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中国リポート

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 10月18日、上海の浦東新区にある陸家嘴人民法廷で、ある裁判の審理が行われた。

 被告は上海の大手不動産管理会社である、上海証大物業管理有限公司および上海証大三角洲置業有限公司(長い!)。原告は一組の怒れるカップル。夫は元世界チャンピオン・江加良、妻は有名な映画女優だった呉玉芳だ。
 マスコミやテレビカメラが詰めかける中で行われたこの裁判。3時間以上かかったが、調停の糸口を見出すどころか、ますます泥沼化の気配なのだ。

 昨年8月、上海の新興開発区・浦東新区の一角にある江加良夫妻の瀟洒なマンションに、泥棒が入った。被害にあったのはメダルや盾、記念品の類で、江加良が獲得した国際試合のメダル3枚や、呉玉芳が受賞した最優秀女優賞の記念品など。犯人は後に捕まったのだが、盗んだ品物は、その価値がまったく分からずに全部捨ててしまったという。
 ちょうどこの時、マンションの入り口のセキュリティシステムが故障しており、誰でも自由に出入りできる状態だったことから、江加良夫妻はマンションを管理する上記の会社(被告)に対して、損害賠償5万元と精神的苦痛に対する賠償10万元、あわせて15万元(日本円で約240万円)を求める訴訟を起こしていたのだ。

 18日の審理では、法律上賠償する責任は全くないとする被告側と、江加良夫妻の間で激しい論戦が展開。盗まれた物品は10万元の精神的苦痛に値しないという、被告側の代理人のこのひと言が、夫妻を憤慨させた。「一生のうちで3枚だけメダルを獲得した人がそれをすべて失うのと、200枚以上獲得した人がそのうちの3枚を失うのでは、精神的な苦痛の大きさは全然違うでしょう」。
 これに対する原告側の弁護士の反論は的確だった。「子どもを傷つけられたり、失ってしまうとしたら、それが一人っ子だろうと三人兄弟のうちのひとりだろうと、両親の受ける心痛は同じではないですか」。
 この裁判、どういった形で決着を見るのだろうか。

 出典:『東方体育日報』

Photo:最近はテレビの解説やリポーターとしても活躍する江加良(左)。昨年のITTFチャンピオンズトーナメントでも解説を務めた