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 卓球王国10月号掲載の『The Legends』、今回で18人目となる「伝説のプレーヤー」は、1969年世界選手権ミュンヘン大会の男子シングルスチャンピオン、伊藤繁雄さんだ。

 取材は6月下旬、横浜・山下公園近くのカフェで行われた。3時間に及ぶインタビューは、面白いエピソードが満載。数多くの「伊藤繁雄伝説」が披露された。「卓球台を3台つなげてフットワーク練習をやり、試合で飛びついた時にボールを追い越してしまった」、あるいは「小田急線の車内をうさぎ跳びで往復した」。その太ももの筋肉は、今見てもすごい迫力。伊藤さん自身が「脚を見て『伊藤には勝てないと思った』という選手がたくさんいたよ」と語るのも納得だ。

 競技人生を通じて、指導者から指導を受けたことは一度もないという伊藤さん。想像を絶するようなハードな練習であっても、「遊び心のある発想で、自己流の練習を考えるのは楽しかった」と言う。「人の驚く卓球は、人の驚く練習から生まれる」。これは選手も指導者も、頭に入れておいて損はない名言ではないだろうか。

 もう10年ほど前になるが、あるイベントに出演していた伊藤さんと、10分ほど打っていただいたことがある。その別れ際、「また、教えてください」というひと言が忘れられない。その時は「さすが世界チャンピオン、ジョークもうまい」くらいに感じていたし、どう考えてもジョークにしかならないのだが、見取り稽古を得意とし、「我以外、みな師」という姿勢は一貫したものだった。

 伊藤さんはもともと左利きで、小学生時代に「右でやらないと入れてやらない」と周りの大人たちに言われ、ラケットを右手に持ち替えた。取材を終え、ギュッと握られたその右手は驚くほど大きく、力強かった。独創のチャンピオンの骨太な競技人生、必読です。(柳澤)

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  • 世界チャンピオンとなった69年ミュンヘン大会での伊藤さんのプレー