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 6月のジャパンオープンで超級リーグの間隙を縫って来日した中国のトップ選手と劉国梁監督。この機会を逃す手はない。すぐに中国卓球協会の広報部長を務める中国の専門誌「ピンポン世界」の夏編集長にコンタクトし、取材申請書を送った。
 夏編集長からは「大丈夫、OKしてくれた」と即答だった。中国の場合は、まさにしかるべき人に「筋を通す」ことが重要。いきなりの突撃インタビューではけんもほろろに断られる。

 そして、ジャパンオープン当日、馬龍、丁寧、劉国梁を次々と撮影。東京から呼んだ江藤カメラマンは、1日しか拘束できずに、何とか撮影は無事終了。
 そして、馬龍、丁寧をインタビュー。これもバッチリ。
さて、残るは大御所、カリスマ指導者の劉国梁監督だ。なかなか時間が合わずに大会が進んでいく。ようやく、最終日前日に時間を取ってくれた。短かったが内容は素晴らしいものだった。

 世界の卓球界を独占し、リードしていく中国。
 その中国を長い歴史の中で見つめ、技術の変遷と世界の卓球の流れの中で分析していくと相当に変化していることがわかる。世界の卓球史、そして中国の卓球史の中で、名チャンピオンは数多く輩出されている。
 しかし、選手としての実績を備えつつ、名指導者になったという人は数少ない。私があげるとすれば、徐寅生、蔡振華、そして劉国梁だろう。「名選手、名監督にあらず」という言葉に抗うことのできるまさに「カリスマ」の3人だ。

 徐寅生、蔡振華にはすでにインタビューしている。今回、劉国梁と対峙した。短い時間ではあったが、その言葉の重みと深みに敬服した。彼らが相手なら何時間でもインタビューできるだろう。何時間でもその話を聞きたい、一冊に書き記したいという衝動に駆られる。

 そんな日本の指導者はひとりしかいない。荻村伊智朗だけだ。残念ながら、荻村が亡くなってからは彼ほどの世界レベルの日本の指導者に会っていない。荻村の理念的で、自信にあふれ、相手をねじ伏せるような卓球理論。どこか矛盾があっても、その卓球への理想という信念が矛盾を吹き飛ばしていくような圧倒的な力。
 一方、中国のカリスマ指導者たちは、実に合理的で、その話の根幹には「中国卓球の理念」がどんと据えられている。

 劉国梁。いつかじっくりと腰を落ち着けて話を聞きたい。
 最新号では、そのさわりの部分ではあるが、彼のカリスマの一片に触れることができるはずだ。 
 後日、夏編集長がプライベートで来日。お礼を兼ねて夕食に招待した。お礼を言いつつ、「最後までインタビューできるか実はドキドキしてましたよ」と言うと、「劉国梁は義理堅い、約束を必ず守る男です」と言って、スマホを見せてくれた。
 そこには私が取材申請を送った日に「卓球王国から取材があるから受けてくれますね」と夏編集長からの送信メール、そして「わかりました。受けましょう」と返信メール。
 これがちょっとした舞台裏です。 (今野)
  • カリスマ指導者の劉国梁監督。器の大きさが違う