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 時は4月4日、東京都北区赤羽のNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)界隈は、まさに桜花爛漫。しきりに花びら散る中を、伊藤美誠選手のインタビューに向かった。
 
 彼女のプレーは小さい頃から見ていたが、改めてその才能を実感したのは2012年の世界ジュニア選手権ハイデラバード(インド)大会だ。目を見張ったのはフォアスマッシュの破壊力と重量感。周りの選手たちが、ボールの周囲をなで回すようにドライブを打っている中で、40㎜のボールの真芯、ど真ん中をひっぱたいていた。感覚的な表現で恐縮だが、3gに満たないボールの真ん中に小さな鉄球が入っているように感じたのだ。それくらい、彼女の強打は「芯を喰った」ボールだった。

 そのスマッシュを生かしながら、このドライブ全盛の時代に、世界ランキングをトップ10圏内まで上げてきた伊藤選手。世界選手権団体戦・クアラルンプール大会でも、世界団体初出場とは思えない堂々たるプレーを見せた。予選リーグのドイツ戦で敗れた翌日、再びドイツと相まみえた準々決勝の1番。ヴィンターを鮮やかなスタートダッシュで突き放した。「私はドイツとやりたかった」と彼女は言う。負けた相手に負けっぱなしでは、メダルも色があせる。絶対にリベンジしたかった。

 そして準決勝の北朝鮮戦では、トップでキム・ソンイに完敗しながら、4番でリ・ミョンスンをゲームオール7点で破り、日本の決勝進出を決めた。第3ゲーム、18ー20という大激戦。相手のロビングに対する思わぬミス、極限の心理戦の中で考えていたこと。「あの試合は魂が抜けました。本当に半分以上抜けましたね」と、当時の心境を語ってくれた。

 逃げない、曲げない、後悔はしない。15歳の少女の戦いぶりは、どこまでも清々しかった。日本女子チームの舞台裏にも触れながら、伊藤美誠選手が振り返るクアラルンプール大会の真実。ぜひ再び、あの感動に浸ってください(柳澤)。