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中国リポート

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〈全中国選手権・女子シングルス〉
●準々決勝
郭躍(遼寧省) 2、10、8、-11、3 丁寧(成都市)
李暁霞(山東省) 6、5、9、3 陳晴(江蘇省)
郭炎(北京市) 6、8、5、-9、-8、8 彭陸洋(山東省)
劉詩ブン(広東省) 7、6、7、8 木子(八一工商銀行)
●準決勝
李暁霞 5、-12、3、-7、-8、8、7 郭躍
劉詩ブン 7、-9、-8、6、-8、7、10 郭炎
●決勝
劉詩ブン -3、-8、4、7、4、9 李暁霞
※王楠は棄権

 全中国選手権女子シングルスでベスト8に入った選手の平均年齢は19.87歳。ジュニア世代の劉詩ブン(16歳)、丁寧(17歳)、木子(18歳)をはじめ、最年長の郭炎でもまだ25歳。中国国内は北京五輪の代表メンバーの話題でもちきりだが、全中国選手権にはすでに2012年ロンドン五輪への胎動が感じられる。決勝は混合ダブルスを制した劉詩ブン(雨かんむり+文)(リウ・シウェン)と、準決勝で世界チャンピオンの郭躍に競り勝った19歳の李暁霞(リ・シャオシア)の10代対決となった。

 序盤、ゲームカウント0-2とリードを許した劉詩ブンだが、第3ゲームからは一気に攻勢に出る。第3、4ゲームを奪ってゲームカウント2-2のタイに戻すと、第5ゲームは1-4のビハインドからなんと10本連取の離れ業を演じ、一気に優勝へ王手。第6ゲームはやや勝利を意識してリードされる場面もあったが、最後は10-8のチャンピオンシップ・ポイントから李暁霞のドライブがネット。北京五輪の代表候補選手に注目が集まる中、劉詩ブンが鮮やかに優勝をさらった。逆に北京五輪の3番目の椅子を狙う李暁霞にとっては痛恨の敗戦となった。

 次第に大型化している中国女子チームの中では小柄な身長155cm。コートを離れると笑顔のかわいい女の子に戻る劉詩ブン。身長が低く、早くから頭角を現していることから「小トウ(登+おおざと)亜萍」というあだ名がある。ちなみにトウ亜萍は1986年の全中国選手権で、なんと13歳で優勝している。
 しかし、バック面のツブ高ショートでラリーの時間をコントロールしたトウ亜萍に比べ、劉詩ブンは真っ向勝負の両面裏ソフトドライブ型。それでいて張怡寧(身長168cm)、郭炎(身長172cm)、李暁霞(身長174cm)といった同じ両面裏ソフトのパワーヒッターたちを打ち破るのだから、彼女がどれほどのセンスの持ち主かよくわかるだろう。決勝終了後に脱水症状に近い状態になり、ドーピング検査(尿検査)が1時間半以上かかって報道陣をやきもきさせたそうだが、最後まで戦い抜いた体力・精神力は見事。

 表彰式では副賞として、無錫市の名産である紫砂の急須(きゅうす)をひとつ送られた劉詩ブン。実は混合ダブルスの表彰でも、ハオ帥と一緒に急須を受けとったのだが、ひとつしか貰えなかったためにハオ帥が劉詩ブンに譲っていた。「この急須はハオ帥に渡そうと思います。今はちょうどひとりに一つずつだから…」。16歳の新女王は初々しいコメントを残した。

Photo上:昨シーズンは広東佐川急便チームでプレーした劉詩ブン(06年超級開幕戦)
Photo中:前陣での両ハンド強打が最大の武器(05年全中国運動会)
Photo下:あこがれの選手だという福原愛選手とニッコリ(06年超級開幕戦)