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平成24年度全日本選手権大会

 女子シングルスは昨年度大会で福原愛(ANA)が初優勝。福原が悲願の皇后杯を獲得し、また日本女子がロンドン五輪で、こちらも悲願のメダル獲得(銀メダル)を果たしたことで、全日本も一度「仕切り直し」という感がある。

 実力的に頭ひとつ抜けているのは、やはりロンドン五輪代表の「三人娘」、福原、石川佳純(全農)、平野早矢香(ミキハウス)。
 各選手とも五輪後は様々なイベントやテレビ出演が続き、五輪を控えていた昨年度大会に比べると調整はスローペースにならざるを得ない。すでに戦列には復帰したものの、福原には右ひじの手術という不安要素もある。それでも、ロンドン五輪を戦い抜いた三選手が手にした経験値と技術力は、他の選手たちを大きくリードするものだ。
 組み合わせでは、第1シードの福原と第4シードの平野が準決勝で当たることになり、石川は福原・平野とは決勝まで当たらない。果たして組み合わせどおりに進むか、どうか。現時点では、日立化成の「ゴールド選手」として日本リーグを戦い、ワールドツアー・グランドファイナルでもU-21優勝の石川が、実戦感覚ではふたりをリードしているか。

 この三選手を追うのは、全日本社会人優勝の藤井寛子(日本生命)、準優勝の若宮三紗子、同3位の藤井優子というニッセイ軍団。昨年度の団体戦の主要5大会でいずれもタイトルを逃した日本生命、選手たちは全日本に名誉挽回を賭けてくるはずだ。昨年度大会ベスト8の森薗美咲(日立化成)、昨年の日本リーグ・ビッグトーナメントで石川に完勝した阿部恵(サンリツ)にも爆発力がある。
 
 高校生・中学生では、1年生でインターハイ女王になった前田美優(希望が丘高)、青森山田高のツインエースである鈴木李茄・宋恵佳らが上位進出を狙う。
 そして、目が離せないのは、中学1年〜小学6年の「黄金世代」の選手たちのプレー。特に世界ジュニア代表の加藤美優(JOCエリートアカデミー)と伊藤美誠(豊田町卓球スポーツ少年団)に、昨年の全日本ジュニア2位の平野美宇(ミキハウスJSC山梨)を加えた3名は、ランク入りも十分に狙える。緩急自在のラリー戦を見せる加藤、フォアの強力なスマッシュとバック強打の伊藤、全身を使った両ハンドドライブを放つ平野とプレースタイルも三者三様で、こちらの「三人娘」も要注目だ。

下写真は左から福原、石川
 1月15〜20日まで、東京・代々木(よよぎ)第一体育館で行われる平成24年度全日本選手権(一般・ジュニアの部)。昨年までの会場・東京体育館の改修工事に伴い、今年は代々木第一体育館が熱戦の舞台だ。会場に足を運ぶ皆さんはお間違えなく!

 今年の男子シングルス。見どころはズバリ「水谷隼(beacon.LAB)の王座返り咲きはなるか」という一点に尽きる。
 世界の卓球界で横行するブースター(スピード補助剤)問題を告発し、公平なプレー環境を求めて、国際大会から抗議の「一時撤退」を表明した水谷。ロンドン五輪以来、およそ5カ月ぶりの公式戦だ。公平性が保たれている全日本の舞台で、日本男子の第一人者が残すべき成績は、優勝以外あり得ない。背負うプレッシャーは連覇を続けてきた昨年度と同等か、それ以上のものがある。全日本に向けて再び本格的な練習に取り組み、王座返り咲きを狙う。

 この水谷を追うのが、昨年度王者の吉村真晴(愛知工業大)、ロンドン五輪代表の岸川聖也(スヴェンソン)と丹羽孝希(愛知工業大)、昨年度3位の松平賢二(協和発酵キリン)と松平健太(早稲田大)という選手たちだ。技術力ではいずれ劣らぬ顔ぶれだが、やはり水谷の対抗馬となるのは吉村か。対戦歴が少なく、まだ手の内を知られていない点も大きい。全日学2位、全日学選抜優勝と1年生ながら学生屈指の実力を証明しており、プレッシャーに打ち勝つことができれば、2連覇のチャンスはある。

 社会人で優勝戦線に絡むとすれば、強豪・東京アートを支える張一博と高木和卓。男女シングルスの優勝者はパリ大会の出場枠を獲得できるため、5月の世界選手権パリ大会(個人戦)で代表入りを狙う高木和は、この全日本に一発賭けてくるだろう。
 高校生では、昨夏のインターハイで団体優勝に貢献した吉田雅己、町飛鳥、森薗政崇らが上位陣を脅かす存在。そしてもうひとり、忘れてはならないのがカットの村松雄斗(JOCエリートアカデミー/帝京)。すでにその実力は全日本ベスト8クラスと言っても過言ではない。この全日本で上位に入れば、パリ大会での世界代表デビューも十分にあり得る。

下写真は左から水谷、吉村