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速報・現地リポート

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世界選手権広州大会(団体戦)

 トップの福原は、出足が良く試合をリードし、昨日のゲームより心身ともリラックスしたプレーを見せ、11-0と完璧なゲーム運びをした。第2ゲームも8-0とリードし、1ゲーム目から連続19点ノーミスという離れ業。相手が受け身のスタイルであったが、福原にとっては戦いやすく調子の上がる対戦相手であった。勢いに乗った福原は3ゲーム目になってもフットワークも良く、一気に勝負を決め完勝した。久しぶりに見た福原の、リラックスした本来のキレのあるプレーだった。

 2番の平野は、サービスのコンビネーションで相手のレシーブミスを誘い、第1ゲーム4-1とリード。ラリー戦でも両ハンドでの先手攻撃でリズムに乗った。特にフォアの下回転系サービスがよく効いた。第2ゲームに入ってもスタートダッシュ良く、連続ドライブ攻撃で相手を一方的に攻め込むことができた。第3ゲームに入って、平野のコースを突くうまいプレーが目立った。また、平野の課題であった対ドライブ処理にも成果が見られたゲームだった。

 3番の石川は、初めての世界選手権団体戦にしては落ち着いたプレーをしていたが、レシーブでの堅さが目立った。接戦をものにすることはできなかったが、随所にすばらしい両ハンド攻撃を見せた。
 第2ゲームはサービスから相手を崩しにかかり、徐々に調子もつかみ始めた。レシーブミスが影響し、リードを保つことができず8-8になったが、サービスエースと3球目攻撃でこのゲームを取り返した。本調子になった石川は3ゲーム目を7-3とリードし、フォアドライブの連続攻撃でリズムに乗り、ラリー戦でも戦えるパターン。ポイントを急ぎすぎてややミスが出たが、持ち前の集中力でレシーブエースと4球目のカウンタードライブを決まり、最後はバックハンド攻撃で決めた。
 第4ゲーム、余裕が出てきた石川は大きく動くフットワークも足の運びもスムーズになり、両ハンド攻撃にも本来の攻めのプレーが見られたが、プレーに安定性を欠き、雑になったところを相手に逆転を許してしまう悔いの残る落とし方であった。
 最終ゲームはそのせいもあって、相手の勢いを止められず0-4とリードを許す。冷静な判断でコースを突き、5-5としたが最後はやはりレシーブで崩れ、3本連取されて敗れた。しかしながら、石川のダイナミックなプレーと高い集中力が光り、今後のプレーに十分期待が持てるゲーム内容であった。

 4番の平野は、第1ゲームからフォアハンドサービスで崩して、ラリー戦を有利にして攻め込んだ。特にフォアドライブの安定性が目立った。第2ゲームは終始平野のペースで展開し、両ハンドドライブからのストレートボールが威力を発揮。第3ゲームは6-6のシーソーゲームから、得意のサービスで得点できなかったのが響き、相手に4本連取されて落としたが、第4ゲームは出足から6-1とリード。本来の攻めの速さが戻った。
 やはり勝つためには、プレースタイルを最後まで維持することが、上位に進んだ時に思い切った1球となって現れるのだと思われる。
【高島の通信簿】1番・福原90点 2番・平野90点 石川3番・60点 4番・平野70点

石川、一歩及ばず/勝負強さを見せたバチェノフスカ
 日本  3-1  チェコ
○福原  0,4,2  シュトルビコワ
○平野  2,3,6  ペンカボワ
 石川  -9,9,9、-8、-8バチェノフスカ○
○平野  8,6,-7,6 シュトルビコワ

チームランキング4位の日本が19位のチェコと対戦。出足からトップの福原が完璧な試合。1ゲーム目11―0と完封すると、2ゲーム目も8-0までリードを広げ、19点連続得点。この試合でチェコを完全に飲み込むほどの福原の最高のプレーだった。2番の平野もスキのない試合。平野の集中力は一糸乱れることもなかった。3番の石川は団体戦初出場に緊張したか、本来のプレーから遠かった。競り合いの末にバチェノフスカに振り切られた。4番の平野は3ゲーム目を落としたが格下のシュトルビコワを下し、日本は2勝目をあげた。

1本目から気合い十分の福原/石川、8本で惜しくも敗れる
●男子 予選Cグループ第2試合結果
日本(2勝) 3-0 フランス(2敗)
ロシア(1勝1敗) 3-2 スロバキア(2敗)
ドイツ(2勝) 3-1 セルビア(1勝1敗)

 ドイツは1番ズースがカラカセビッチをフルセットで破ると、続くオフチャロフも勝利。3番シュテガーは敗れたものの、続くオフチャロフがまたもカラカセビッチをフルセットで破った。

●女子 予選Aグループ第2試合結果
中国(2勝) 3-1 北朝鮮(2敗)
ロシア(1勝1敗) 3-1 スウェーデン(2敗)
アメリカ(2勝) 3-2 クロアチア(1勝1敗)

 中国が予選グループ2試合目にして思わぬ1失点。王楠がキム・ジョンに1-3で敗れた。06年ブレーメン大会準々決勝でも対戦し、11-8、11-3、11-3で一蹴している相手だったが、第4ゲームは8-1のリードから逆転を許すという王楠らしからぬ展開だった。

●女子 予選Bグループ第2試合結果
シンガポール(2勝) 3-0 チャイニーズタイペイ(2敗)
ハンガリー(2勝) 3-0 ルーマニア(1勝1敗)
ウクライナ(1勝1敗) 3-2 ポーランド(2敗)
 中国に大善戦した北朝鮮女子チーム。二人の北朝鮮のサウスポーの特徴は、両ハンドに威力とキレがあり、フットワークも良く、フォアハンドでのミート打法(スマッシュ系)のドライブとスマッシュの打ち分けができること。ドライブとスマッシュの球質の違いによって、ドライブ全盛の現代卓球の中で中国の王楠、張怡寧といった世界のトッププレーヤーを苦しめる、あるいは脅かすような試合展開を見せた。時たま放つ前陣での強打が中国選手のプレーを混乱させる要因となったのだろう。ラリー戦に強い中国選手に対しても、球速の異なるボールが効果的であることを証明した。

 これを日本選手に当てはめるとやはりこういったプレーを参考にし、前陣でのドライブとスマッシュをスムーズにコンビネーション良く、打ち分けられるスタイルを作り上げることで、一歩進んだプレーヤーに育つと思われる。
 しかし、中国の強さはこういったプレーに限らず、接戦での戦術の徹底にある。たとえば、微妙な変化(単調に見えるサービス)から、台上や前陣での両ハンドの3球目攻撃に結びつけられるバリエーションが豊富にあることに、その強さが現れている。

※写真はトップで王楠を破ったキム・ジョン
 水谷はトップでベテランのエロワと対戦し、第1ゲームはフォアハンドドライブのストレート攻撃でエロワの体勢を崩して主導権を取り、またサービスで相手を崩し、出足の良いゲーム運びをした。第2ゲームもペースをつかんだ水谷はラリー戦で相手を圧倒し、9-9と競った場面でもボールコントロールが冴え、レベルの違いを見せた。第3ゲームはスタートでつまづき、レシーブで甘くなった点を突かれて1-8とリードされた。エロワの3球目攻撃のパターンに入り、受け身になってしまったのがゲームを落とした理由だ。第4ゲームはレシーブで2本失点し、変化サービスで相手を崩したが再びレシーブが甘くなり、連続失点するパターン。しかし、サービスの威力は衰えず5-5からの水谷のサービスエースでペースを呼び戻した。最後はサービスでの2点取りで勝負を決めた。試合全体を通じて、水谷のサービスの多彩さ、とレシーブのコース取りの良さが勝因となった。

 2番の韓陽は、台上での先手攻撃で優勢に試合を進めたが、徐々にラリー戦に持ち込まれ、5-2のリードから5本連取を許す。苦しい展開になったが、9-9からのサービス、3球目攻撃のコース取りが良く、特に裏面でのバックドライブで勝負を決めた。第2ゲームはバックサイドの回り込みのフォアドライブと、裏面でのバックドライブが決まり、ペースをつかみかけたが、後半の詰めの段階で消極的になり、逆転を許した。
 1-1となった3ゲーム目は前半の競り合いから7-5とリードするが、フォアドライブを相手にカウンターされて追いつかれ、なんとか得意のサービス、3球目攻撃で競り勝った。第4ゲームはショートとフォアドライブのコンビネーションで相手を揺さぶり、後陣へ下げ、前陣対中・後陣の戦い方で8-3とリードし、そのまま逃げ切った。しかし、全体的には韓陽のフォアドライブにキレがないのが、気にかかる一戦であった。

 3番の吉田は出足で0-4とリードされながら、得意のフォアドライブとフットワークで5-7とばん回するが、レシーブの2本のミスで出足からの遅れを取り戻せなかった。昨日の試合でもレシーブの失点が気にかかる。第2ゲームは、レシーブを修正し、5-3とリードしペースに乗り、特にショートサービスからの台上3球目攻撃が決まり、またフォアドライブの威力も戻り、9-5とリードして第2ゲームを攻めきった。第3ゲームはサービスの調子も良く、4-1とリードし、攻め方もリズムが良くなったが、相手のループドライブにショートのタイミングが合わず、8-9と逆転される。ここで吉田のサービスの威力が発揮され、ジュースに持ち込み、粘り勝った。
 第4ゲームは、フットワークを使ってのフォアドライブとバックのしのぎが重要と思われたが、このゲームの吉田はレシーブでコースを丁寧につくプレーが出始め、プレーに安定性が増し、余裕が出てきた。特にサービスでの間合いがよく、3球目のキレのあるフォアドライブを連発するようになった。ポイント的には競ったが、最後は吉田の得意のフォアドライブで勝利した。
【高島規郎の通信簿】・水谷80点 韓陽75点 吉田70点
  日本 3-0 フランス
○水谷 9,9,-5,7  エロワ
○韓陽  9,-9,8,8 シーラ
○吉田  -6,7,10、9 ルベソン

 日本は昨日と同じ布陣でフランス戦に臨んだ。やはりトップで水谷がエロワを落ち着いたプレーで退け、2番の韓陽も強敵シーラを下した。昨日よりは調子がよさそう。3番の吉田はまだ固いが何とかルベソンに勝った。2年前のブレーメンでは完敗した相手に、完勝。フランスの力が落ち、日本の力が上がっていることを証明した。横のコートではロシアがスロバキアに苦しんでいる。日本のドイツとの一騎打ち。1位通過も夢ではない。

●水谷のコメント
昨日と一緒で、一番で負けるとチームの士気に影響するので、勝てて良かったです。3ゲーム目は相手も開き直ってて、コースを厳しく攻めてきたり、フェイントで打ってきたりして、流れにのられてしまった。4ゲーム目は相手のボールにも慣れて、あとはレシーブがうまく対応できてなかったので4ゲーム目はレシーブに集中した。サービスからの展開は自信があるので、サービスで2点取って、レシーブでなんとか1点取ろうという気持ちで戦った。(明日はスミルノフと対戦する可能性があるが?)ジャパンオープンで当たっていて、2-4で負けているが、相手のやることはだいたい分かっているので、対策はたてられる。向かっていくだけ。勝つ自信はあります

エースとして大活躍の水谷/テレビ東京のインタビューで恥ずかしがる韓陽
●男子 10時~/グループC ドイツ対セルビア/日本対フランス/ロシア対スロバキア
13時~/グループD シンガポール対ベラルーシ/中国香港対ギリシャ/デンマーク対スペイン
16時半~/グループB 韓国対チェコ/チャイニーズタイペイ対スウェーデン/ポーランド対ハンガリー
19時半~/グループA 中国対ルーマニア/オーストリア対クロアチア/ベルギー対イタリア
●女子 10時~ グループA●中国対北朝鮮/アメリカ対クロアチア/ロシア対スウェーデン
グループB●シンガポール対チャイニーズタイペイ/ハンガリー対ルーマニア/ポーランド対ウクライナ
13時~ グループC●中国香港対スペイン/ドイツ対オーストリア/ベラルーシ対タイ
グループD●日本対チェコ/韓国対オランダ/イタリア対フランス
16時半~ グループA●中国対クロアチア/北朝鮮対スウェーデン/アメリカ対ロシア
グループB●シンガポール対ルーマニア/ハンガリー対ポーランド/チャイニーズタイペイ対ウクライナ
19時半~ グループC●中国香港対オーストリア/ドイツ対ベラルーシ/スペイン対タイ
グループD●日本対オランダ/韓国対イタリア/チェコ対フランス
●平野のコメント
 何回か対戦している相手だったのである程度はイメージしてました。前半はレシーブとかフォアとかでイメージと違うところはあったけど、自分から押していっていけてたので気にせずに最後までできた。みんな初戦には気持ちを引き締めて入っていて、声も出していたし、勢いづけたかったので、チームの雰囲気としても出足として良かったと思う。
 イタリアも結構クセのあるチームだし、ドーハの時に負けているので、そういう意味でも気持ちを引き締めていた。3-0で勝つことができていい出足だったと思う。一番ということで緊張もあったが、試合は集中してできた。また明日から新しい気持ちで試合に臨みたいと思う
●男子 予選Aグループ第1試合結果
中国 3-0 ベルギー
オーストリア 3-0 イタリア
ルーマニア 3-1 クロアチア

中国のメンバーは馬龍、王皓、馬琳。三人ともに3-0のストレートで勝利し、セイブ兄弟率いるベルギーに1セットも許すことなく初陣を飾った。

●女子 予選Dグループ第1試合結果
韓国 3-0 フランス
オランダ 3-0 チェコ
日本 3-0 イタリア
 日本対イタリア。一番に出た平野はスタートの集中力が非常に高く、出足からフォアドライブの得点率をアップさせた。またサービスの変化で相手を崩す、もっとも理想的なスタートを切った。2ゲーム目以降も左のステファノバのバック側へのサイドスピンサービスからの組み立てで効果的に得点を重ね、フォアハンドの強打も無理をせず、相手のバック側への徹底した攻めが光った。特に平野のプレーの落ち着きさが感じられた。
 2番の福原は1ゲーム目、サービスで崩し、コースを突く丁寧な作戦で調子を上げ、自分のペースに持ち込んだが、9-3からの詰めの段階に入り、最近の悪い点である迷いが出て、攻め方が雑になり、ジュースで取られた。2ゲーム目は1ゲーム目の攻めの誤りから作戦を絞り、前半でのコースへ厳しく攻めるボールと、速攻を織り交ぜ、前半からペースもよく進んだが、徐々にコースが甘くなっていくところを7-7に追いつかれ、投げ上げサービスからの攻撃でしのいだ。3ゲーム目は先手攻撃とサービスのバリエーションの組み立てが効果を発揮し、本来の調子を取り戻した。4ゲーム目は、福原本来の完璧な両ハンドの攻めが相手を圧倒した。
 3番の福岡は、1ゲーム目、サービスから相手側のバックを攻め相手を崩していったが、後半になり、フォアへのフォアドライブが甘くなり相手にカウンターで強打される展開となった。もう少し前半のまま作戦を徹底していけば取ったゲームだった。2ゲーム目からはサービスをバック側へ徹底し、3球目以降もそのペースを変えずに攻撃し、相手を崩した。3ゲーム目になりバックのツブ高面でのコース配分が相手のミスを誘い、一気に福岡ペースに持ち込んだが、フォア強打のミスによってジュースに持ち込まれるが、ジュースからの王子サービスの威力で圧倒した。4ゲーム目はサービスで着実に2ポイントを取る展開からレシーブにも余裕が出て、福岡ペースで試合が進んだ。後半、やや強打にミスが出たが、最後はバックのブロックでしのいだ。
 全体的に、世界選手権で戦う場合、ひとつの作戦ミスが命取りになるので、徹底した攻めの作戦、または徹底した守りの作戦に迷いが生じないようにすることが大切だと感じられた。やはり勝負所になると自信を持ってやるべきことを、きっちりとセオリー通りに持ち込むことが勝利に近づく第一歩だと思われる。
高島の通信簿。平野は90点、福原65点、福岡70点。