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速報・現地リポート

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全日本卓球選手権大会

●男子ダブルス1回戦
高須航/福澤勇太(愛工大名電高/杜若高) 10、9、6 伊藤悠里/高橋優磨(福島東稜高)

 男子ダブルス1回戦に愛工大名電高と杜若高、愛知のライバル校同士で組んだペアが登場。初戦をストレート勝利で突破し、2回戦にコマを進めた。
 
 「なぜ?」と思われるペアリングだが、きっかけは福澤が以前ペアを組んでいた選手が別のペアを組むこととなり、パートナーがおらず、同じ愛知の愛工大名電高・高須に白羽の矢が立った。もちろん普段は別の学校に通う2人、高須が杜若高の練習に何度か参加し、ペアでの練習を重ねてきた。

 学年は高須が高校3年、福澤が高校2年とひとつ違いだが、「特に気を使うこともなく、プレーもやりやすいです」と福澤。高須もサウスポーらしいテクニックで年下の好プレーを引き出した。「左利きと小学・中学とダブルスを組んでいたのでやりやすい。プレッシャーは全然ないです。今はダブルスを組んでいるので、特にライバル校だとかは気にしないです」(福澤)

 高校2年生の福澤は今年高校生活最後の夏を迎える。インターハイの舞台に立つには、最強軍団・愛工大名電高の面々が集う、日本一過酷な愛知県予選を通過しないといけない。「調子を出せれば、十分チャンスはあると思うので、誰と当たっても勝てるような実力をつけたい」(福澤)と意気込みを語った。高須/福澤の2人は今日の2回戦で平野晃生/五十嵐史弥(日野自動車/早稲田大)と対戦する。
  • 高須(左)/福澤

  • 徐々にプレーがかみ合い、ストレートで初戦突破を決めた

混合ダブルスの島根代表の立藤颯馬・岩田明峰(明治大/朝日大)ペアが快進撃。
初日の2回戦で田添健汰/森薗美月(木下グループ)に勝利し、3回戦では藤田哲弘/前瀧美音(豊田町卓球スポーツ少年団/デンソー)にはストレート勝ち。ベスト16まで駒を進めた。

ふたりは高校時代、松徳学院高と明誠高と同じ島根で腕を磨き、お互いに立藤は東京の明治大へ、岩田は岐阜の朝日大へ進学。今回ペアを組むのは初で、立藤から誘ったという。
「お互いにチキータが武器なので、相性が良いと思いました」と立藤。

県予選では1球も練習せず、今大会も前日に1時間半練習をしただけ。しかも練習時には全然コンビネーションが合わず、「1回戦飛びは確実」と思っていた。

「オールになったらだんだんフィーリングが出てきて、良かった」(立藤)
「お互いにミックスしかないから懸けてた」(岩田)
と、試合になると絶好調。
チキータからの速攻とカウンターが随所に決まり、勝ち上がっている。

実は岩田は小学6年の時に交通事故で入院し、今こうしてプレーしていることが不思議なくらいの大怪我を負った。
横断歩道を渡っている時に車ではねられて、脾臓が破裂。右足の大腿部も完全骨折。数ヶ月の入院、リハビリ、自宅療養を経て、卓球を再開した。
当時、広島のヒロタクスポーツでチームメイトが全中に出ているのが羨ましくて、負けてられないと高校は名門・明誠を選んだ。
「今でも全力で走ると足が痛い。でも卓球をやっている時はアドレナリンが出ているので痛さは感じません」と岩田。

時間があれば練習をしたい、卓球場があいてる限り卓球場にいるという岩田。
「私は誰よりも卓球が好き。それだけは負けません」という彼女の気持ちこそ、大きな怪我をしても乗り越えて、全日本の舞台に立てる秘訣だろう。

4回戦はベスト8をかけて硴塚将人/森田彩音(早稲田大/中央大)と対戦する。
  • 立藤のチキータは精度が高い

  • ペンドラの岩田の両ハンドが好調だ

●女子ダブルス1回戦
久田智世那・君野彩花(Lycoris) 7、9、−7、9 大田愛佳里・三好峰子(長崎大・若葉クラブ)

 男女を通じて大会最年長の43歳、長崎・若葉クラブの三好峰子が女子ダブルス1回戦に出場。接戦を展開したが、惜しくも初戦突破はならなかった。

 「いやあ……悔しいですね。あとちょっとというところができていないから、勝ちにつながらなかった。それが一番悔しいですね。子どももふたりいるし、時間的にもやるべきことは全部できないんですけど、みんな同じ条件での試合ですから」。試合後のミックスゾーンで語ってくれた三好さん。ちなみに9年前に全日本に出た時には、今回ペアを組んだ大田愛佳里さんの姉・優佳里さんとペアを組み、その優佳里さんが今回はベンチに入り、ふたりにアドバイスを送った。

 ペアの歳の差は21歳。「子どもですね(笑)。でもすごくかしこいから、試合中にひらめいたことをどんどん言ってくれて、歳の差を感じないダブルスができるのがすごく良かった」と若きパートナーを讃えた三好さん。卓球をしない日は必ず走り、体重を増やさないように日々の努力を欠かさないという。「下半身はマイナス20歳くらいなのかなと自分では思います(笑)」という言葉どおりの軽快な動きを見せていた。

 パートナーの大田さんは「(三好さんは)私より若いです(笑)。今日はここぞというところで決められなかったり、ミスが出てしまったのが悔しい。来年また出て1勝したいです」とコメント。全日本の大舞台を爽やかに戦い抜いた。
  • 女子ダブルス1回戦に出場した大田(左)・三好ペア

  • 互いにアドバイスを送り、力を合わせて戦った

 大会第2日目の1月14日。朝から青空が広がる大阪。夜は少し天気が崩れるようです。

 今日は男子シングルスを除く6種目が一気に進行し、盛りだくさん。ジュニア男女はスーパーシードが登場し、ベスト32まで決定。男子の曽根翔・篠塚大登(愛工大名電高)、手塚崚馬(明徳義塾高)、松島輝空(木下グループ)、女子の木原美悠・小塩遥菜(JOCエリートアカデミー)、出澤杏佳(大成女子高)、大藤沙月(ミキハウスJSC)、相馬夢乃(遊学館高)といった優勝候補が続々登場する。世界ジュニアの代表メンバー3名が出場する女子のレベルは非常に高い。

 女子シングルスは1回戦、男女ダブルスは1・2回戦が行われ、混合ダブルスは4回戦まで進行。混合ダブルスはベスト8のペアが決定する。

 下写真は昨日のジュニア男子1回戦でストレート勝ちを収めた前出陸杜(松生TTC)。「競っても焦らず、自分のプレーをすること、声を出して自分をどんどん高めていくことを心掛けました」と堂々たるプレーを披露した。
 特筆すべきはその裏面ドライブ。裏面打法はどうしてもボールがクロスに集まりやすく、威力あるボールをストレートに打つことが難しいが、強力な裏面ドライブをバックストレートに打ち込んだ。「練習していくうちにどんどんストレートに速いボールが打てるようになってきた。この裏面を生かして上位に行けるように頑張りたい。目標はジュニアベスト4です」(前出)。ペンドラの星の躍進に期待がかかる。
  • 裏面打法が飛躍的な進化を遂げた前出

●混合ダブルス2回戦
森薗政崇・伊藤美誠(BOBSON・スターツ) 8、7、7 神京夏・松本静香(愛知工業大)
張本智和・長崎美柚(木下グループ・JOCエリートアカデミー/大原学園) 9、5、5 横谷晟/浅井一恵(愛工大名電高・桜丘高)
鹿屋良平・古川聖奈(リコー・トプコン) 9、3、8 松島輝空・丸怜央奈(木下グループ・立命館大)

 大会初日の最終ラウンド、混合ダブルス2回戦は早くもシードペアが登場。昨年度優勝の森薗・伊藤、準優勝の張本・長崎が初戦を迎え、ともにストレート勝ちで3回戦に駒を進めた。一方、注目の小学6年生・松島と正智深谷高OGの丸のペアは、社会人の鹿屋・古川ペアにストレートで敗れている。

 森薗・伊藤はいきなり上下とも真紅のウェアに身を固めて登場。神・松本ペアに1・2ゲームとも中盤でリードされながら、森薗の粘りと伊藤の決定力が光った。「目の前の1試合を勝ち切るのみです。明日もしっかり楽しみたい」という伊藤に対し、森薗は「ぼくは緊張しっぱなしなんですけど、楽しませてもらいたいです」と苦笑いでコメント。

 伊藤はさらに「森薗くんはヒーヒー、ブーブー言ってるので私は落ち着こうと思うし、いつも真面目だから不真面目にやろうと思いますね」と畳みかける。しかし、出足から常に全力、抜かれたと思ったボールにも必死で飛びつく森薗のプレーが、伊藤のパフォーマンスを高めているのは間違いない。やはりこのペアは強い。

 張本・長崎ペアは、張本がJOCエリートアカデミーから卒業したことで練習量が大きく減った。大会前は計2回、それぞれ1時間ほどプレーを合わせただけだったというが、世界のトップ選手の地位を確立した張本と、昨年12月の世界ジュニアで日本人初の女王に輝いた長崎。個々の成長と男女ダブルスでの経験値をミックスに落とし込み、昨年逃したタイトルを狙う。
  • リードされてもあわてず、確実にストレート勝ちを収めた森薗・伊藤

  • 張本・長崎は昨年逃したタイトルへ突き進む

  • 注目の松島・丸は初戦で敗れる

 ジュニア男子1回戦、体を大きく使い、左腕から放つキレのある両ハンドドライブで積極的に攻めた愛村優太(松元卓運)。ジュースの連続となった1ゲーム目を16−18で落とし、残念ながら初戦突破はならなかったが、全日本の舞台に堂々のデビューを飾った。

 松元(松元町)といえば、かつての「卓球の町」というスローガンをご記憶の方もいるのではないだろうか(2004年に鹿児島市に吸収合併)。ピッチの早い攻撃卓球で名を馳せてきた松元卓運も、卓球ファンにはお馴染みのチーム。現役のトップ選手では鹿屋良平(リコー)など、多くのトップ選手を世に送り出してきた。愛村選手も練習を行う松元平野岡体育館は、昨年の全日本団体の会場となり、今年はかごしま国体・卓球競技の舞台として、各都道府県の代表選手たちが火花を散らす。

 「全日本では、やってきたことをうまく出せたかというと……出せないところが多かったです。大会前には結構練習をやり込んできました。ラリーでは粘れたところがあったし、サービスも効いたりしていたのは良かったです。今後はラリー戦でのコース取りや、しっかり先手を取って攻められるように頑張っていきたい」。試合後のミックスゾーンで語ってくれた愛村くん。最後は「頑張ります!」と元気な声で締めくくってくれた。サウスポーながら、好きな選手は樊振東(中国)とのこと。

 ベンチに入った父・拓也さんもかつて全日本に出場し、全日本社会人では4回戦まで進出した実力者。「息子のベンチに入れたというのはうれしいですが、試合では緊張のほうが大きく出てしまった。大会前の練習では高校生相手にも勝ち越すことができていたので、練習してきた部分が出せればいいと思います。実力を出し切れなかった悔しさを力に変えて、『このままでは終われない』という気持ちでやってもらいたい」と期待を寄せた。来年も全日本の舞台で会おう!

●ジュニア男子1回戦
河合優駿(湘南工大附高) 16、4、8 愛村優太(松元卓運)
  • サウスポーの愛村選手

  • チャンスボールは思い切って回り込み、フォアを振り抜いた

  • 右はベンチに入った父・拓也さん

●混合ダブルス1回戦
手塚大輝/松下紋加(静岡学園高/浜松学芸高) 4、-4、2、4 石塚智大/石塚美和子(米子球友会/個人)

 混合ダブルスのドローに、その名前を発見し「お!」となった。今から15年前のジュニア女子優勝の石塚美和子が現役引退以来、3年ぶりに全日本に帰ってきた。四天王寺高時代に左腕からの伸びやかな両ハンドドライブで全日本ジュニア王者となった石塚は、日本リーグの十六銀行、アスモ(現デンソー)でも活躍。今から3年前に現役を引退し、現在は故郷の鳥取でコーチとしてジュニアを指導している。
 「今はまったく自分の練習はしていないし、試合にも出ていない」という石塚。全日本に出場したきっかけは、弟・智大の「全日本に出たい」という夢を叶えるため。公式戦に出場するのは引退試合ぶりだったというが、見事、鳥取予選を通過して弟の夢を実現させた。
 「独特の雰囲気がある中で、少しは緊張したけど、思い切ってやろうと思っていた」という試合のほうは第2ゲームを奪ったが、レシーブ、台上で苦しむ展開が多く、高校生ペアに1-3で敗戦。3年ぶりの全日本は初戦で幕を閉じた。
「第一線でやっていた時とは違っていますね。でも、現役の時と同じく、1本1本頑張ろうと思って試合をしていました」(石塚)
 コーチ業については難しさも感じているようで、勉強中とのこと。「指導は難しいですね。小学生をメインで教えているんですけど、感覚的なアドバイスじゃなくて、しっかりわかるように伝えないといけないので、そこの難しさを感じています。選手の時と同じような感覚で教えてはダメなので、そこは卓球を噛み砕いて教えないといけない。あとは、みんな卓球が好きでやっていると思うので、メリハリをつけて頑張ってほしいなと思います」(石塚)
 一瞬の現役復帰となった石塚だが、故郷・鳥取から自身に続く後輩を輩出すべく、指導者として第二の卓球人生を歩んでいる。
  • 右が弟の智大選手。目元が似てます!

●ジュニア男子1回戦
勝又優哉(浜松修学舎高) 9、5、9 阿部鴻憲(錦桜紅羅舞)

 今大会、ジュニア男子には松島輝空(木下グループ)、吉山和希(TC中原)、阿部鴻憲(錦桜紅羅舞)、3人の小学生が出場。3人ともに小学6年生で、その中で最年少にあたるのが2007年8月1日生まれの阿部だ(松島:2007年4月29日生まれ、吉山:2007年7月4日生まれ)。
 宮城県の北部、登米市にある錦桜紅羅舞でプレーする阿部。小学1年で卓球を始めてから5年で全日本の舞台に立った。ちなみに錦桜紅羅舞というチーム名は北上川にかかる「錦桜橋」に由来する。「予選は最初は抜けられると思っていなかった」と語った初の全日本は緊張感の中でのプレーとなったが、動き回ってフォアでアグレッシブに攻めて高校生相手に善戦。ストレートで敗れたが、堂々の戦いぶりだった。
 敗れたばかりだったが、「緊張感がすごかったし、強い人ばかりの中でプレーできて良い経験になりました。来年も全日本に出て、今回よりも良いプレーをして、成績を残せるようにしたい」(阿部)とミックスゾーンでは凛々しく、そして落ち着いた話しぶりで今後の目標を語ってくれた。憧れの選手は?と聞くと、同じ宮城出身の張本智和(木下グループ)の名前をあげた阿部。大先輩と同じように、みちのくを背負って立つ選手に育ってほしい。
  • 足を使ったフォアドライブ連打を見せた

  • ベンチでの凛々しい一枚

●ジュニア男子1回戦
斉藤健太(関西高) 5、9、−8、6 隅川銀(松山北高)

 フロアに入ってきただけで目を引く194cmの長身。昨年8月の鹿児島インターハイ、男子団体での整列を見た時から気になっていた。周りの選手と頭ひとつ分違って見えるからだ。岡山・関西高の長身プレーヤー、斉藤健太がジュニア男子1回戦に登場し、3−1で勝利を収めた。リーチの長さを生かして台上プレーを確実にこなし、ラリー戦では正確な連続ブロックを見せた。この長身、ついつい「和製サムソノフ」なんて言いたくなるが、誰か影響を受けた選手がいるかと思いきや「特にいない」そうです。

 ちなみにお母さんは、91年世界選手権千葉大会に日本代表として出場した道広(旧姓)友子さん。そういえばお母さんも長身プレーヤーとして有名でした。弟の秀太選手も、ともに岡山・ねや卓球クラブで腕を磨いたペンホルダードライブ型で、現在は高知・明徳義塾中で活躍している。

 「緊張したんですけど、その中でも勝つことができて良かったです。背が高いと、遠いところは届くんですけど、体に近いミドルはちょっと取りにくいですね。あと手が長いので台上はやりやすい。その強みの部分を伸ばしていきたいです」(斉藤)

 ちなみに「他のスポーツをやったら?」と言われることは結構あるそうで、「でも運動神経があまり良くないので……」と控えめなコメント。「小さい頃から卓球をやってきたし、あまり目立った成績が出せていないので、出せるまで卓球を続けたいと思います」。口調は穏やかでしたが、秘めた思いを語ってくれました。
  • 194cmの斉藤選手、スタンスの広さにビックリ

  • レシーブの構えもこのとおり。日本選手としては規格外

  • フェンスが小さく見えます。左は関西高の柏幸浩監督

●ジュニア女子1回戦
張本(木下グループ) 8、−10、1、5 橋本(敦賀高)
小塩(石田卓球クラブ) 5、5、7 増田(JUPIC)

 ジュニア女子1回戦、張本美和と小塩悠菜がともに1回戦を突破した。ふたりとも小学5年生だが、生年月日の差で小塩が今大会の女子最年少プレーヤーだ。

 張本は異質攻守の橋本に2ゲーム目を落とし、やや硬さも見られたが、ラリー戦でのバックハンドの威力と安定性でしっかり勝ち切った。
 一方、小塩はかつての中国式ペンカット型に近い変則グリップから、フォアスマッシュと裏面打法を繰り出し、レシーブからのラリーではシェークに持ち替えてカットも操るという独特なスタイル。しかもペングリップの時はフォア表、カットに持ち替えた時はバック表になるという……。全日本初戦という緊張感を感じさせず、冷静なプレーを貫いて「大物感」を漂わせた。姉・遥菜もジュニア女子に出場しており、順当に勝ち上がればジュニア4回戦で張本と当たる組み合わせだ。
  • 女子で大会最年少の小塩、前陣では裏面打法を駆使

  • カットも操る小塩。対戦相手は相当やりにくいだろう

  • 威力あるバック連打を見せた張本。どこまで勝ち上がるか