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世界卓球 パリからジュテーム速報
~伊藤条太のお前にトリコロール!~

こちらに来て初めて朝まで一度も目覚めずに寝た。朝の食欲はない。時差ボケは完全になおった。いつもどおり5日めの朝だ。

会場に向かう面々の自然な様子を撮影したいのだが、カメラを向けるといちいちポーズをとるお調子者がいてわずらわしいので、その隙を与えないよう、前を見たまま肩越しに撮影してみた。

お気づきかもしれないが、私はカメラを見て笑ったりポーズをとったりした写真は、あまり好きではないのだ。
会場を出たのは10時を過ぎていたので、昨夜と同じくホテルの近くのイタリアレストランに行った。メニューも昨日試してあるので迷うことなく頼み、美味しかった。

夕飯のときに祐が、今日もラバーを4枚も買ってしまったと言っていた。しかもあきれたことに4枚とも同じラバーだという。2枚は友だちの分らしいが、中ペンの祐が同じラバーを2枚も必要な理由が素晴らしい。「もしそのラバーを気に入ったときに、スペアがないと困るから」というのだ。そして経験上、祐がラバーを気に入ることはまずない。それで、ほとんどの場合、その「万が一の予備ラバー」は未開封のまま自宅の棚に保管されることになるのだという。

・・・こやつ、卓球王国編集部員になっていなかったら、いったいどういう人生を歩んでいたのだろう。世の中、うまくできているものだ。

先日はある卓球メーカーの人と話していて、そのメーカーが最近出したラバーがあまりにも性能が悪く「あれで打ってみたことありますか」「あんなラバーを出すのは犯罪的です」と言っていた。卓球王国に広告を出しているお客様でもかまわずなのだ。卓球王国で新製品を取り上げるコーナーでも、普通はどんな製品でもよいところを見つけて好意的に紹介するものなのだが、祐がこのラバーの担当を命じられたときは「嫌です」と断ったという。そういう意味で、この男の書く製品レビューはもっとも信用できるといえる。ただし「30分以上同じラバーで打ったことがない」という極めて異常な男のレビューであるという点を除けばだが。
以前から欲しかった、ガラスの中に卓球選手が彫刻されたオブジェを買った。何千円もすると思っていたのがたったの7.5ユーロ(1200円ぐらい)だというからすぐに買った。
嬉しくて柳澤に「いくらだと思う?」と聞いたところ「5ユーロぐらいですか」だと。
「バカ、それはこっちのキーホルダーだっ!」
「どっちも興味ないです」
「ガクッ」
会場の一角に、要らないラケットを寄贈するスペースが設けられていた。修理をして使えるようにしてから貧しい施設や国に使ってもらうのだという。まだ観客が少ないためだと思うが、ほとんど集まってはいなかった。こんなところに投げ込んだらよけい壊れると思うが。
福澤さんがスティガのブースで卓球グッズを見ていた。言うまでもないが、本当に卓球が好きなのだ。

また、バタフライのブースでは、ミニ卓球台で少年と勝負をして勝っていた。ミニ卓球なのに、足を鳴らしてアップダウンサービスをしたのには驚いた。何事にも本気だ。
一日に何回か、会場の照明が落ちてライトショーが行われるのだが、とてもっかっこいい。手拍子を誘うようなBGMもかかるので、今から楽しみだ。

今日は初の日本選手の試合が3試合だけあったが、明日はなんと20試合あるという。
気を確かにもって速報を行いたい。
日本選手の混合ダブルス3ペアの1回戦が行われたが、なんとネットがつながらず速報が出来なかった。
だがしかしいずれも完勝で、特に熱くなるような場面はなかった。日本選手も本当に強くなったものだ。

この3ペアの試合を見て「アレ?」と思ったことがある。男子のボールの威力が増しているような気がするのだ。特に、これまでどちらかというと巧者という感じだった岸川のボールがベキベキと音を立てていた。また、吉村の台上バックドライブが「そんなに短いボールをそんなに速いドライブできるのなら、いったい卓球とはなんですか」という感じだった。これが、相手が格下であるためにそういうボールを打てたのか、実際にフィジカルが増しているのかはわからなかった。ただ、賢二が大腿筋がすごすぎて普通のズボンを履けないことだけは確かだ(これは前からだが)。

勝ったのは岸川/福原、吉村/石川、松平/若宮の3ペアだ。
詳しいことはメインの速報をご覧ください。

渡辺友くん

2013/05/14

もうひとりの編集部員が渡辺友(とも)くんだ。

卓球王国のポップな部分を一手に引き受けているのが彼だ。技術物でも、柳澤の担当するものとは違い、村瀬さんのマジックサービスや平岡理論など、常に卓球界の旧来の常識を疑う(というより知らない)視点を持ち、目新しい飛び道具を紹介することに余念がない。私の連載の担当も彼だといえば、その立ち位置は自ずと明らかだろう。歯に絹着せぬエロ話も十八番だ。
1993年、エーテボリ大会で世界チャンピオンとなったガシアン登場。現在はホビー用の卓球用品メーカー、コニヨール社で頑張っている。今野さんいわく「本当にいい奴」だそうだ。

いい奴とえいば、この速報のタイトルの候補として「ナイズガイ専門速報」というのがあったことを付け加えておく。凱旋門にかけたのだが、なんか悪い誤解をされそうなのでやめた。
『スウェーデン時代』を製作したスウェーデンのジャーナリスト、イエンス・フェリッカが来た。今野さんに「君は世界一有名な卓球人だ。誰もが君を知っている」と言っていた。私もそう思うが、荻村に2回しか誉められなかった男(そのうち1回は誤解)がどうしてこうなってしまったのだろう。卓球界が狭いからだなきっと。