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全国高校選手権(インターハイ2018)

 インターハイの観客席で、3つの学校のTシャツを着替えながら、元気に応援しているお母さんがいる。自身も91年の浜松インターハイに地元・誠心高から出場し、中央大でも選手として活躍した沼野(旧姓:大森)あゆ美さん。長女・薫さんは広島・進徳女子高3年、次女・朱里さんは埼玉・正智深谷高2年、そして三女・有希さんは山梨・日本航空高1年。それぞれ強豪校の一員として腕を磨き、ここ豊田の地に集まった。

 静岡・ファミリースポーツ少年団で卓球を始めた三人の娘さんが、インターハイで顔を揃えるのは今年が最初で最後。「一生に一回のことだし、他の誰にも味わえないことだから、自分の中でもワクワクしていました」(沼野さん)。

 沼野さんは小さい頃から父・健良さんに厳しく鍛えられ、地元で迎えた浜松インターハイでは勝つことがすべてだったという。「高校時代までは、実は卓球は嫌いでした。社会人になって、卓球ってこんなに楽しいのかと思ったんです。だから娘たちには、卓球を嫌いになってほしくなかった。進路も自分たちで選ばせました」

 旦那さんの正博さんも駒澤大卒で、マスターズなどの全国大会でお馴染みの名選手。「今大会、個人戦に出られたのは三女だけですけど、こうやって全国大会で集まれるというのは中々ないこと。本当に幸せだなと思いますね。たくさんの方のご指導とご協力のおかげです」。

 「高校時代は苦しいことも多いけど、『卓球をやってきて良かったな』と思ってほしい。スポーツをやっていないと味わえないものがありますから」とあゆ美さんは言う。少しの寂しさを残して、二度と来ない沼野家のインターハイは終わろうとしている。それでも卓球と紡ぐストーリーは、これからもずっと続いていくだろう。
  • 沼野正博さんとあゆ美さん、三人の娘さんとインターハイで集合

  • 3つの強豪校のTシャツ