スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート

 北京オリンピックまで残すところあと9カ月あまり。前任のドマンスキ氏(スウェーデン)が突如辞任し、後任の人選が注目されていた中国女子サッカーチームの新監督に、元フランス女子代表監督のエリザベス・ロイゼル氏(女性)が決定した。
 その就任発表の記者会見の席上に、臨時で通訳を務めるひとりの中国人女性の姿があった。エリザベス・ロイゼル氏も席上で感謝の言葉を述べたその女性の名前は、王暁明。オールドファンならご記憶の方もいるかと思うが、第41回世界卓球選手権千葉大会で、フランス女子チームを3位に導いたワン・シャオミンその人だ。

 ワン・シャオミンは四川省出身で、1977年に四川省チーム入り。クレバーなシェーク前陣攻守型で、中国国内でトップクラスの実力を誇ったが、82年にフランスに渡って大学を卒業。在学中も卓球の練習を続け、フランス代表チームでも、彼女に勝てるのは男子のナショナルチャンピオンしかいなかったという。
 そして1987年、フランス国籍を取得した彼女は、フランス代表として国際大会に出場。海外に移籍した中国選手の先駆けとして、89年世界選手権ドルトムント大会でシングルスベスト8、90年ヨーロッパトップ12で3位に入るなどの成績を残した。91年世界卓球選手権千葉大会での女子チームの3位入賞は、フランス卓球史上に残る快挙と言われている。

 その後、96年アトランタ五輪を最後に現役を引退。海外とのスポーツ交流などを行うマネジメント会社を設立し、フランス・リーグ1(サッカー)のメッツと成都市サッカーチームの提携に携わるなど、両国の架け橋として活躍。今回のエリザベス・ロイゼル氏の監督就任に当たっても、フランスと中国の仲介役として中心的な役割を果たした。一方で、選手時代に彼女を取材に訪れた新聞記者と運命的な出会いをして結婚、2人の子どもに恵まれている。

 異国の地で国際交流の種を蒔き、祖国に貢献しているワン・シャオミン。彼女もまた、中国卓球史に残る女傑のひとりだろう。

Photo:91年千葉大会でのワン・シャオミン。ちょっと粗い画像でスミマセン