若手のペンドライブ型では、1歳年下の呉洋晨(19年世界ジュニア代表)がいるが、相手に打たせてカウンターを狙うスタイルの呉洋晨に対し、斉菲は大きく曲がる順横回転サービスから両ハンドをグイグイ振る攻撃的なスタイル。貴重なペンホルダーとして楽しみな存在だ。もうひとりの19歳、石洵瑶(16年世界ジュニア女王)はT2でもプレーした、日本でもお馴染みの選手だが、上位に食い込むにはより速い攻めが必要か。

 また、8月25日には中国卓球協会の劉国梁会長の決定として、郭雨涵(18歳)・蒯曼(16歳)・李雅可(18歳)・王暁彤(19歳)という女子2軍チームの選手たちを、引き続き1軍チームの集合訓練に帯同させることが報道された。郭雨涵と李雅可は北京市チーム、蒯曼は江蘇省チーム、王暁彤は山東省チームの所属。蒯曼は陳熠と同じ16歳で、昨年の世界ジュニアではともに代表入りを果たした有望株だ。実力的にはまだ1軍チームの上位クラスとは開きがあるが、若手選手を多く入れて1軍チームを活性化させるのが狙いか。

 『備戦東京』を欠場した丁寧・劉詩ウェン・朱雨玲のうち、丁寧は8月26日から甘粛省敦煌市での李寧(Li-Ning)の創立30周年記念イベントに参加。海南での国家チームの集合訓練は10月まで行われる予定だが、中国では女子1軍チームの集合訓練の名簿が流出し、「丁寧・劉詩ウェン・朱雨玲の名前がない!」と波紋を呼んでいる。1年延期された東京五輪を前に、中国女子は本格的に世代交代へ舵(かじ)を切ったのか。近年の五輪代表選考では経験を重視してきただけに、今しばらく事態を見守る必要があるだろう。
  • 八頭身プレーヤーの陳熠。上半身だけですが……

  • 「丁寧2世」とも言われる蒯曼(クアイ・マン)