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中国リポート

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 1月5日、中国卓球協会は公式ホームページ上で、『中国卓球協会・2018年国際大会派遣選手選抜規定』を公布した。
 これは2018年1〜12月に行われる国際大会で、選考基準を設けた選手派遣をテストするというもの。世界選手権からワールドジュニアサーキットまで、全部で12の国際大会について、派遣選手の選考基準を定めた。その一例を挙げると、5月の世界選手権団体戦に出場する5名は下記のような選考基準となる。

(1) 2017年世界選手権シングルス1〜3位から1名
(2) 2017年全中国運動会シングルス1〜3位から1名
(3) 世界選手権選考会のシングルス1〜3位から1名
(4) 2017-2018中国スーパーリーグの通算成績1〜3位から1名(国家チームの選手は含まれない)
(5) 中国卓球協会U-21(21歳以下)ランキング1位


 この選考基準を男子チームに当てはめてみると、(1)は馬龍・樊振東・許シン、(2)は馬龍・樊振東・王楚欽、(5)は発表されることはないが、もうすぐ21歳になる樊振東の下の世代、于子洋や薛飛、王楚欽らが対象になる。近年はベテランを重用し、経験重視の選手選考が多かった中国だが、将来有望な若手のために枠を設けている。

 現時点での中国男子のベストメンバーは、馬龍・樊振東・許シン・林高遠の4名が確定で、残りひと枠は経験重視なら方博、将来性重視なら王楚欽というところ。上記の選考基準では「1〜3位から1名」というように柔軟性を持たせているので、それぞれの枠で選手を選んでベストメンバーを組むことは可能だろう。

 しかし、中国卓球協会が明確な選考基準を発表するというのは、前例のないこと。中国卓球史に残る「事件」と言っても過言ではない。これまで代表選考会「直通○○」を行うことで、ある程度は競争の公平性を確保していたものの、代表選考はすべて中国卓球協会がハンドリングし、決定していた。「秘密兵器」の戦略的な起用が、中国のお家芸だった時代もあった。今回、選考基準を透明にすることで、協会幹部に権力が集中するのを防ぎ、国家体育総局の管理を行き届かせる狙いがあるのではないか。

 また、(3)の世界選手権選考会というのは、これまで行われてきた「直通○○」のようなオープン形式のものではないだろう。現在、中国女子チームでワールドチームカップの代表選考会が行われているが、観客を入れることはなく、報道しているのも一部のマスコミだけだ。
 昨年行われた世界選手権個人戦の代表選考会「地表最強12人」は興行的にも成功を収めたが、今年は開催されるというアナウンスはない。従来の「劉国梁カラー」は、徹底して排除されようとしている。
  • かつての中国の「秘密兵器」のひとり、カットの丁松(95年世界3位)