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中国リポート

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 少し前のニュースで恐縮ですが、5月3日、国家男子1軍チームの新たな「教練組(コーチグループ)」の編成が発表された。
 3月30~31日に行われた国家チームの監督・コーチ選考会議で、王皓・馬琳・劉国正・劉恒・馬俊峰の5名が選出されていたが、現在63歳の呉敬平がまたもコーチ陣に加わった。定年後の「嘱託」のような立場だ。「高血圧の持病があるし、体力的には厳しい」とインタビューで語っていたが、まだまだ休めないようだ……。担当コーチの編成は下記のとおり。

◎国家男子1軍チーム・担当コーチグループ
呉敬平  許シン・王楚欽
王皓   樊振東・薛飛・朱霖峰・周愷・馬特・朱誠
馬琳   馬龍・于子洋・崔慶磊・劉イ
劉国正  張継科・方博・徐晨皓・梁靖崑・陳ジン
劉恒   林高遠・閻安・鄭培峰・任浩・呂翔
馬俊峰  周雨・劉丁碩・尚坤・劉吉康・頼佳新


 馬龍の担当コーチだった秦志戩が男子チーム監督となり、張継科の担当コーチだった肖戦が女子チームに異動になったことで、担当コーチのグループ分けは大幅に改編されている。

 リオ五輪まで許シンと樊振東を担当していた呉敬平は、引き続き許シンを担当。リオ五輪前には樊振東も担当していたが、それに変わって呉敬平の門下生となった王楚欽には首脳陣の期待がうかがえる。とはいえ、ひとりで4〜5人の選手を担当する他のコーチに比べれば、実質的には許シンの専属に近い。「許シンは今、低調な時期を迎えており、この時期を乗り越えるのは決して簡単ではない。今回の世界選手権が、許シンにとっては巻き返す最後の機会であり、それに失敗すれば彼は主力の地位を失うだろう」。そう言って脅しをかけるのは劉国梁総監督だ。昨年のジャパンオープンで東京五輪の展望を尋ねた時は、「樊振東が主力だけど、許シンも東京五輪まで出られるでしょう」と言っていたのだが……。さすがに手綱はゆるめない。

 一方、樊振東は所属先である八一解放軍チームの監督でもある王皓が担当コーチとなった。馬龍は馬琳、そして張継科は劉国正の指導を受ける。長く張継科の担当コーチだった肖戦の女子チームへの移動は意外だったが、樊振東が育ってきた男子に比べ、女子は陳夢・朱雨玲の下の若手がなかなか育たず、首脳陣も危機感をつのらせていると聞く。肖戦はいきなり劉詩ウェンや、若手のホープである王曼昱・孫銘陽らの担当コーチになったが、これで女子チームのテコ入れを図っていくのか。

 男子チームの顔ぶれを見ていると、最強軍団といえど、2020年東京五輪は決して簡単ではない戦いだと感じる。かつての中国なら、五輪を終えて28歳という年齢である馬龍と張継科は、若手に押し出される形で国家チームを引退し、許シンもチームの主軸からは外れていただろう。ところが今回の世界選手権でも、前回2位の方博をシングルスにエントリーせず、張継科をエントリーしてきた。国内での張継科人気の加熱ぶりを考えれば、致し方ないことかもしれないが……。