スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート

 第29回夏季オリンピックの開催地が北京に決定し、人民日報が「13億人が注目する眠れない夜」と見出しをつけた2001年7月13日からすでに6年。さらに93年9月24日、第27回夏季オリンピック招致でシドニーに僅差で敗れてから、もう14年の月日が流れている。中国国民が待ち焦がれた五輪イヤーは、もう目前だ。

 間違いなく中国にとって、建国後最大のスポーツイベントとなる北京五輪。多くの中国企業にとって、このビジネスチャンスを逃す手はない。
 しかし、「北京五輪」という言葉や五輪のエンブレムを広告に使用できるのは、IOC(国際オリンピック委員会)のグローバル・パートナー(コカコーラ、GE、サムソンなど)と、BOCOG(北京五輪組織委員会)が指定する11のオフィシャルパートナー、10のオフィシャルスポンサー、14のオフィシャルサプライヤーのみ(パートナーが最上位)。著作権や肖像権に関してはかなりアバウトな中国でも、五輪に関しては02年4月から「オリンピックロゴ保護条例」が制定され、使用権の侵害に対する摘発に本腰を入れている。

 五輪のオフィシャルパートナーやスポンサーは、基本的に1業種につき1社。スポーツメーカーは入札によってドイツのアディダスに決定している。それでもスポーツメーカー大手の李寧などは「08場上見英雄(08年、会場でヒーローに会える)」と銘打って、商魂たくましくアンブッシュ・マーケティング(スポンサー以外のタダ乗り広告)を繰り広げているが、たとえば「08年、北京へ」というフレーズだけでも、規制に抵触する可能性が高い。

 加えて、北京五輪の大会本番になると、選手たちが着用するウェアやシューズには、国旗とその選手の名前以外は(ウェアやシューズを製作した)メーカーのロゴを1カ所入れられるだけ。この規制は恐ろしく厳格で、メーカーが2つ目のロゴを入れようものなら、係員が飛んできてガムテープを貼り、ロゴを隠してしまう。1カ所だけでも、規定の20平方センチを超えるとアウトだ。「商業五輪」と批判される反面、実はマーケティングに活用しづらいのが五輪の実態でもある。

 そして2年ほど前から、中国卓球チームには企業の熱い視線が注がれている。05~06年にかけて、中国卓球協会は大手企業との大型スポンサー契約を次々と結んできた。中国の卓球人気は復活したのか。なぜ今、また卓球が注目を集めているのだろうか。
〈その2に続く〉

Photo上:04アテネ五輪、テープでロゴが隠されたウェア。規定の20平方センチを超えてしまったため
Photo下:オフィシャルサプライヤーの李寧以外、企業のロゴが一切ない中国代表のウェア(同じく04アテネ五輪)