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中国リポート

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 少々前のニュースですが、1月16〜17日に広東省・広州市の広州体育職業技術学院で行われた、「全国卓球工作会議および中国卓球協会総会」の話題をお伝えしましょう。
 この会議には中国卓球協会の会長や副会長(新規選出も含む)、各省や自治区の卓球部門の責任者、山東魯能・江蘇中超電纜などのクラブチームの責任者、スポンサーである五糧液や李寧、中国聯通の担当者など、100名以上が出席した。

 この会議の中で、中国卓球・バドミントン・サッカーの3協会を会長として束ねることになった蔡振華が興味深い構想を述べている。
 「2020年までに、15歳以下の選手たちには必ず9年間の義務教育を受けさせること。国家チームのコーチの90%、全国のコーチの70%に大学生と同レベルの学習能力を身につけさせるようにする。選手を育成するうえで、コーチが与える影響は非常に大きいものだからだ。すでに中国のコーチ陣は世界のトップレベルにあるが、長期的な発展を考えるなら、より総合的な能力を高めていく必要がある」(蔡振華)。

 「9年間の義務教育が必須」という蔡振華の発言は、日本人からすると奇妙な感じを受けるが、中国では早くからプロ的な競技環境に身を投じた結果、小学校すらまともに通っていない選手も存在する。コーチの“人間力”の向上については、次のようなコメントもある。
 「劉国梁総監督や秦志ジェンコーチも引退後に上海交通大学で学んでいる。引退後に大学でより深く学んだことと、自ら体験してきたことをうまくミックスさせれば、指導力は向上する。今後は『引退→即コーチ』というケースは少なくなっていくだろう。トップ選手でも現役引退後は、大学で数年間学ぶのが理想的だ」(蔡振華)。

 中国スポーツ界きっての切れ者、蔡振華に言われてはグウの音も出ないところ。日本のスポーツ界でも、他人事とは言い切れない。ハッキリ言ってしまえば、選手もコーチも、卓球しかできない人間は要らない、ということだ。そういう選手やコーチが、これから海外に流出してくる……可能性もある?
 
  • 奥さんの王瑾さんとともに上海交通大学で学んだ劉国梁