日本のプロ選手契約に異変が起きている。
男子において、『テナジー』というモンスターラバーを武器にトップ選手を総取りしていた「バタフライ」(タマス)。選手は他のメーカーと契約したくても、『テナジー』から離れることが難しかった。国内外でもタマスとの契約ではないのに『テナジー』を使用している選手がいるのも事実だ。
しかし、昨年1月に元全日本チャンピオン、世界ランキング10位代の丹羽孝希(スヴェンソン)がヤマト卓球と契約し、VICTASのアドバイザリースタッフになってから業界の風向きが変わってきた。
そして、ここに来て、吉村和弘、松平賢二という国内の大物選手がヤマト卓球と契約することになり、他社も「うちにも契約できる可能性があるかも」と思うだろうし、丹羽以来の契約の流れが、選手と卓球メーカーとの契約金を高騰させることになっていくだろう。
契約金の金額はメーカーと選手との守秘義務により明かされないが、選手同士は「阿吽(あうん)の呼吸」でそれとなく金額を推測できるものだ。プロ選手であれば、使用できる用具があるのであれば、好条件のメーカーとの契約を模索するのは当然のことだ。
●最近のトップ選手の契約メーカー移籍(ブランド名で表記)
丹羽孝希 バタフライ→VICTAS
張本智和 ヤサカ→バタフライ
吉村和弘 バタフライ→VICTAS
松平賢二 バタフライ→VICTAS
森薗美咲 ニッタク→ミズノ
ただし、昨今、契約を複雑にしているのは、アドバイザリー契約でありながら「ウエアは着用するけど、用具は使えません」もしくは「ラケットは使えますがラバーは勘弁してください」「シューズだけは他社と契約したい」という要望を選手が出すケースだ。依然としてラバーの『テナジー』やミズノやアシックスのシューズが選手の支持を得ている現実が一方である。
そういう意味では4月1日付の吉村と松平の契約は卓球市場を動かしていくきっかけになるかもしれない。 (今野)