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中国リポート

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 16日まで、北京大学体育館で行われたITTFフォルクスワーゲン・プロツアーグランドファイナル。中国は全4種目を完全制覇。特に男女シングルスではベスト4を独占するなど、まさに中国による、中国のための大会となった。

 男子シングルスで優勝したのは世界ランキング2位の馬琳。2001年に天津で行われたプロツアーグランドファイナル以来、6大会ぶり2度目。大会前の世界ランキングで3位の王励勤に78ポイントの差をつけていただけに、この優勝で来年1月発表の世界ランキングでも2位以上が確定。直接出場枠の獲得を決定づける優勝だ。
 2位に入ったのは世界ランキング1位の王皓。国家チームでは同じ呉敬平コーチの指導を受け、いわば兄弟子とも言える馬琳に敗れた。5月の世界選手権ザグレブ大会でも、王皓は要所で裏面ドライブを馬琳に狙い打たれ、競り負けている。今、王皓を止められる選手は、馬琳しかいないということか。

 3位は王励勤と馬龍。王励勤は準決勝でまたしても王皓に敗れた。準決勝の試合前、王励勤はラバーの厚さが規定をオーバーし、スペアラケットでの試合を余儀なくされたようだが、本人曰く「負けは負け。ラケットが本当の敗因じゃない。王皓に対しては、まだ僕が優位に立っている部分もあるけど、総合的な実力からいえば僕のほうが下だろう(出典:東方体育日報)」。今シーズンは王皓に6連敗、同士討ちとはいえ、世界チャンピオンが同じ選手にこれだけ連敗するというのは、あまり聞いたことがない。五輪アジア大陸予選に回ることになるであろう王励勤、予選突破は問題ないが、本大会でも後輩の王皓が、悲願の五輪金メダルの前に大きく立ちはだかる。

 女子シングルスは李暁霞が準決勝で張怡寧、決勝で郭躍を下し、グランドファイナル初優勝。特に準決勝で対戦した張怡寧には国際大会でもほとんど勝ったことがなかっただけに、価値ある優勝だ。ダブルスでも今シーズンのプロツアーで5勝を挙げた郭躍とのペアで優勝。プレ五輪と位置づけられるこの大会の主役となった。
 李暁霞には溢れるような打球センスは感じない。フォームが崩れることもあるし、打球点に関しても張怡寧や郭躍のような厳しさはない。しかし、175cmの長身で懐が深く、両ハンドドライブでグイグイ攻めていく。中国女子卓球の「男性化」の象徴のような選手で、同じパワーヒッターの郭炎よりも全面的な技術を備えている。
 準優勝の郭躍は1ゲームしか落とさずに決勝まで勝ち上がったが、幼なじみの李暁霞に惜敗。現世界チャンピオンもまだ中国女子のエースとは言いがたいが、北京五輪出場は問題ないだろう。一方、同じく北京五輪出場が確実視されている張怡寧は、初戦で帖雅娜(中国香港)に大苦戦。ここは何とか切り抜けたが、準決勝で得意にしている李暁霞に敗れた。まだ25歳になったばかりだが、五輪女王もややピークを過ぎてきた感がある。張怡寧にとっても、北京五輪が最後の五輪だ。

 今大会で最高の成績を収めた李暁霞だが、張怡寧・郭躍に次ぐ3番目の代表の座は王楠のものになりそうだ。ここまで来て王楠を五輪代表から外すくらいなら、国家チームもとっくに彼女を引退させているだろう。来年2月の世界選手権団体戦、そして8月の北京五輪で団体優勝を飾り、「中国が輩出した偉大な女王」の伝説はフィナーレを迎える。

Photo上:04年アテネ五輪ではワルドナーにまさかの敗戦。馬琳は北京にリベンジを期す
Photo下:威力あるバックドライブが李暁霞の大きな武器