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 独特のレシーブの構え。肩幅の2倍くらいの広めのスタンスで、視線はネットくらいに低くする。動物が獲物を狙うような姿勢だ。
 「基本姿勢は肩幅よりやや広めにして構えるべし」なんていう日本の教えなんて、この南米のブラジリアンには通用しない。

 過去、日本の水谷隼に対して、世界選手権と五輪のビッグゲームで二度対戦し、土俵際まで追い詰めたウーゴ・カルデラノ(ブラジル)。1月の世界ランキングでは17位に入っている。
 驚くべきは、そのキャリアだ。小さい頃は卓球とバレーボールに親しみ、中学生の時には陸上競技の大会に駆り出され、ブラジルの首都リオデジャネイロの走り幅跳びのチャンピオンだった。中学生までリオに住んでいたが、リオにはまともな練習環境はなかった。ブラジルの卓球の盛んな場所は日系人が多く住む、サンパウロなのだ。

 13歳までは趣味に毛が生えたような程度に卓球の練習を続けていたが、さすがにこのままではウーゴは強くならないと思い、当時ブラジルにコーチで訪れていたジャンロネ・モウニーというフランス人コーチが、サンパウロに行って練習することを薦め、同時にフランスのナショナルトレーニングセンターの練習に招待した。
 サンパウロに移住したのは14歳。本格的にウーゴが練習したのはつまりここからである。13歳までのウーゴの練習はクラブでの勝ち抜きのゲーム練習。1日に1試合か2試合しかできない時もあったと言う。

 日本の若手の環境とはあまりに違いすぎる。3歳、4歳から卓球を始めてスパルタ的に毎日のようにボールを打ち、強くなれば練習相手もつく日本の若手。「本格的な練習」という意味では、20歳の時に日本の選手の中には「卓球年齢15年、16年」という選手は珍しくない。
 ところが、ウーゴ・カルデラノの卓球年齢は14歳から。
 21歳のウーゴの卓球年齢は「7歳」程度。しかし、彼の身体能力は子どもの頃のバレーボールや走り幅跳びで磨かれたとも言える。

 そんな「世界の至宝」ウーゴ・カルデラノを現在発売中の卓球王国では表紙にして、インタビューと技術ページを紹介する。 (今野)

【卓球王国 2018年3月号(好評発売中)/『【インタビュー】ウーゴ・カルデラノ(ブラジル)』他より
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