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世界選手権広州大会(団体戦)

男女ともに銅メダル獲得と活躍した日本チーム。特に、男子チームの快進撃は日本のファンを熱狂させたことだろう。女子の陰に隠れ、低迷と言われてきたこの数年間。それが長い助走だったかのように、広州で高く羽ばたいた。今日、男子の表彰式で掲げられた日本国旗。これは「卓球ニッポン」復活ののろしだ。近い将来、表彰台の頂点に立つ彼らを見ることができるはずだ。
 1番は馬琳対柳承敏。柳承敏の敗因はラリー戦に持ち込めなかった点だ。特に台上からの攻めができず、馬琳の徹底的な速攻に敗れた。馬琳は終始、サービスエースを狙い、柳承敏のバックに3球目速攻で攻め込み、ドライブ戦を避けたところに勝因を見いだした。馬琳の台上先手攻撃が柳承敏を上回った。
 2番の王皓対李廷佑。ラリー戦では大半は李が得点し、優位に試合を運んだが、王皓のバックドライブを混ぜた速攻に手こずり、後半は得意のラリー戦に持ち込めなかった。王皓はより速攻性を高め、サービスエースも多くなり、プレーに自信がよみがえり、押し切った。
3番は王励勤対朱世赫。王励勤は得意のフォアドライブで徹底して朱のミドルに攻め込み、体勢を崩し、フォアクロスに決定打を決めた。朱は反撃を試みたが、ことごとくラリー戦で得点することができず、連続失点を繰り返した。王励勤の完璧なまでのカット打ちに敗れた。
 中国の台上での巧さ、そして速攻はより速さを増した。戦術的にも徹底した対戦相手の情報が的確に分析され、相手の弱点を正確に突く試合運びは見事であった。現代卓球では力と力のラリーが目立つが、今後、接着剤等の影響もあり、より緻密な戦術・技術が必要になると思われる。今回の中国のプレーは先を見据えたレベルの高いゲーム展開だった。

先に攻められ柳承敏完敗/王励勤は朱世赫をめった打ち/強すぎる中国チームが今回も優勝
 中国 3対0   韓国
○馬琳  5,-10、6,5  柳承敏
○王皓  -7,12、5,9 李廷佑
○王励勤 5,2,6     朱世赫

3番は王励勤対朱世赫。いきなり王励勤の強烈なドライブが朱に襲いかかる。11-5と第1ゲームはあっという間に終わった。第2ゲーム、王励勤のドライブは止まらない3-0、容赦しない。あの朱のカットがオーバーミス。横で条太氏が王励勤のドライブは毎秒160回転は越えていると断言。5-1でタオリング。朱なすすべなく7-1、8-1で王励勤。朱はサンドバッグ状態、打つこともできない。9-2、10-2、11-2。第3ゲーム、3-0、4-0、4-2,4-3、王励勤にミスが出て4-5と朱が逆転するが、5-5、6-5,朱が攻撃して6-6,王励勤7-6,8-6,9-6、11-6で王励勤が勝ち、中国の優勝を決めた。1時間40分足らず、9時13分に中国が栄光を手にした。

中国 2対0   韓国
○馬琳 5,-10、6,5  柳承敏
王皓  -7,12、5,9 李廷佑

2番は日本戦で水谷を破った韓国の李廷佑と世界ランク1位の王皓。出足5-5から9-6と李がリードし、そのまま11-7で王皓を押し切った。李のドライブが冴えている。第2ゲーム、スタートで王皓が5-2でリードするが8-7まで李が追い上げたところで中国がタイムアウト。9-8、10-8で王皓がリード、李は粘りのドライブとバックブロックで10-10、追いついた!王皓のレシーブミスで11-10で李。そこで劉国梁が使っていたフォアサービスを王皓が使い、11-11。12-12。レシーブがネットインで王皓13-12、次もネットインで14-12のタイブレイクにした。李にとっては何とも痛いネットインだった。
第3ゲームは、いきなり王皓は劉国梁サービスで2本連取。3-0から3-1、李もドライブで応戦、3-2、また王皓のサービスで4-2。李のドライブを王皓がブロックできずに4-3。李のロビングエッジで4-4、さっきのネットインのお返しだ。しかし王皓のサービスで6-4,ここで王皓がまたネットインで7-4,そして結局11-5で王皓が取った。流れは王皓に向いている。
第4ゲームは、3-2と王皓リード、王皓の裏面ミスで3-3、4-4、王皓のドライブがネットインで5-4、王皓裏面ドライブのミスで5-5、李のバックハンドフィッシュを王皓がドライブミスで5-6,そして6-6、李のドライブが決まり7-6で李。7-7、8-8、9-8で王皓。ここで韓国タイムアウト。王皓の裏面レシーブが決まり10-8マッチポイント。最後は11-9で王皓。中国が2-0と優勝に王手をかけた。強すぎだ!

中国  対   韓国
○馬琳 5,-10、6,5  柳承敏

会場を埋め尽くす1万5千人(条太氏推測)の観衆が口々に「加油(チャーヨ)」と馬琳に声援を送る。馬琳は第1ゲームを先取。柳承敏得意のフォアのパワードライブを打つ回数が少ない。台上の巧さ、バックハンドで馬琳が上回り、11-5で取る。第2ゲームは馬琳が出足リードするが、9-8と追い詰められたところでタイムアウト。中国ベンチのタイムアウトはいつも早い。9-9で追いついた柳承敏。そして10-10。馬琳のフォアドライブがオーバーミスで11-10で柳承敏アドバンテージ、最後はサービスからの回り込みパワードライブで12-10、柳承敏取り返す。
第3ゲーム、いきなり5-0と馬琳リード。8-4, 10-4 ,10-6,そして11-6で馬琳。第4ゲームはやはり出足でサービスからの3球目攻撃で馬琳が3-0リードで、韓国がタイムアウト。しかし、7-2、9-3、そして11-5で馬琳が勝利した。馬琳が常にサービス、レシーブで先手を取り、柳承敏はあまりにフォアを打つ回数が少なかった。馬琳の完勝である。
*写真は満員の会場と馬琳対柳承敏
世界選手権の広州大会も残すは男子決勝のみとなった。今日は観客も1万人を超す勢いだ。
それにしても3年前の上海大会とは違い、さらにこの中国での大会ではエンターテイメントとしての世界選手権が強調され、ここがあの中国なのかと思うほどだ。場内アナウンスもいい。英語のアナウンスもいい。合間に流れる音楽の趣味も悪くない。大会後半になると、合間合間にダンサーが現れ、華麗に踊る。オーロラビジョンも結構凝っている。表彰式のプレゼンテーションもいい。
さすがに卓球が国技の中国だ。最近では様々な世界イベントを主催するだけあって、プロ的になっている。観客の反応もわかりやすくていい。
最後の心配は、1年後の横浜だ。あまりその準備状況も聞こえてこない。日本の観客も心配だ。盛り上がってくれるだろうか。中国にいながら、心の中では「頑張れ、横浜」なのだ。

 今日、町中に食事に出かけた。タクシーに乗るとやおら横の条太さん、「次の目標が決まりました。目標と言うより義務です。テレビの解説をぼくがやります!」・・・何、この人。顔はマジだ。昨日テレ東の放送席に行ってすごすご帰ってきた人とは思えない。でも今回1週間一緒にいるとこの人の面白さはよくわかる。時々妄想の世界に行くのだが、サラリーマンにしておくのはもったいない。
今朝、家に電話したら上の息子(高校1年・卓球はしていない、弓道部)が「テレビ見たよ。すごい試合だったね、感動した」とすごいを連発。なんか日本は大変なことになっているようだ。
「この男子のラリーを日本中の人が見てくれて感激だ。死んでもいい(と言ったかな?)」と条太さん。
 来年の横浜の世界選手権は伊藤条太氏のテレビ解説が実現するか。本人は自信満々。試しにタクシーの中で「じゃ。試しにここで昨日の韓国戦を疑似実況してください」と言ったら、躊躇した後、やってくれたのだが・・・まだまだだね。「もう少し訓練すれば・・・」と条太さん。
 横に大竹アナウンサーで、「美女と野獣」コンビはどうだろう。視聴率を取りたいときには松下浩二、深夜の録画放送の時には逆モーション男。
 これも妄想だ。(今野)
報道席に座っている。横には奇天烈逆モーションの執筆者、伊藤条太氏が鎮座している。ぶるるん日記ではITTFのライブスコアリングを上回るスピードでブログにアップ。アクセス数で大差をつけられ言葉もない。
それにしてもきのうの日韓戦では条太さんの熱狂ぶりはすごかった。ひとりでまるでテレビ解説者のように叫び、自分で答えていた。「うぎゃー!」「ぐえ」「ホゴ!」とか意味のない言葉や、「人間じゃない、こいつら」「死にそう!」と訳わからぬ言葉を発して、これは100万円の価値があるというので、自分の口座番号を教えようとしたら断られた。
しかし、日韓戦が始まる30分前に彼は「今野さん、ちょっと上に行ってきます」とやおら席を立った。目がイッテイル。行き先はテレビ東京の放送席。嫌な予感。「テレビ東京の人か松下さんにネタを提供してくる。絶対面白いから」と。10分後に戻ってきた条太さん。肩が落ちている。目もうつろ。最初はメモしていたテレ東の人も途中から手が止まったらしい。「こういうことは私の場合、良くあること。へこたれません」と寂しそうにつぶやく。
その後の日韓戦で、まるで何か振り払うかのように彼のテンションは上がった。それこそ「報道席の平野早矢香」のように何かが彼に降りてきたようだった。
さらに、表彰式前に私に嬉しそうにパソコンの画面を見せる。そこには日本女子チームと条太氏が笑顔で写っている写真が・・。何と愛ちゃんと早矢香ちゃんが大会中も彼のブログを見ていたらしい。それで愛ちゃんが直接条太さんに挨拶をしたらしい。
この中年おじさんはまるで天にも昇るような表情で自慢していた。その日は夜も絶好調。心なしか、視線も上から来るし、勝ち誇った笑顔も・・まあいいか。(今野)
 現地時間1時(日本時間2時)、男子決勝に先立って行われた男子5位決定戦はチェコがチャイニーズタイペイにストレート勝ち。順位決定戦はすべて終了した。結果は以下の通り。

●5-8位決定戦
チェコ 3-0 ルーマニア、チャイニーズタイペイ 3-1 ドイツ
●5位決定戦 チェコ 3-0 チャイニーズタイペイ
●7位決定戦 ドイツ 3-2 ルーマニア

●9-12位決定戦
シンガポール 3-1 ロシア、オーストリア 3-2 デンマーク
●9位決定戦 オーストリア 3-1 シンガポール
●11位決定戦 デンマーク 3-0 ロシア

※13位以下順位
13. ポーランド
14. ベラルーシ
15. スペイン
16. イタリア
17. スウェーデン
18. ハンガリー
19. セルビア
20. クロアチア
21. スロバキア
22. フランス
23. ギリシャ
24. ベルギー

 順位決定戦ではどのチームも主力選手を下げ、若手選手を起用してくるので、特に13~24位の順位は現在のチーム力を正確に反映しているとは言えない。それにしても、スウェーデンが17位、フランス22位、そしてベルギーは24位。特にスウェーデンの17位は、予想できたとはいえショッキングな数字。世代交替が進まないヨーロッパの強豪チームが、苦難の時期を迎えている。
女子の全日程が終了。チャンピオンシップディビジョンの順位はこのように決まった。

●女子最終順位
1.中国
2.シンガポール
3.日本、中国香港
5.ハンガリー
6.オーストリア
7.ルーマニア
8.オランダ
9.ドイツ
10.クロアチア
11.韓国
11.アメリカ
13.北朝鮮
14.イタリア
15.チャイニーズタイペイ
16.ロシア
17.ベラルーシ
18.フランス
19.スペイン
20.ポーランド
21.チェコ
22.スウェーデン
23.ウクライナ
24.タイ

※1~12位は予選グループ1~3位チームのトーナメント戦によって、
13~24位は予選グループ4~6位チームのトーナメント戦によって決定。