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中国リポート

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 現在、中国卓球協会は6つの企業とオフィシャルスポンサー契約を結んでいる。これは他の中国代表チームと比べても、中国サッカーチームと並んでトップの数字。国家が資金負担をしていた時代を経て、いわば民営化されつつある各スポーツ協会の中でも、順調にスポンサーを獲得している中国卓球協会は最もリッチな協会のひとつだ。
 オフィシャルスポンサー6社の内訳は以下のとおり。

1. 上海紅双喜集団有限公司(卓球・バドミントンなどのスポーツメーカー)
2. 李寧有限公司(総合スポーツメーカー)
3. 大衆汽車有限公司(ドイツ・フォルクスワーゲンの中国合弁会社)
4. 玉柴機器股彬有限公司(ディーゼルエンジン会社)
5. 中国聯合通信有限公司(チャイナ・ユニコム/通信事業者)
6. 四川長虹電器有限公司(大手家電メーカー)

 中国聯合通信は国内第2位の通信事業者、四川長虹電器(以下長虹)はカラーテレビなどでは国内トップクラスのシェアを誇る。日本で言えば、日本卓球協会がKDDI(au)や松下電器産業とスポンサー契約を結んだようなものか。その契約金の金額もうなぎ上りで、長虹との契約金は1億元(日本円で約16億円)に達したと報道されている。

 現在、世界選手権に出場する中国選手のウェアには、これら6社のロゴが所狭しと並ぶ。
 中国代表の最新ウェア(左写真上)の前面には、左胸の中国聯合通信から時計周りに大衆(フォルクスワーゲン)、長虹、李寧のロゴが入る。右袖には大衆、左袖には紅双喜の小さなロゴが入っており、背面(左写真中)には李寧と、長虹の大きなロゴ。そしてショーツにも中国聯合通信と李寧のロゴが…。国際卓球連盟(ITTF)の規定では、ウェアに入れられる広告やロゴは、ウェアの前面とサイド(袖など)で6カ所、背面に2カ所、そしてショーツやスコートに2カ所(総面積にも上限あり)。中国卓球チームはこの規定めいっぱい、ロゴを貼り付けているわけだ。ウェアのオフィシャルサプライヤーである李寧のロゴは、規定面積以内なら広告には含まれないはずだが、李寧はあくまでもスポンサーということなのか、他の広告のロゴと同等の扱いを受けている。
 もし国際卓球連盟の規定がなければ、中国代表のウェアは広告とロゴが貼りまくられて、ポップアートみたいになってしまうかもしれない。もともと左胸に入っていた五星紅旗(国旗/左写真下)さえ、広告に場所を譲って中央に移動したというのが、五輪バブルを突っ走る中国を象徴しているようで面白い。

 中国代表のウェアを飾るオフィシャルスポンサー6社のうち、玉柴機器とは05年11月、中国聯合通信とは06年1月、長虹電器とは今年3月にスポンサー契約を結んだ。国際卓球連盟のオフィシャルスポンサーであるフォルクスワーゲン(大衆汽車)と契約したのも2005年のことだ。しかも玉柴機器との契約は08年北京五輪まで、中国聯合通信とは08年12月までと、明らかに北京五輪を視野に入れた契約期間になっている。
 前回述べたように、北京五輪の大会本番では、これら6つのオフィシャルスポンサーのうち5つのスポンサーは、ウェアにロゴを入れることができない。オフィシャルサプライヤーである李寧が、小さなロゴをひとつ入れられるだけだ。それでも北京五輪を控えた05年から今年にかけて、これらの企業が中国卓球チームとスポンサー契約を結んでいったのはなぜなのか。
(その3に続く)

Photo上・中:大企業のロゴが並ぶ中国代表のウェア。「ロゴが重くてプレーの邪魔になるのでは」と心配されたほど
Photo下:05年上海大会での中国代表のウェア。左胸の国旗はロゴに追いやられ、かなり肩身が狭い感じ。この後、06年ブレーメン大会から国旗は中央に移動した