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2017世界卓球デュッセルドルフ大会速報

★世界選手権個人戦・デュッセルドルフ大会のメダリスト

●男子シングルス
優勝:馬龍(中国)
準優勝:樊振東(中国)
3位:李尚洙(韓国)、許シン(中国)

●女子シングルス
優勝:丁寧(中国)
準優勝:朱雨玲(中国)
3位:平野美宇(日本)、劉詩ウェン(中国)

●男子ダブルス
優勝:樊振東/許シン(中国)
準優勝:森薗政崇/大島祐哉(日本)
3位:鄭栄植/李尚洙(韓国)、丹羽孝希/吉村真晴(日本)

●女子ダブルス
優勝:丁寧/劉詩ウェン(中国)
準優勝:陳夢/朱雨玲(中国)
3位:早田ひな/伊藤美誠(日本)、馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)

●混合ダブルス
優勝:吉村真晴/石川佳純(日本)
準優勝:陳建安/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
3位:方博/ゾルヤ(中国/ドイツ)、黄鎮廷/杜凱琹(香港)

世界選手権個人戦デュッセルドルフ大会、各種目のメダリスト一覧は上記のとおり。日本選手団は各種目で計5個のメダルを獲得するメダルラッシュとなった。下写真左は表彰式での早田/伊藤、下写真右は同じく表彰式での馬龍。

今大会での模様は、6月21日発売の卓球王国8月号に早くも掲載。すべてのメダリストのペアや選手、さらにシングルスで史上最年少のベスト8入りを果たした張本智和など、今大会で新たな歴史を築いた選手たちの最新インタビューも一挙に掲載します。どうかご期待ください!
●女子ダブルス決勝
丁寧/劉詩ウェン(中国) ー9、8、ー11、8、6、ー6、9 陳夢/朱雨玲(中国)

こちらもゲームオールの熱戦となった、今大会の最終試合、女子ダブルス決勝。最終ゲーム終盤までもつれたが、丁寧/劉詩ウェンが10ー9の2回目のチャンピオンシップポイントで、決死のフォアドライブ連打で陳夢/朱雨玲の堅陣を打ち抜き、歓喜の優勝!

世界選手権のシングルスでは3回優勝している丁寧も、09・11年大会は郭炎とのペア、13年大会は劉詩ウェンとのペア、そして前回の15年大会は李暁霞とのペアで、いずれも準優勝。4大会連続の2位にあまんじていたが、劉詩ウェンとの2回目のペアリングで、ついにタイトルを勝ち取った。丁寧にとっては最高の世界選手権。シングルスでは3位だった劉詩ウェンも満面の笑顔を見せた。
男子シングルス決勝後、すぐに記者会見に臨んだチャンピオンの馬龍と、2位の樊振東。コメントの一部は下記のとおり。

★馬龍
「今はとてもハッピーだ。樊振東にはごめんと言いたいけど、彼には将来がある。今日の試合は心理的なゲームで、その中で自分は少しリラックスすることができた。自分をここまで導いてくれた劉国梁監督、そしてチームメイトの張継科に感謝したい。彼は自分のロールモデルだったから。また、ぼくらはオリンピックで戦うかもしれないから、これからもレベルを上げることに挑戦していきたい。
 (今大会は)疲労感があった。オリンピックイヤーと言うこともあり、ボールも違うので苦労したけど、劉国梁監督にも相談してなんとか克服できた。今までこんなにすごい試合は経験したことがない。
 東京オリンピックはまだ先のこと。今回の優勝は自信にはなったけど、東京までは少しずつ考えていきたい」

★樊振東 
「今日は二人ともハイレベルの試合だった。優勝する機会を失ってしまったし、チャンスもあった。とにかく馬龍に祝福の言葉を述べたい」
7ゲーム目10ー10、観客が踏みならす足音がアリーナを揺るがした!
まさに紙一重の勝負を制して、馬龍が世界選手権2連覇!

ゲームカウント3ー1と馬龍が優勝に王手をかけながら、樊振東が2ゲームを返して最終ゲームまで持ち込まれた男子シングルス決勝。技と経験の名横綱が土俵際まで押し込みながら、新進気鋭の実力派大関が土俵中央まで押し返した、という感じだ。片方の選手が樊振東だからか……。

序盤に「うまみ」を見せたのは馬龍。1ゲーム目こそ落としたものの、2ゲーム目から樊振東の快速チキータに対し、時に速いバックハンドのカウンターで合わせ、時にタイミングを外す弧線の高いバックハンドで対処する。バック対バックで速いボールばかりになる樊振東は、この緩急にミスが多くなった。また、馬龍はフォアに飛ばされたボールを、すべてフォアストレートにカウンター。大きく空いたバックサイドに速く返されるリスクはあるが、樊振東は待ちを外され、ブロックのミスが続いた。

台上でも無理に仕掛けず、先に打たせてからカウンターする馬龍のプレーは、まさに横綱相撲。しかし、樊振東も5ゲーム目から、新たな境地を見せる。バック対バックから回り込みのフォアハンドを増やしながら、3球目攻撃であえて打球点を落として攻めたり、弧線の高いバックハンドを混ぜたりと、馬龍のお株を奪うような緩急を披露。そして6ゲーム目の10ー7のゲームポイントでは、一撃のチキータで馬龍のフォアサイドを抜く。勝負はついにゲームオールへ。

7ゲーム目、馬龍5ー3のリードから樊振東が回り込んでバックストレートへのカウンタードライブ、そしてチキータでのレシーブエースで9ー7と逆転。馬龍が3点連取で10ー9でチャンピオンシップポイント……と目まぐるしく展開は変わる。
そして最後の一本は、「さすが馬龍」だった。樊振東のバックサイドを切ってくるようなチキータに対し、回り込んでバックストレートへカウンターを一閃。これが見事にノータッチで抜けた!

ラケットを放り投げ、クルリとフロアに転がった馬龍。呆然とする樊振東。この一本は誰にも取れない。最後の最後で、チャンピオンはやはりチャンピオンだった。
●男子シングルス決勝
馬龍(中国) ー7、6、3、6、ー5、ー7、10 樊振東(中国)

最終ゲーム11ー10、2回目のマッチポイントで樊振東のバックサイドを切るようなチキータを回り込み、バックストレートに打ち抜いた馬龍!!!
驚愕のエンディング、世界選手権2連覇!

詳報は後ほど!
●女子ダブルス準決勝
丁寧/劉詩ウェン(中国) 12、9、6、ー6、3 早田ひな/伊藤美誠
陳夢/朱雨玲(中国) 6、6、ー6、8、7 馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール)

早田/伊藤ペア、出足から攻撃的なプレーで中国ペアに挑んだが、1ー4で敗れ、銅メダルが確定した。女子ダブルス決勝は中国勢同士の対戦となった。

早田のチキータと中陣からのパワードライブ、伊藤のバック表ソフトでの多彩なレシーブは、中国ペアにも十分通用した。中国ペアはやや打ちミスが多く、試合後に伊藤が「中国も全部がうまいわけじゃないと思いました。隙はある」と語っていた。しかし、打つと決めた時の中国選手は、どんなに厳しいボールでも迷わず打ち込んでくる。「世界選手権になると、ボールが出ても出てこなくても、打つと決めたボールは迷わず打ってくる。気迫が違うなと感じました」(伊藤)。

一方で中盤以降は、速攻が持ち味の劉詩ウェンがループドライブをうまく使ってミスを誘ってきた。5ゲーム目、早田/伊藤の3ー2のリードから中国ペアが9点連取で一気に試合を決めたが、その得点の多くは日本ペアのミス。早田/伊藤はどうしても自分たちから攻撃し、強打による得点を狙うプレーになるが、中国ペアは得点のパターンが多彩。打たせて取るのもうまい。

「相手をあまり動かせなかった。とにかくボールを入れるので精一杯で、最初からコースを突く余裕があれば良かったなと思います」(伊藤)。「自分たちは返すことしかできない。それが中国との差。相手を崩すコース取りや戦術は意地でも徹底して、得点を狙わないといけない」(早田)。

しかし、伊藤の変化と一撃の強打に、早田の中陣両ハンドがかみ合えば、このペアの総合力は非常に高い。ペアを組んで4カ月、まだまだ伸びしろは十分だ。 
  • 早田/伊藤、果敢に中国ペアに挑んだ

  • ややミスが多かった中国ペア。しかし要所を締めた

  • 出足のプレーが最高だっただけに、悔しさの残る敗戦

  • すごいウェアで登場した陳夢/朱雨玲

●男子シングルス準決勝
樊振東(中国) 6、9、6、1 李尚洙(韓国)

男子シングルス、二人目のファイナリストは樊振東!

4ゲーム目、すでにゲームカウントを3ー0とリードした樊振東が、8ー0の大量リード。フォア前への李尚洙のサービスを2本続けてストップでビタッと止めてミスを誘い、10ー0。会場が騒然とする中、樊振東がわざとサービスミス。大きな拍手が沸き起こる中、樊振東があまりにも鮮やかなバックストレートへのカウンターバックハンドを決めた。11ー1!

李尚洙は1ゲーム目に得意のロングサービスを樊振東に狙われ、そこからほとんどロングサービスを使えなくなった。ロングサービスと組み合わせて使うフォア前へのサービスが多くなったが、樊振東はそのフォア前サービスを全く苦にせず。リスクを冒してでも、ロングサービスで勝負する価値はあったと思うが……。

2ゲーム目の10ー9ではYGサービスでサービスエース、3ゲーム目の10ー6では李尚洙のチキータに対し、タイミングを外す柔らかいタッチのブロック。樊振東はプレーの幅も広かった。李尚洙も前陣でのバック連打や飛びつきざまのフォアクロスのドライブなど、質の高いボールを打ち込んでいたのだが、樊振東は崩れなかった。
  • 樊振東、馬龍との頂上対決だ!

  • 李尚洙、敗れるも韓国に銅メダルをもたらす

●男子シングルス準決勝
馬龍(中国) 6、9、9、6 許シン(韓国)

男子シングルス準決勝の第1試合は、馬龍が許シンにストレート勝ち。

手の内は知り尽くしたふたり。サービスや台上のテクニックが通用しない許シンにとっては、勝機を見出すのは難しい試合だった。2ゲーム目に許シンがサービスの組み立てを変え、馬龍のストップを浮かせて3球目パワードライブを連発。9ー6までリードしたのだが、ここから馬龍がカウンタードライブでバックストレート、フォアストレートと立て続けに打ち抜き、5点連取で11ー9。この時点でほぼ雌雄は決した。

4ゲーム目に馬龍は6ー0までリードを広げる。6ー2になったところでタイムアウトを取ったのは、念には念を入れたというべきか、余裕というべきか……。許シンの中陣ドライブをことごとくカウンターで打ち抜いた馬龍が、マッチポイントでも圧巻のフォアストレートを決め、決着をつけた。

フォアストレートへのカウンタードライブの決定率と精度は、前回大会に比べても増しているのではないだろうか。世界&五輪チャンピオンになっても、馬龍はなお進化している。
  • 馬龍のカウンタードライブ、恐るべき威力と精度

  • 許シン、勝機を見いだせず

★大会最終日・6月5日のタイムテーブル

10:00(日本時間17:00) 
●男子シングルス準決勝 馬龍(中国) vs. 許シン(中国)

11:00(日本時間18:00)
●男子シングルス準決勝 李尚洙(韓国) vs. 樊振東(中国)

12:00(日本時間19:00)
●女子ダブルス準決勝 馮天薇/ユ・モンユ(シンガポール) vs. 陳夢/朱雨玲(中国)

13:00(日本時間20:00)
●女子ダブルス準決勝 丁寧/劉詩ウェン(中国) vs. 早田ひな/伊藤美誠

14:30(日本時間21:30)
●男子シングルス決勝

15:30(日本時間22:30)
●女子ダブルス決勝

8日間の世界選手権個人戦もいよいよ最終日。タイムテーブルは上記のとおり。女子ダブルス準決勝で、早田/伊藤ペアが中国の最強ペア、丁寧/劉詩ウェンに挑む。

王国取材班も現地入りして11日目ですが、今日も大会取材にメダリストのインタビューと会場を駆けずり回ります。頑張れ、早田/伊藤ペア!
 「よくやった」という表情ではなかった。悔しい表情を見せながら試合コートから出てきた倉嶋監督のコメント。

「もっと良い勝負ができると思っていた。中国選手が相手だと何かやられるんじゃないかという思いをもって戦いすぎて、イージーミスがあった。それがなかったらリードできる展開になったかもしれない。許シンの厳しいサービスがフォア前に出されて、チキータとか多彩な技術で対応できなかったのが敗因。とは言え、この世界選手権に13歳張本の爪痕を残すことができた。
 サービス、台上技術が上達しているし、チキータとフリックを使い分けることができる。張本は世界でも十分戦えるプレースタイルになっている。
 張本のフォアにサービスを出してループをさせてそれをカウンターで狙ってきた。絶妙なサービスだった。
 ぼくの中で驚いているのは張本は完成形ではなく、40、50%くらいなのに、これだけ世界に衝撃を与えるプレーができたこと。でも、まだ道半ば。チャンピオンに近づくにはまだ足りないことがいっぱいある。
 張本はこの半年間で成長したし、代表で過ごした半年間が大きかった」