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2017世界卓球デュッセルドルフ大会速報

●男子シングルス4回戦
丹羽 ー11、9、ー11、10、5、ー9、9 オフチャロフ(ドイツ)

信じられないほどの速攻! 間違いなく今大会のベストマッチ(今のところ)!
オフチャロフの両ハンドの剛球をフォアのカウンター連打で打ち抜き、丹羽孝希がゲームオール11ー9で勝利。地元ドイツの大観衆の前で、ベスト8に勝ち上がった!

「オフチャロフ選手は非常にボールにパワーがあるので、バックハンドでは入らない。フォアハンドで狙っていきました」と試合後のショートインタビューに応えた丹羽。大会の中盤では「調子がすごく悪くて、フォアハンドが入るかどうかわからない」と語っていたが、世界で丹羽孝希にしかできない超速カウンター卓球を披露。オフチャロフに初勝利を飾った。

1ゲーム目、9ー5のリードからオフチャロフに逆転を許した丹羽だが、2ゲーム目の中盤で見せたオフチャロフの全力パワードライブに対するカウンターは凄まじい切れ味だった。オフチャロフは丹羽のミドルにサービスを集め、レシーブで厳しくサイドを切られるのを防ごうとしてくるが、丹羽はラリーになればクロス・ストレートと自在の両ハンド速攻を見せた。

ゲームカウント1ー2の4ゲーム目、ここを落とすと1ー3となって苦しくなる場面で、丹羽は8ー10から4点連取。9ー10で台上のストップ対ストップから、強打ではなくオフチャロフに打たせてからのブロックを選択。見事にミドルへカウンターブロックを決め、4点連取で12ー10と逆転。この勢いに乗り、イージーミスが増えたオフチャロフを圧倒して5ゲーム目も連取する。

6ゲーム目、バックのカット性ショートなどのテクニックを見せる丹羽が7ー5とリード、7ー6で丹羽がタイムアウト。9ー9までもつれ、ここでオフチャロフが丹羽のフォアサイドを、強烈なカウンタードライブで2本続けて打ち抜く。勝負は最終ゲームへ。
最終ゲームも丹羽の集中力は一本も切れない。中盤で5ー5から9ー5と突き放し、10ー7でマッチポイント。10ー9まで挽回されたが、最後はオフチャロフのミドルへフォアドライブを振り抜いた。観客席の日本選手団に向け、クールな丹羽が大きなガッツポーズ!!
  • とにかく速かった、速すぎた丹羽孝希

  • 競ると粘り強いオフチャロフだが、僅差で及ばず

  • クールな丹羽がこのガッツポーズ!

  • ベンチの倉嶋監督と熱い抱擁

●男子シングルス準々決勝
許シン(中国) ー10、ー9、6、9、ー7、6、10 林高遠(中国)

ゲームカウント3ー3の最終ゲーム、なんと5ー10からの7点連取!
許シンが後輩の林高遠との左腕対決を制した!

3月の代表選考会は2ー1、5月13日のエキシビションでは4ー1、ともに林高遠が勝利。許シンはミドルからフォア前に出される林高遠のYGサービスに手を焼き、2ゲームを先取される。ラリーになっても許シンとまともに打ち合わず、一度止めて前に落とし、許シンにつながせてから次を狙う林高遠の攻めはうまかった。前陣でのバックブロックからのフォアカウンターも随所に見せた。

最終ゲームは5ー3と林高遠がリードしてチェンジコート。9ー5と林がリードを広げ、ここで許シンのフォアサービスがネットミス。命運尽きたかと思われたが、10ー6の林高遠の2回目のマッチポイントで、中陣に下げられた許シンの苦しい裏面でのつなぎがエッジ。この1本で許シンは息を吹き返した。全盛期のフットワークはないとはいえ、中陣ならどこからでもフォアドライブで連打できる許シンのプレッシャーが林高遠を襲う。10ー10に追いつくと、林高遠を強烈な連続フォアドライブで攻め立て、ついに7点連取で逆転を果たした。今日夜の準々決勝で張本智和と対戦する。

うなだれる林高遠。世界ジュニアでは2位が3回というシルバーコレクターで、12年世界ジュニアで年下の樊振東に決勝で敗れた時は、「天才の陰にはこういう選手がいるものだ」と感じた。そこから這い上がり、自力で世界代表の座をつかんだガッツは素晴らしい。しかし、勝利をほぼ手中にしながら、勝利の女神はついに彼にほほえまなかった。
  • 絶体絶命のピンチを乗り越えた許シン

  • 逆転勝利にこの表情

  • 林高遠、あと1本があまりに遠かった

★大会第7日目・6月5日のタイムテーブル

10:00(日本時間17:00)
●男子シングルス4回戦 許シン(中国) vs. 林高遠(中国)

11:00(日本時間18:00)
●男子シングルス4回戦 丹羽孝希 vs. オフチャロフ(ドイツ)

12:15(日本時間19:15)
●男子シングルス準々決勝 李尚洙(韓国) vs. 黄鎮廷(香港)

13:30(日本時間20:30)
●女子シングルス決勝 丁寧(中国) vs. 朱雨玲(中国)

15:00(日本時間22:00)
●男子シングルス準々決勝 馬龍(中国) vs. ボル(ドイツ)

16:30(日本時間23:30)
●男子ダブルス決勝 森薗政崇/大島祐哉 vs. 樊振東/許シン(中国)

19:00(日本時間5日2:00)
●男子シングルス準々決勝 樊振東 vs. 丹羽ーオフチャロフ戦の勝者

20:00(日本時間5日3:00)
●男子シングルス準々決勝 張本智和 vs. 許シンー林高遠戦の勝者

ただいまデュッセルドルフは、現地時間6月4日の午前0時30分。会場やホテルでは、サッカーのヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝を中継しており、会場にも人だかりができていました。今日・明日と、ここドイツのケルンでハンドボールのヨーロッパチャンピオンズリーグ・ファイナル4も行われています。

大会第7日目、6月4日のタイムテーブルは上記のとおり。朝一番の許シンと林高遠のサウスポー対決で、夜20時(日本時間6月5日午前3時)に張本智和が登場する男子シングルス準々決勝の対戦相手が決まります。そして、続いて11時から丹羽がオフチャロフとの大一番。

女子シングルス決勝は日本時間の20時30分スタート。丁寧の2大会連続3回目の優勝か、朱雨玲の初優勝か。クールな朱雨玲も、さすがに決勝は気合いを入れてくるでしょう。そして男子シングルス準々決勝の馬龍対ボルという「黄金カード」を挟んで、森薗/大島が樊振東/許シンとの男子ダブルス決勝に臨みます。

森薗/大島が男子ダブルスで優勝すれば、1961年北京大会の星野展弥/木村興治ペア以来、実に56年ぶり。ちなみに決勝進出も、1969年の長谷川信彦/田坂登紀夫ペア以来の快挙。ここのところ「○○年ぶり」という文字ばかり目にします。それだけ今大会が、日本にとって歴史的な大会になっているということ。

下写真は男子シングルス4回戦の前に行われたレセプションに登場した、69年世界選手権2位のシェラーさん。メガネがトレードマークのカットマンで、伊藤繁雄さんと決勝を戦って惜敗した選手。お元気そうな様子でしたが、「48年ぶり」という時の重みを感じますね…。
●男子シングルス4回戦
李尚洙(韓国) 9、1、3、9 サムソノフ(ベラルーシ)
黄鎮廷(香港) 7、11、8、ー6、7 丁祥恩(韓国)

大会第7日目の最終試合、男子シングルス4回戦の2試合は、李尚洙と黄鎮廷が勝ち上がった。この両者も明日の準々決勝で対戦し、勝者がメダル確定となる。

李尚洙はバック対バックのスピードでサムソノフを圧倒。サムソノフに中陣で粘られても、広角に厳しいコースを攻めるフォアドライブで打ち抜いた。会場から「ブラディ!ブラディ!」の声援を集めたサムソノフだが、ベスト16で大会を終えた。

黄鎮廷対丁祥恩戦は、黄鎮廷の裏面ドライブに丁祥恩が対応できず。フォアに回したボールを、威力あるフリックやパワードライブで攻められた。
  • 動きがキレている李尚洙、サムソノフに完勝

  • リオ五輪ベスト4のサムソノフ、今大会はベスト16止まり

  • 黄鎮廷の裏面ドライブ!

  • 4月のアジア選手権2位の丁祥恩、勝利ならず

●男子シングルス4回戦
馬龍(中国) 8、11、1、6 荘智淵(チャイニーズタイペイ)
ボル(ドイツ) ー5、7、13、9、6 フレイタス(ポルトガル)

男子シングルス4回戦、馬龍とボルが勝利。今大会の男子ダブルスで国際ペアを組んだふたりが、明日の準々決勝で相まみえることになった。

馬龍は荘智淵に快勝。荘智淵は2ゲーム目に7ー10から11ー10と逆転してゲームポイントを握ったが、ここが唯一の見せ場だった。相変わらずの速いフットワークを誇る荘智淵だが、馬龍の両ハンドの速い攻めに崩され、フォアハンドのパワーに押し切られた。

ボルはフレイタスに1ゲームを先取されたが、あわてずに4ゲームを連取。同じ左腕でも、中陣でどうしても攻めが遅くなるフレイタスと、前陣で厳しく攻めるボル。ラリーになると確実にボルが主導権を握っていた。中陣から美しい弧線を引くフレイタスのプレースタイルも、非常に魅力的ではあるのだが……。
  • 健在ぶりを見せつけるボル、ベスト8進出

  • フレイタス、各ゲームとも追い上げるも及ばず

  • 馬龍、寄せつけない強さ

  • 荘智淵、動きのキレは相変わらずだが、勝機を見いだせず

  • 超満員の会場ではウエーブも起こった!

●男子ダブルス準決勝
森薗政崇/大島祐哉 3、ー6、8、ー8、3、6 鄭栄植/李尚洙(韓国)

男子ダブルスで森薗/大島が決勝進出!!

4ゲーム目までは互角の展開だったが、中盤から森薗/大島は台上からの展開を多くした。「相手は台上のチキータやフリックがうまい選手なので、台上よりも長くいこうと思っていたんですけど、今日はあまり入ってこなかった。世界選手権の難しさかもしれないですけど。だから最後は徹底して短くいきました」と試合後の大島。チキータからの長いラリーでは韓国ペアが優位だったが、台上でのストップ対ストップでは森薗/大島が一枚上だった。

そして6ゲーム目。出足で1ー3のビハインドから、森薗が相手のフォアへチキータを2連発。韓国ペアは全く反応できず、ノータッチで抜けた。「6ゲーム目の出足で相手のフォアへ見せ球を使おうということで、1本目がすごく好感触だったので続けていきました」(森薗)。ここから5ー5になったが、森薗のコースの読みにくく、変化のあるチキータでミスを誘い、11ー6で勝利を決めた。

「勝った瞬間は最高でした。メダルを獲った時の喜びがまた味わえたので、もう一度味わえるようにしたい」とコメントした大島。森薗は「もう頭が真っ白でした。なにがなんだかわからなくて、とにかく『大島さんありがとう』という気持ちが強かったです」と語った。いよいよ次は決勝、対戦相手は丹羽/吉村に完勝した樊振東/許シン。「許シンが非常にダブルスがうまくて、台上技術が多彩な選手。樊振東は強力なチキータがあるので、台上をより厳しくいかなければいけない。これから映像を見てしっかり対策を立てたい」(大島)。
  • 闘争心でも韓国ペアを上回った森薗/大島

  • 韓国ペアは得意の台上プレーで精細を欠いた

  • 明日の決勝も頼んだぞ!

●男子ダブルス準決勝
丹羽孝希/吉村真晴 -7、-2、-7、-4 樊振東/許昕(中国)

 1ゲーム目から中国ペースで進んでいく。最後まで勝機を見いだせないまま日本ペアは敗れた。

試合後の丹羽のコメント
「何をしても点数が取れないし、相手から打たれる前に自分たちがミスをしてしまった。もう少し入れていければと思いました。全体的に少しずつレベルアップしていかないといけないし、すべての技術が向こうが上だった。相手のバックに持って行こうとするんだけど、相手の威力がすごくて、結局相手の待っているところに行ってしまう。日本選手団としては良い成績が出せている。明日のシングルスではオフチャロフに勝って、樊振東にリベンジしたい」

試合後の吉村のコメント
「ラリーの中で全く点数が取れなかった。まだまだ自分たちが自信を持ってやれなかった。こちらがナイスボールを打っても、相手もナイスボールで打ち返してくれる。中国に打ち負けないラリーの力に圧倒的な差がある。強くなるためにがそこが必要。それにしても相手は強かったです。中国に勝つにはまだまだ自分の力じゃだめだなと思いました」
  • 丹羽/吉村、中国ペアに敗れる

  • ボールの質の高さを見せつけた樊振東/許シン

 メインアリーナで行われた混合ダブルスの表彰式。79年世界選手権での小野誠治さんの優勝時は、世界選手権での国旗掲揚・国歌演奏はなかったので、世界選手権で初めての日の丸の掲揚、君が代の演奏だ。ただ、日の丸がゆっくり揚がっていくせいか、なぜか君が代は2回流れた……。
 吉村/石川ペアの優勝会見は下記のとおり。

★吉村/石川ペアの優勝会見

「前回は悔しい思いをしたので、優勝して優勝カップを持ち帰れてうれしいし、最後まであきらめないで戦いました。苦しい展開になって私たちのコンビネーションが試された時に、練習をたくさんやってきたことが生きたと思います。
 6ゲーム目の終盤、相手の選手のレシーブが良くてなかなかチャンスボールが来なかったので、わからないように変化をつけてプレーすることと、10-9の時に吉村君に『任せてくれますか』と言われて、『任せるよ、絶対入るから』と話をして、ナイスボールを決めてくれた。コンビネーションの良さが出た」(石川)

「表彰台の一番高いところに立って、これが1位と2位の差かと実感し、世界チャンピオンのすごみを実感しました。本当に苦しい場面が前半の多くて、その時に石川さんが『大丈夫、大丈夫』とずっと励ましてくれて、最後まで何とかしてやろうと思って、それが自分の救いになりました」(吉村)
●混合ダブルス決勝
吉村真晴/石川佳純 ー8、ー8、8、ー10、4、9、5 陳建安/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)

ゲームカウント1ー3のビハインドを跳ね返し、混合ダブルス優勝は吉村真晴/石川佳純!
2年前の準優勝の悔しさを晴らす初優勝だ!

しかし、苦しい試合だった。日本ペアが有利かと思われた決勝だが、タイペイペアのダブルスのテクニックは予想以上。ともに強力なフォアドライブを誇る陳建安と鄭怡静、ダブルスでも力攻めでくるかと思いきや、台上ではストップや深いツッツキを打たせてバックハンドでコースを突き、チャンスボールだけフォアの強烈なパワードライブ。陳建安は13年世界選手権で荘智淵と組んで男子ダブルス優勝の実力者。そのテクニックを侮ってはいけなかった。

吉村/石川はゲームカウント1ー3のピンチから5ゲーム目を返したが、6ゲーム目は一進一退。陳建安の強烈なバックストレートへのカウンターを食らう場面もあり、7ー8と敗戦まであと3ポイントだった。
しかし、この窮地で本領を発揮したのが吉村。逆転して10ー9でゲームポイントをつかみ、ここでフォアの流しフリックで鮮やかなノータッチを奪う。

これで吉村に完全にエンジンがかかった。最終ゲームは吉村の強烈なフォアフリックが立て続けに決まり、5ー0でチェンジコート、8ー1と大量リード。最後は10ー5で、陳建安がやっと上げたロビングを石川がスマッシュで打ち抜いた!

2年前は抱擁も遠慮がちだったが、今回は堅く抱擁を交わしたふたり。石川はベンチに戻っても涙が止まらなかった。69年ミュンヘン大会の長谷川信彦/今野泰子ペア以来となる、48年ぶりの戴冠だ!
  • 吉村/石川、吉村が最終ゲームに大爆発!

  • 想像以上に緻密で手強かったタイペイペア

  • 優勝!歓喜の抱擁!

  • 石川はベンチでも涙、涙……

●女子シングルス準決勝
朱雨玲(中国) ー10、9、ー7、8、ー8、9、5 劉詩ウェン(中国)

女子シングルス、丁寧に続くファイナリストは……朱雨玲!

前陣でのピッチの早い両ハンド攻守を見せるふたり、激しい打撃戦となり、一進一退の展開。1ゲーム目に3ー9、6ー10とリードされながら逆転した劉詩ウェンがゲームカウント3ー2とリードし、3大会連続の決勝に近づいたかと思われたが、勝負所で劉詩ウェンはフォアハンドで勝負できなかった。ゲーム終盤は朱雨玲が先に、先にと仕掛けて、最終ゲームは5ー1と朱雨玲がスタートダッシュ。これで勝負あり。

過去4大会で3位、3位、2位、2位という成績だった劉詩ウェン。ついに1位へ駆け上がるかと思われたが、また3位へと後退。朱雨玲は13年パリ大会の準決勝、15年蘇州大会の準々決勝で勝っている相手だったのだが…。類い希なボールセンスを見せつけてきた劉詩ウェンの、悲願の頂点への道のりは果てしなく険しくなった。2年後の世界選手権で、再びチャンスは訪れるのだろうか。
  • 朱雨玲、劉詩ウェンをゲームオールで振り切り、ついに決勝へ

  • 劉詩ウェン、機は熟したと思われたが…