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中国リポート

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 もともと国家チームの集合訓練は、50年近く前から行われている。1960年12月、全国から選抜された108人の選手たちによって、北京で初の集合訓練が行われた。これは翌61年の第26回世界選手権北京大会の直前合宿であり、この集合訓練のメンバーが国家チームを形成していった。その後も集合訓練は定期的に行われていたが、卓球専用の訓練基地の建設にまでは至らなかった。

 しかし、1986年の第10回アジア競技大会、卓球が初の正式競技となるソウル五輪を2年後に控えたこの大会で、中国は男女ともに団体のタイトルを逃してしまう。国家チームの状況に危機感を抱いた許紹発総監督らが、有望な若手を発掘するために訪れた湖北省黄石市で、国家卓球チームの訓練基地建設の構想を明かしたことから、トントン拍子に建設計画が進行。突貫工事で翌87年12月に完成し、中国卓球チームの訓練基地第1号となった。

 その後、91年に河北省正定市に河北省正定国家卓球訓練基地が完成。現在でも国家チームの集合訓練の拠点となっており、今年5月の世界選手権ザグレブ大会の前にも、国家女子チームが集合訓練を行った。男子チームが集合訓練をしていた福建省厦門市にも、現在新たな訓練基地が建設中だ。以前は男女チーム合同で集合訓練を行っていたのだが、2004年1月に男女4名の選手が部内恋愛を理由に省チームに戻されるという“恋愛事件”が発生。これを機に男女別々に集合訓練を行うようになっている。

 これまでは内陸部に多かった訓練基地だが、今年9月に完成したばかりの広東省仙頭市の卓球訓練基地をはじめ、現在建設中のものは浙江省、福建省など南部の沿岸部に建設されている。国際大会が沿岸部の海洋性気候の都市で開催されることが多いため、まず気候に対応できるように、というのがその理由だ。もちろん、沿岸部の飛躍的な経済発展が、巨大な訓練基地の建設を支えているというのも事実だろう。

Photo上:正定国家卓球訓練基地の「主(ぬし)」である王慶廣主任。写真は01年当時だが、いまだ健在だ
Photo下:正定国家卓球訓練基地の名物、世界チャンピオンのサイン入り特大ラケット