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 インタビューは2時間に及んだ。その前に、技術ページの解説を彼は1時間していた。
 つまり、語れるアスリート。1年前に、大島祐哉が20位台の世界ランキングを手にするなど誰が予測しただろうか。オフチャロフに2連勝できる選手に化けることを誰が予想しただろうか。
 2年前、トレセンで倉嶋洋介全日本男子監督と立ち話をした時に、「知ってます? 大島って。いいですよ」と言われて、練習中の選手の中から当人を捜そうとしたくらいだ。前年に全日本学生でベスト4に入ったとは言え、印象はなかった。
 ただ記憶していたのは、彼が中学時代に走り幅跳びの選手だったことくらいか。
 そして今年5月の世界選手権で、中国ペアと大激戦を演じ、マッチポイントを奪いながらも敗れた後の森薗と大島の涙……様々な彼に関する記憶が入り混じっていた。

 表紙撮影ではワイルドなイケメンぶりを披露。実はインタビューページで使った写真を表紙にしようと思っていたが、あえて挑戦的なパーカーを纏った写真を表紙にした。
 雑誌を流通させる取り次ぎ会社に表紙を見せたら、「どこかに卓球王国の文字を入れてください」と注意を受けた。確かに、表紙のタイトルが「卓」と「国」しか見えていないという理由。これは裏話だ。できるだけ写真を大きく扱い迫力を出したかった。

 5月の世界選手権の蘇州で、前東山高監督の今井良春氏と久しぶりに言葉を交わした。大島がダブルスのメダルを逃した翌日だった。「昨日は心臓が止まるところだった」と名伯楽は笑った。今井氏は全国的に無名の大島に注目した人だ。知将の目に狂いはなかった。
 大島が語れるのは、自分と向き合いながら、そこで様々なことを突き詰めていこうとしていたからか。
 最新号で、異色のプレーヤー、大島祐哉の言葉に耳を傾けよう。