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中国リポート

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●全中国選手権・男子シングルス準々決勝
王皓(八一工商銀行) 4、6、5、5 胡冰涛(上海体校曹燕華隊)
王励勤(上海市) -8、-8、9、6、6、5 陳剣(浙江省)
馬龍(成都市) 5、6、-7、8、7 陳杞(江蘇省)
張継科(八一工商銀行) -2、8、8、-9、6、6 馬琳(汕頭市)
●準決勝
王皓 5、-3、10、9、5 王励勤
馬龍 7、6、7、7 張継科
●決勝
王皓 -9、9、5、5、9 馬龍

 実力者が順当に勝ち上がって迎えた全中国選手権・男子シングルス準々決勝。唯一の波乱は今大会好調を維持していたハオ帥が、ベスト8決定戦で張継科(チャン・ジィカ/八一工商銀行)に敗れたことか。張継科はさらに勢いに乗って準々決勝で馬琳をも破った。ジュニア時代から代表経験の長い選手だが、そろそろ頭角を現してきても良い頃だ。
 もうひとり、健闘が光ったのは胡冰涛(フ・ビンタオ)。国家チーム以外の選手で唯一ベスト8に入ったカットマンだ。昨年11月、アジア競技大会直前のエキシビション・マッチでなんと張怡寧と対戦。しかもストレートで敗れているのだが、今回の活躍で国家チームの首脳陣へ大きくアピールした。

 この男子シングルスで最も話題を集めた一戦が、準決勝の王皓vs.王励勤。今シーズンに入ってから王皓にまったく歯が立たない王励勤の戦いぶりに注目が集まったが、この試合も三球目攻撃の威力とバックハンドの攻撃力(!)にまさった王皓に軍配。この6カ月間だけで、王励勤は王皓に4連敗となってしまった。
 2004年アテネ五輪準決勝で王励勤は王皓に敗れているが、それまでは王励勤のほうが圧倒的に分が良かったため、「決勝での対戦を想定して勝利者操作が行われたのでは?」という声も上がった。そして4年後の北京五輪、今度は王皓のほうが圧倒的に分が良い中で大会を迎えることになりそうだ。29歳の王励勤、身体能力はいまだに国家チームのトップクラスだが、最後の大舞台を前にやや焦りの色が見える。

 王励勤との一戦を余裕を持って切り抜けた王皓は、決勝でも馬龍を寄せ付けず、今シーズンの好調ぶりを改めて印象づける優勝を飾った。まだどこかあどけなさを残しているが、その強さは相手をねじ伏せるような迫力がある。
 王皓のプレースタイルは、10年前なら想像することさえ困難だったはずだ。時には下回転も混ざるという変化の激しい裏面フリックと、中陣からでも打ち抜ける破壊力のある裏面ドライブ。劉国梁や馬琳の裏面打法はあくまで後発的・補助的な技術だが、王皓のバックハンドの攻撃力はまさしく世界ナンバーワン。加えて美しいフォームから放たれるフォアドライブも威力と安定性を兼ね備えている。カットマンには滅法強く、苦手な戦型がない。
 あえて攻略方法を探すとすれば、裏面ドライブをフォアで狙っていくこと、フォア前にボールを集めること、そしてフォアクロスの打ち合いに持ち込むことがポイントになりそうだ。もちろん、北京五輪までにはそのわずかな弱点を徹底的に修正してくるだろう。
 世界ランキング1位の王皓、現在金メダルに最も近い男であることは間違いない。

Photo上:今月15日に24歳を迎える年男、王皓
Photo下:強靭な手首を生かした裏面フリック。安易にマネすると手首が危ないです!