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中国リポート

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 中国で現在、生まれた子どもに「奥運」という名前をつける人が増えている。中国では「オリンピック」のことを「奥運会(アオユンフイ)」というので、いわば「五輪」くん、「五輪」ちゃんだ。日本でもすでに報道されているので、ご存知の方も多いかもしれない。01年に北京五輪の開催が決定してから増えはじめ、すでに全国で3491人もいる。
 その年の出来事や流行にちなんだ名前をつけるのは、中国ではよくあることで、卓球選手にもそんな人間がいる。超級リーグとブンデスリーガを股にかけて活躍する馬文革だ。彼の名前「文革(ウェンガ)」は、1966年に開始された毛沢東による「文化大革命」にちなんでつけられている。馬文革は文化大革命が開始された翌年の生まれなのだ。文化大革命が終わったあとはずいぶん肩身の狭い思いをしただろう。

 また、こちらは日本ではほとんど報道されていないが、北京五輪=「北京奥運会」の5文字すべてが、中国人の姓としてあるそうだ。意外なことに「運」さんが一番多く、中国全土に16709人もいる。
 中国には現在約4,100の姓があり、最も多い姓は「王」。なんと王さんだけで中国全土に9288万人いる。続いて2位が「李」、3位が「張」、以下「劉」「陳」「楊」…と続く。それでは、卓球選手の場合はどうなのか。これまでに世界選手権で優勝した90人の中国選手の姓名を調べてみた。
 やはり一番多いのは「王」で、男女合わせて12人。男子に至っては45人中9人で、5人に1人が王さんだ。2位は「李」の9人、同率3位が「張」と「陳」の5人、同率5位が「劉」「郭」「馬」の3人と姓氏のランキングとほぼ一致している。労力の割には平凡な結果だったようだ。

 それにしても同姓が多い中国選手。こんなセリフを紹介して締めくくろう。97年世界選手権マンチェスター大会で、ダブルス銅メダルを獲得した松下浩二/渋谷浩ペアのインタビューから(卓球王国第4号)

松下:最初に(ダブルスの)ドローを見た時、Wang/Maとしか書いてなくて、これは馬文革と馬琳、どっちの馬かなと(笑)。それで王涛/馬琳とわかって、“これはチャンス。やっぱりダブルスはついてるな”と。
(~中略)すべてはあいつ(馬琳)ですよ(笑)。作戦としては最初から最後までずっと一緒だった。馬琳に回しておけば安全だと。

 現在世界のトップランカーである馬琳も、当時はまだ17歳。カット打ちが苦手で、松下選手は天敵のような存在だった。彼にとっては若き日の苦い思い出だろう。

Photo上:王励勤、まさに「王」のなかの「王」様。女王様は王楠だ
Photo下:馬琳でラッキーとはもう言わせない?