スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 4年に1回の中国スポーツ界の祭典、全中国運動会の閉幕からはや3週間あまり。熱戦の模様は10月21日発売の卓球王国12月号に掲載。その他に大会で感じたことを、少し中国リポートにも書いてみたい。題して「全中国雑記帳」。どれだけ続くかは…わかりません。

 今回の全中国のハイライトのひとつは、何と言っても団体と男子ダブルスを制し、シングルスも優勝まであと一歩と迫った樊振東の活躍。台上バックドライブのコースの打ち分けと次球への連係が、以前よりもはるかに良くなり、不用意に中・後陣に下がるプレーも減った。若手にありがちなプレーの粗さがなく、バックブロックで柔らかいボールタッチを見せつけたかと思えば、ループドライブで巧みに相手の待ちを外す。そしてパワードライブの球威は、完全にジュニアの域を越えている。
 緻密でありながら大胆、豪快でありながら柔軟。まさに卓球の申し子だ。16歳7カ月で優勝していたら、全中国運動会での史上最年少優勝だった。劉国梁総監督も「まるでロケットに乗ったみたいに、すごいペースで成長している」と賛辞を送っている。

 中国では「小胖(シャオパン)」、つまり「おデブちゃん」というあだ名がある通り、ぽっちゃりした体型は相変わらず。しかし、体の上下のブレが少なく、しゃがみ込みながらフォアドライブを打っても、すぐに体勢を戻せる体の復元力がある。「強靱なゴムまり」という感じで、柔らかくて強い筋肉の持ち主なのではないか。

 これだけの才能がありながら、卓球との出会いは少々ユーモラス。入学する予定だった小学校に「スポーツのクラブに入れば授業料を減額する」という規定があったため、両親が地元の少年宮で卓球を始めさせたのだという。そして、その小学校には卓球部しかなかったのだ。「好きも嫌いもなく卓球を始めることになったけど、卓球を退屈とは思わなかった」とコメントしたこともある。
 それからの競技人生はまさにトントン拍子。11歳で名門・人民解放軍チームの一員となり、2012年5月に15歳で国家2軍(ジュニアチーム)入り。いきなりアジアジュニア選手権で優勝すると、全中国選手権でのベスト8進出によって国家1軍チームに昇格。「直通パリ」では自力での代表権獲得はならなかったものの、王皓やハオ帥を破る活躍でパリ大会代表に抜擢された。16年リオデジャネイロ五輪の中国男子代表は、現時点では張継科・馬龍・許シンの3名が有力だが、割って入るとすればこの男だ。
 
 あまり大風呂敷を広げるのもナンですが、個人的には彼が世界チャンピオンになることを確信しております。11月発売号(2014年1月号)では、樊振東の技術特集も掲載予定。ご期待ください!


全中国運動会・現地リポート
http://world-tt.com/ps_info/ps_report.php?bn=146&md=1
  • 頭の中で白い割烹着を着せると…似合いすぎです

  • 自分でゼッケンをつけていた後ろ姿。デカいです