スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート

 男女ともに中国が席巻している感のある世界の卓球界。世界選手権団体戦のチャンピオンシップディビジョン(1~24位)の中で、中国からの帰化選手がナショナルチームに所属したことのない国はごく稀だ。
 しかし、つい最近まで帰化選手を決して入れない国があった。アジアの雄・韓国だ。世界選手権のタイトル数では中国に遠く及ばないが、88年ソウル五輪優勝の劉南奎、93年世界選手権優勝の玄静和、04年アテネ五輪優勝の柳承敏らの活躍で、常に中国のライバルとして存在感を発揮。技術面でも、フットワークを駆使したパワフルな韓国卓球は、中国卓球の緻密な前陣攻守とは一線を画している。

 しかし、そんな韓国チームにも中国の波が押し寄せつつある。2004年に中国香港女子チームの郭芳芳が韓国女子チームに移籍。韓国チームにもついに中国からの帰化選手が登場した。郭芳芳は右ペンホルダー表ソフト速攻型。もともと中国・江蘇省出身の選手で、03年世界選手権パリ大会ではシングルスでベスト32に入っている。中国香港代表として国際大会に出場していて、韓国男子チームの金承煥と恋に落ち、結婚して韓国に移籍したというエピソードがある。

 さらに先日、韓国実業団リーグの大韓航空チームでプレーしていた唐娜(タン・ナ)が韓国国籍を取得した。右シェーク異質速攻型の唐娜は1979年生まれの29歳。95年に全中国ジュニア選手権で優勝しながら、当時の国家チームには王晨、朱芳、張輝ら異質速攻の選手が多く、チャンスに恵まれなかった。98年に国家チームを退いて韓国の実業団リーグに渡り、大韓航空チームのメンバーとして活躍する傍ら、超級リーグでもプレーを続けてきた。
 また、唐娜とともに大韓航空チームに在籍する中国籍の徐蕾(シュ・レイ)も韓国国籍を取得。ともに選手としての峠を過ぎている感はあるが、もし韓国女子チームに入るようなら、団体メンバーに選ばれるかもしれない。現在、韓国女子チームの主力はカットの金キョン娥と朴美英、ペン表速攻の李恩姫と郭芳芳、ペンドライブ型の文玄晶で、シェークの攻撃選手がいないからだ。

 女子チームのエース、金キョン娥は年齢的に引退が近く、05年世界選手権上海大会で「千年にひとりのペンホルダー攻撃型」と賞賛された文玄晶も、その後は伸び悩んでいる。
 もちろん、韓国にも中国のライバルとしてのプライドはあるだろう。しかし、長く中国の壁に挑み続けてきた韓国女子チームが、帰化選手中心のメンバーになる可能性もゼロとは言えない。

Photo上:05年全中国運動会で女子ダブルス2位、混合ダブルス3位の実績を持つ唐娜
Photo下:06年アジア競技大会ではシングルスでベスト8入りの郭芳芳