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中国リポート

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 先月の11月26日、中国卓球協会は突然ひとつの通知を発した。「中国卓球協会による中国卓球クラブスーパーリーグの主催協会の公募に関する公告」。12月16〜27日、中国卓球クラブスーパーリーグを集中開催するので、主催を希望する協会は12月4日までに書類をメールで提出せよ、というのがその内容だ。開催期間の12日間で総当たりのリーグ戦(第1ステージ)を行い、上位4チームによるトーナメント戦(第2ステージ)で優勝を争う。

 2019年2月に2018-2019シーズンが閉幕した後、2019-2020シーズンは「東京オリンピックに備えるため」という理由で開催中止。そして2020-2021シーズンも新たな情報はほとんどなかったスーパーリーグ。開催予定日の20日前から主催協会を募るというのも、日本では考えられない話だが……。開催地として4つの都市が立候補するも、開幕前日の今日15日になっても開催地に関する発表や報道は皆無。「開幕は月末に延期される」という報道もあり、その全容は中国のメディアでさえ把握できていない。ちなみに2018-2019シーズンの各クラブの顔ぶれは、下記のとおりだ。

〈男子〉 ※カッコ内の数字は2018-2019シーズンの順位
(1)天津卓球(2)上海中星(3)山東魯能、八一南昌
(5)深圳宝安明金海(6)山東魏橋・向尚運動(7)覇州海潤
(8)安徽朗坤(9)江蘇中超電纜・利永(10)四川長虹

〈女子〉
(1)山東魯能(2)深圳大学(3)八一南昌、山東斉魯交通
(5)鴻安牛業(6)山西大土河・華東理工(7)北京首鋼
(8)黒龍江中州電纜永剛(9)四川穹窿先鋒(10)武漢安心百分百

 これらのクラブのうち、母体の人民解放軍が主要なスポーツの強化を停止した八一南昌は、スーパーリーグを離脱することが決定的。男子チームのエースである樊振東は、四川省チーム(今季のスポンサーは不明)へ移籍した。また、女子の山東斉魯交通でプレーしていた朱雨玲も、本来の所属である四川省チームに移籍する。

 開幕してみなければ、どのようなクラブが参戦するのかさえわからないスーパーリーグ。今シーズンの集中開催も、「スポンサーの手前、2シーズン連続で中止するわけにもいかない」というのが本音だろう。一方で、選手にとってスーパーリーグは大金を稼ぐことができる主戦場。年俸に加え、少しでも試合をして出場給や勝利給を稼ぎたいはずだ。

 中国卓球協会の劉国梁会長がWTT(ワールド・テーブル・テニス)の評議会議長に就任したことで、国際大会とどのように歩調を合わせていくかも気になるところ。いずれにせよ、蔡振華(中国卓球協会・前会長)が打ち出した「スーパーリーグをNBA(米プロバスケットボール)のようなリーグに」という熱いスローガンは、遠い過去のものになりつつある。

※写真提供:レミー・グロス(写真は20年ITTFファイナル)
  • 八一のエース樊振東は四川省チームに移籍。スーパーリーグ創設時から参戦していた八一の消滅は寂しい