スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 2月12〜16日に行われたITTFワールドツアー・クウェートオープン。世界ランキング109位のペンドライブマンが、日本男子の前に立ちはだかった。香港の黄鎮廷(ウォン・チュンティン)だ。
 1991年9月7日生まれの22歳で、香港生まれの香港育ち。昨年のクウェートオープンでも、男子シングルス1回戦で張継科(中国)をゲームオールジュースまで追い詰め、注目を集めたが、今大会では2回戦で岸川聖也(ファースト)、3回戦で松平健太(早稲田大)という世界代表組を破り、準々決勝でも優勝した樊振東(中国)と激しい打ち合いを演じた。裏面打法はまだまだ荒削りだが、バックストレートにも回転量の多いボールが打てるし、フォアの一発ドライブにも破壊力がある。

 プロフィールでは身長170cm・体重68kgとそれほど上背はないが、身体能力の高さを感じさせる黄鎮廷。香港の林大輝中学(6年制)に学び、プロ選手としてのスタートは18歳と中国本土の選手に比べるとかなり遅い。しかし、かつて香港卓球協会の公式HPに掲載された記事で、彼は自らの長所を次のように述べている。「自分の卓球センスは平凡。だけど、ぼくは普通の若者たちのように、街に出て買い物をするような趣味は持ち合わせていない。午前中の練習が終わったら、午後の練習のためにしっかり休息を取る。午後の練習が終わったら、翌日の練習のためにしっかり休む。練習に対する集中力はかなりあると思う」。

 香港チームの陳江華(チャン・コンワ)総監督は、クウェートオープンでの黄鎮廷のプレーについて、「松平健太を破ったプレーは見事だった。自信がついてきたし、ファイトもあるし、戦術面でも明らかな進歩が見られる。樊振東戦は第2ゲーム10-7のチャンスを生かせなかったのが残念だ」とコメントしている。
 香港代表としては昨年の世界選手権パリ大会(個人戦)で初の代表となり、先輩の唐鵬と組んだダブルスでベスト32まで進んだ。JA全農世界卓球東京大会(団体戦)でも、香港男子チームのメンバーに入ってくるだろう。日本男子にとっても注意すべき選手だ。
  • クウェートオープンで活躍した黄鎮廷(写真提供:ITTF)

  • こちらは昨年の荻村杯でのプレー